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死から始まる物語

俺は死んだ、それは見事な死に様だった?

死に方は後で話すとして俺の人生を話すとしよう。


日本生まれ日本育ちで両親は無い祖母と祖父に育てられ祖父は厳しく家では道場の掃除に始まり、そしてその家に住んでいる孫たちにボコボコにされる日々。

俺より最低でも6歳も上なのに本気で来る、祖父はそれを止めもせず、受けられない俺が悪いと一喝される。


ちゃんとした稽古の中でボコボコにされるだけで日常にまで発展することがないのは祖父の力なのかもしれないけど、この現状はありえない3歳から10年間今も続いている。

今では何とか防げるようになってきたがそれでも19歳以上の大人たちを相手にするのは勘弁して欲しい。

ついでに言うと早く家から出ていってほしい一番上に至っては今年25だ


そんなことを考えながら学校で生活をしていると俺は光に包まれたような感覚というか目の前が真っ白になり次の瞬間、景色が変わったのだった。

正確には正面の景色が変わったんだ左右を見ると元々居た場所の部屋に置いてあった物が見えているからだ。

それは部屋ごとではなく部屋にあった本棚や備品などと一緒に移動したような感じだ。


因みにその時いた場所は学校の図書室のしかも準備室普段使わない本が置いてある場所だ。

図書室で授業の時は準備室で何か面白い本が無いか探すのが日課になっていた。

例えば、数の単位が1だけじゃなく刹那とかの短い?少ない?瞬きするような時間の単位とか無量大数までの単位とか書いてある本があったりする場所だ。


地球儀まであるけど見る限り別の場所だ。

これがよく言う異世界トリップならこの地球儀は意味がないな。

いやいやよくわからないオブジェとして売れるかもしれない意味がないと決め付けるのはまだ早いか。


今、目の前に見えてる光景は二本の柱があってその間に机がありその上に灰色の石が山積みにされていた天井は真っ白だ。

目の前に見える壁も白で扉が茶色か、扉も白にして白に統一しろよ


「おお勇者よ、我らの救世主よ。」


なんか目の前の神官服のような格好のおっさん達が盛り上がっていた。

言葉は翻訳されてるのか日本語なのかわからないが何を言われてるのかは理解できた。

言ってることがわかったのは幸いだった。

声を掛けてみた。


「すみませんここにある書籍は俺の所有物で問題ないですよね。

俺もともと俺の部屋の書物なんですから。」


俺の書物を強調しておいた。

普通は気にするところが他にあるんだろうが、異世界召喚は明らかで知り合いも居ない何もわからない場所で生活するのに必要なものは確保しないといけない。


「はっはいもちろんです。」


俺の言葉ももちろん通じるようだ。

理解した上で答えてくれた。

でも答えたおじさんは少し狼狽えていたな。

一番高そうな服を着ている癖に器が小さいのか。

まあ期待してる救世主が言う言葉でもないだろうし

狼狽えても仕方ないか。


「救世主と言いましたが俺は何かをするために呼ばれたんですか?」


そう、このおじさんは俺を勇者とか救世主とか言っていた。

俺は無理やり召喚された挙句祭り上げられて戦わされるんだろうな。

そんなのは、お断りだ13歳でなんでそんなことをしなくちゃいけない。


「はい世界を救っていただきたいのです。」


「俺にはこの世界の知識がありません、まずは知識を要求します。」


俺はこの世界を何も知らない。

この願いが通らなかったらここの人間を警戒しないといけないな。

俺はこの世界で本当にこの国に力を貸していいのかすらわからない。


「はい、教育係としてこちらのものをお付けします。」


教育係か、ちゃんとした真実教えてくれるのかな。

適当に良い事だけ言って誤魔化されたり洗脳されたらたまらないな。

用心深くしないといけないからこんな考えだけど、人間不信になりそうだ。


「いえ、この中の人だけでは不十分なので外の、例えば、生活必需品などを売っている商人からもいろいろ教えていただきたいです、お願いします。

貴方達が市井で生活をしているというのであれば問題ないですが、格好を見ても市井の生活を知らなそうなので知識が偏りそうです。

もちろん断ったりしないですよね。」


この申し出を断ったら、

俺はこの国に力を貸さないという選択もある。

と匂わした。


「わかりました」


こっちに顔を見せないくらい頭を下げておじさんは言っていたが、顔を上げられないくらい引きつっているんだろうか。

顔が見えないのは不快だ。


結局、特に問題もなく学んでいった。

そして2ヶ月もの間こちらの知識を得た俺はこの国の情報を知った。

この国は聖王国アルロイスに擦り寄った国として帝国に攻め入られているらしい。

しかも劣勢だ、俺の最初に召喚された場所は教会で召喚自体は聖王国アルロイスとは関係なく、帝国にある遺跡の召喚術で2年前に発見したものだった。

この国のものですら無かった。

つまり俺が変える方法も無ければ召喚の歴史すらない。


「大体分かりました。

この国は帝国と戦っていて負けそうなので勇者を呼んだという事ですね。

人を一人召喚した・・、いえいいです、次は魔法を教えてください。」


人を一人召喚したくらいで何ができると思ってるんですか。

と言おうと思ったがやめた。

これを言ったらすべてが終わる気がしたからだ。


この世界の魔法は簡単だった。

魂に魔法を刻み込む方法だ。

熟練になると無詠唱になるそうだでも魔法を唱えるのは簡単。

でも練り出すまでが大変だった。


魔力を使う分だけ体から取り出してからその魔法の単語を言うことでスイッチが入り、発動するみたいな感じだ体から取り出すのが大変で、体の中にあるのを魔力を体の外に引っ張り出して使う量だけ切り離す。


