四時限目
山井仲人は、昼食を取りに行く生徒で、職員室が混雑するであろうことを予測して、少し先に職員室に来ていた。
そして。
一人の生徒とエンカウントした。
「お前が『矛盾の盾のほう』………………山井仲人か」
「……………………」
何だかやたらと演技臭い。
「お前のことは知っている…………かなり噂になっているからな」
「…………へえ」
ぶっちゃけ今日はほとんど何もした覚えがないのだが。せいぜいあちこちに吹っ飛ばされたくらい。
「優勝候補『竜を召喚する竜騎士』流ヶ峰竜二、一年生最強『鉄球の指揮者』駒園美絵、能力不明の超火力異能者『魔宝使い』柱日弥舞。この三名の必殺攻撃をものともしなかったというのだからな」
「……………………」
まあ間違ってはいない。うん、間違ってはいない。
「恐るべき防御性能だ…………だが、おまえの能力には決定的なスキがある。俺の能力ならそれを突くことができる」
……………………なんだろう、この、目の前の人物から発生する圧倒的な敗北フラグの匂いは。
「くらえ…………! 『魔封波・超速時間経過バージョン』!!」
おい。いいのかそれは。
と、思っているとどこからか出現した電子ジャーの中にとじこめられた。
……………………。
多分技名から想像するにこの電子ジャーの中では凄いスピードで時間が進んでいて、しばらくすると中の人間は寿命で死ぬとかそんなんだろう。エグい。
と言っても主観的に早く抜け出せれば大したものでもないのだが。
「『矛盾の盾のほう』応用バージョン、『四十倍増幅反射』!!!」
何を増幅するのかは今ひとつわからないが、なんとなくやってみた。
気がつくと電子ジャーの外に出ていた。
「ふう、以外とまともな攻撃だったね………ん?」
電子ジャーが四十個並んでいた。
「……………え、四十倍ってそういうこと?」
おそらく周りの生徒も巻き込んでしまったのだろう。
「…………どうしようこれ。あ、そうだ」
※※※※※
職員室に置いてある弁当の隣に、こんな張り紙がしてあった。
『ご飯のおかわりは、この電子ジャーで自由にできます』
弥「こんなオチでいいのか?」
仲「きっとこの電子ジャーが重要な伏線になるんだよ」
弥「いや、ならんだろこれは」