予習
俺の名前は柱日弥舞。中学二年生だ。
ある日、自宅のベッドで漫画を読んでいると、頭の中から機械的な声が響いてきた。
《柱日弥舞は、厨ニ魔術『厨二属性付加』を習得した》
……。
……何だ今の。
厨二魔術って何だ厨二魔術って。あとネーミング。チューニングって。ダジャレかよ。
とりあえず魔術が使えるようになったらしいので、その辺に落ちてたボールペンに使ってみた。
《厨二魔術『厨二属性付加』発動》
《『ボールペン』が『剣よりも強いペン』に変化した》
脳内でそんなアナウンスが響いたが、ボールペンの見た目は何も変わらない。
不思議に思って拾って手に持ってみると、禍々しい魔法陣が現れて、ペンが1メートルぐらいのでかい剣に変わった。
剣はなかなか格好良いデザインをしており、また、大きさの割に驚くほど軽い。
…………ペンじゃねえのかよ!
なんなんださっきのアナウンス。意味あんのか。
しかしコレどうしよう。銃刀法違反で捕まるぞ。
と、思っていたら一分ぐらいで元のペンに戻った。時間制限付きらしい。
闇商人の道は途絶えたわけだ。良かった良かった。
もうちょっと試してみたくなって、枕元に置いてある目覚まし時計にも使ってみた。
《『目覚まし時計』が『終焉を叫ぶ羅針盤』に変化した》
それまで普通に21:24をさしていたデジタル時計の表示が1:00に変わり、数字が減っていく。
0:59、0:58、0:57――――――――
本能的に、時計を窓から家のそばを流れている川に投げ込んだ。
しばらくすると、川の一部で水が渦を巻くように流れが変わり、渦の中心から五メートルくらいの水柱が上がった。
…………。
…………うん。
寝よう。