言葉では簡単そうだけど実に難しい。

しかも完全に切り離したあとで詠唱しても発動はしない切り離してる最中に詠唱して切り離した瞬間に発動するようにしないと駄目だった。


切り離せずに使うと外に飛び出した部分がそのまま発動して火の魔法なら体にくっついたまま燃え出す。


それと魔法は賢者が用意した魔法書という羊皮紙に書かれたものを必要な手順で詠唱して魂に記憶させて魔法が使えるようになるらしくて

魔力の調節もしてくれる魔法書がべらぼうに高く金額が金貨100枚らしい。

勉強の時に金貨100枚あれば辺鄙な村が50年飢えないくらい養えると言っていたはずだ。

辺鄙な村の村人がではない。村自体が50年飢えないくらいの金だ。

つまり50人くらいの村は金貨2枚あれば一年は生きていけるってことだ。


最初教えてもらった魔法は国の兵士用に大量購入しているため、安くなっている、水、土、風、火の魔法だった。


それから魔法を勉強しているのをどこかで嗅ぎつけたのか勇者のためにと寄付があったそうだ。

因みに勇者が召喚されたのを知ってるのは王と一部の側近らしい。

そして寄付したのは王じゃないらしくて側近の誰かが寄付したのだろう。

むしろ勇者にもっと寄付すべきじゃないのか?


それでももらった魔法は肉体活性、治癒、解毒、上塗り(コーティング)、身体強化、炎魔法だった、この6個でこの国を救うのは無理じゃないか。


そこで神殿に居た神官に尋ねたところ。

金が無いとか、寄付を集められないとかで駄目過ぎた、俺は仕方ないので元の世界から一緒に送られてきた物と売ることにした。


俺は持っていた本を商人に売り金を工面し、もちろん一人の商人だけではなく町にある、何箇所かの店すべてで売った。


本棚も地球儀もインクとかもあったし判子も全部全て売って、金貨は2000枚程になって魔法を30個手に入れることが出来た。

その30個の魔法を魂に刻み込んだ。


魔法書を作っている場所があるというので其処に行き。

一度に金貨2000枚を賢者に見せてどれだけの数譲ってくれるか聞いて色々確認すると既に覚えてる魔法が全部入っていたので、それ以外にしてもらい全部の魔法を見せてもらった。


値段も事細かく聞いて一番高くて金貨300枚のもあったが高くても100枚にさせて安い魔法はもっと安くさせたりして。

結果、金貨1000枚以上安く手に入れた魔法が全部で35個になった。


今、持ってる魔法と合わせて45個だ覚えられないかもしれないが魂に刻む形になっているので忘れることはないらしい。

我ながら交渉してみるものだと自分に関心していた。


ここまでの道程が約二年だ。

勉強をしながら魔法を覚えて魔法を覚えたら使いこなすために訓練を重ねてさらに魔法を増やすためにお金の工面をしたりして時間が過ぎた。


でもまだまだ足りない、今度は剣の訓練も並行してやらないと行けない。

剣の訓練は思ってたより早く終わった。


それは自主的にではなく、訓練を始めた頃には帝国との戦争が終了していて、この国は帝国に負けた。


そしてこの国の教会は聖王国アルロイスに忠誠を誓っているので、神殿に居た者は犯罪者として扱われた。


もちろん俺は帝国では救世主なわけはなく、犯罪者の烙印を押されて神殿から連れて行かれた。

連れて行かれた先はコロシアムっぽいところだった。

剣闘士にされて、剣の特訓してないのにあんまりだと思いながら初めての試合をして、見事に命の炎を散らしたのだった。


15歳という若さで俺は死んだ。



だが俺は俺の魂は死ななかった、トリップのせいなのかわからないが俺は魂のまま彷徨い気づくと全然違う土地に居た巨人と人間が戦争をしているのを尻目に俺は彷徨い続けた。


俺は自分でもよくわからない存在になっていた。

自分が死んでいるのもわかっているのだがどうしたらいいのかもわからない、そんな中たどり着いた場所はどこかの城の中だった。


目の前には赤ん坊が居た。

その赤ん坊は俺が見えているようで俺を見て、「キャッキャ」と声を上げていた。


其処に居たメイドが何か白いものが入った器を持っていた。

俺は離乳食かと思ったが液状で布につけて吸わせていたミルクだったのかな。

食事を取らせているようだ。


「裕福そうな城なのに乳母や母親の母乳で育ててないのか?」


声に出しても誰にも聞こえないが、そんな事を疑問に思っていると目の前の赤ん坊がグッタリしてきた。


そして体から何か白い塊が出てきた。

俺は慌ててそれを体に戻そうとした、そうそれは赤ん坊の魂だった。

この赤ん坊はメイドに毒を盛られたようだ、必死に押し込むと、俺の方が赤ん坊の体に入ってしまった。


なにこれ、苦しい、そう赤ん坊の体は毒に犯されている。

覚えていた解毒の魔法を掛けて、肉体活性。

そして治癒の魔法を使った。


結果俺は生き返った?乗っ取った?


よくわからないが俺は肉体を手に入れた。

自分の体を確かめようとしたその時問題が発生した。


俺の目が見えない。

毒を盛られた時に視神経をやられた様だ。

治癒の魔法も解毒の魔法も目を中心にかけたが何もならない。

肉体活性も身体強化も何をしても俺の目は見えなかった。


俺の第二の人生はこうして始まった。

自分の名前もわからないまま。

異世界で俺は生きていく、もよろしくお願いします


読んで頂きありがとうございます

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