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一時限目

「『厨二属性付加チューニング』……物体の厨二化か」

「改めて聞くとなんかダサいな」


 言っても仕方のないことではあるが。


 俺と仲仁は、新聞部部室へと向かっていた。

 窓からドラゴンとゴーレムがガップリ四つに組み合っている図を見ながら、仲仁に話しかける。


「ところで、この学校全体に人のテンションをあげる結界がかけられてるんだろ? なんで俺達は何ともないんだ?」

「我が強いからじゃない?」

「なるほど理解した」


 と、その時、巨大な炎が俺達の目の前を通り過ぎていった。

 ついでに炎の剣を持った女子も飛び出してきた。


「…………発動、厨二武器『黙火剣(サイレンスライト)』」


 胸ポケットに挿してあるボールペンを取り出す。


《厨二魔術『厨二属性付加チューニング』発動》


《『ボールペン』が『剣よりも強いペンストロンガー・ダン・ソード』に変化した》


 ペンを剣に変化させ、炎の剣を迎撃する。


 元ペンは炎の剣を斬り飛ばし、そのまま女子の首をはねた。なるほど、剣よりも強い。


「おお、凄いじゃないか弥舞。あんな微妙な能力がこんなに強いとは!」


 やかましい。


 剣をペンに戻す。

 手には、さっき首をはねた女子の血がべっとりとついていた。


 そうだ…………どんなに生き返るとか、怪我一つ無いまま家に戻されるといっても、俺が人をこの手で殺したという事実は変わらないのだ。


 実際、今でも手には自分と同じ生き物の命を奪った感覚がひしひしと――――「痛っつー……ちょっとお、いきなり首はね飛ばすとかあり? あれはあのあと何合か打ち合って最後に私の必殺技が决まる、っていうシーンでしょ? ちょっとは空気読んでよ~まあいいわ、一限目までは生き残ることができたわけだし、じゃ」


 はねた首がベラベラと喋り、体のほうが首を拾い、気がつけば両方ともどこかへ消えていた。


 …………。


 …………手を見る。


 さっきまで感じていた嫌な感覚はすでになくなっていた。


※※※※※


「新聞部部室なう」

「ついさっき人一人殺したっていうのに呑気だね」


 だって仕方が無いじゃないか、あんなに気の抜ける光景を見せられたら。シリアスを返せ。


 扉を開いて中に入る。そこには一人の女子生徒がいた。

 我らが新聞部部長、富士市美彫ふじしみえるである。とても可愛らしい巨乳な美少女だ。


「いきなりどうした!?」


 事実だ。


 まあともかく。


「今日も美人ですね」

「だからどうした!?」


 うるさいなこいつは。


 その瞬間、天井が壊れ、一人の男子生徒が飛び降りてきた。


「ふっ…………ついに会えたな『矛盾の盾のほうパーフェクトディフェンス』。俺の能力、『矛盾の矛のほうアブソリュートオフェンス』との決着を今こそ――――」


《厨二魔術『厨二属性付加(チューニング)』発動》


《『一眼レフカメラ』が『邪気眼レフカメラ(ダークネスアイ)』に変化した》


 シャッターボタンを押す。

 パチリという音とともに、男子生徒は魂を取られた(・・・・・・)かのように倒れた。


「お茶飲む?」

「あ、どうも」

「なんで君たちそんなに平常運転なの? 結構重要な匂いのするキャラ出てきたよ?」


 どんなに設定が盛られようと、瞬殺されればネタキャラだ。


 とりあえず、邪魔な死体を窓から放り投げたところで一限終了のチャイムが鳴った。


休み時間


弥「『風景を切り取る』んだと思ってたんだがな」

仲「それは最強過ぎない?」


『黙火剣』

炎を操る剣を出せる。あと無口になる。

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