六時限目
キーンコーンカーンコーン…………
六時限目開始のチャイムが鳴る。
舞台は校庭。
数々の激戦をくぐり抜け、全生徒748人の中から残った、六人の生徒はそれぞれ違う表情を浮かべていた。
二年新聞部員『厨二属性付加』柱日弥舞は――――驚愕。
二年新聞部員『矛盾の盾のほう』山井仲人は――――喜悦。
三年新聞部部長『腕章魔法』富士市美彫は――――楽観。
三年新聞部副部長『竜を召喚する竜騎士』流ヶ崎竜二は――――冷静。
一年新聞部員『鉄球の指揮者』駒園美絵は――――困惑。
そして。
すべての原因となった、生徒会長明令星黒瓜は――――――――――――愉悦。
凍った空気の中、『厨二属性付加』柱日弥舞が叫ぶ。
「会長以外、全員新聞部員かよ!」
これぞまさに運命、縁、変えられぬ未来、否、そんな言葉では言い表せな
「なんて偶然――――いえ、私達なら必然、ね」
「部長! 地の文切ってる! いくらこの作品がメタ入ってるからってそれはダメ! あとちょいパクってる!」
「ふっ、何を言っているのかしら、弥舞君は。それからこれはパクリではないわ。オマージュ、インスパイア、もしくはパロディよ」
「あんまりよく考えないで言ったなこの人!」
ツッコミをやめて、一旦息をつこうとしたところで生徒会長が口を開いた。
「えー、新聞部の皆さん。皆さんには今から殺し合いをしてもらいます」
「朝っぱらからさんざんさせてるじゃねえか! まだやるのかよ! げほっ、ゴホゴホ…………」
さすがに息が続かなかったようで、むせる弥舞。
「そのまま息が詰まって死ねばいい」
「やめるんだ駒園ちゃん。弥舞のライフはもうゼロだ」
「やかましいわ!」
「ところで」
突如として校庭に凛と響くイケメンボイス。
それまで部員達のやり取りを黙って聞いていた副部長、流ヶ崎竜二が、会長に向かって問いを発した。
「いい加減教えて欲しいもんだな会長。アンタが一体なんの目的でこんなことをおっ始めたのか――――――――」
「その辺のくだりならもう済んでいるわ、流ヶ崎君。わたしたちはシュールギャグよ。あなたのようなクールキャラは必要ないの。黙ってなさい」
「……………………」
流ヶ崎竜二のライフはもうゼロだ。
「なんだこの息もつかせぬカオスは…………」
弥舞が呆れ声をだす。
「だけどこれで分かったことがあるわ」
新聞部部長、富士市美彫がキッと会長に向き直る。
「つまり」
それは今日の戦いを結論づける言葉。
「あなたを倒せばわたしたちの勝ち――――、
わたしたちが負ければ、人類の負け――――。そういうことね」
「何最後だからって無理矢理スケールでかくしてるんですか部長!?」
「その心意気やよし。来るがいい。私の圧倒的な力で、君たち、そして人類をも葬ってくれよう」
「会長も乗るな!」
「例えわたしたちが負けようと、第二、第四のわたしたちがきっとあなたを倒すわ」
「「「負けること前提!?」」」
なんと後ろ向きに前向きな人だろうか。そして第三はどこへいったのか。
部長が拳を構える。
「えいっ」
「ガハッ…………見事だ…………。これが厨二病学園の新聞部、か」
「おい!?」
ラスボスは美少女の腹パン一発で沈んだ。
「……………………」
校庭に漂う気まずい沈黙。
「帰るか」
「そうだね」
「一緒に帰りましょう山井せんぱい」
「わたしは部室の片づけしてから帰るわ」
「……………………」
キーンコーンカーンコーン…………
厨二病学園の一日、完。