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「異世界に転生した俺、『完全学習』で最速無双してたら、いつの間にか最強のパーティができあがっていました。」  作者: 悠々


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乙女たちの夜会

学園都市ライブラリアを救った英雄として、一行は街の最高級の宿屋に招待されていた。

遺跡探索の疲れを癒すため、女性メンバーたちは宿に備え付けられた豪華な大浴場を堪能し、一つの部屋に集まっていた。

ふかふかのベッドの上で、湯上がりの火照った体をくつろがせる。


リリィ、セレス、ティナ、そしてルーナ。

種族も、育ちも、性格も全く違う四人。

そんな彼女たちを結びつけているのは、カズマという一人の男の存在だった。


しばらく他愛もないおしゃべりが続いた後、不意に、ティナが爆弾を投下した。


「よし、決めた!」


ティナはベッドからガバッと体を起こすと、高らかに宣言した。


「あたし、カズマをあたしの男にする!」


その単刀直入すぎる一言に、部屋の空気が一瞬で凍りつく。


「ええええっ!? な、何を急に言うんですか、ティナ!」

リリィが顔を真っ赤にして、わたわたと慌てる。

セレスは興味がないというようにそっぽを向いているが、その耳は微かに赤く染まっていた。

ルーナだけが、興味深そうに目を輝かせ、ティナの言葉の続きを待っている。


「だってそうだろ? あいつは、あたしのリーダーだ。あたしがずっと探し求めていた、最高のリーダー。そして、赤猫団のみんなみたいに、あたしが命をかけて守りたいって思える、新しい『家族』だ。だったら、あたしが一番近くにいて、支えるのが当たり前じゃねえか!」


ティナは胸を張り、当然のように言い切った。

そのまっすぐな信頼と愛情が込められた言葉に、他の三人が呆気にとられていると、ティナはニヤリと笑ってリリィを指差した。

「で、あんたはどうなんだよ、リリィ。まさか、ただの恩人だなんて思ってんじゃねえだろうな?」


「ひゃいっ!?」

リリィは突然話を振られ、飛び上がらんばかりに驚くと、観念したように小さな声で語り始めた。


「わ、私は…カズマさんは、命の恩人です。私の夢を、諦めかけていた未来を、全部救ってくれました。だから…その、お側にいて、少しでもカズマさんのお力になりたいなって…。それだけ、です…」


最後の方は消え入りそうな声だったが、その言葉には、嘘偽りのない純粋な感謝と献身が込められていた。


「へえ、恩人ね。まあ、あんたの場合は分かりやすいな」

ティナは納得したように頷くと、次にセレスに視線を向けた。


「じゃ、次はあんただ、セレス」


「なっ…! 私は関係ないだろう!」

セレスが動揺を隠せずに反論する。


「関係なくねえだろ。あんた、いっつもカズマのこと目で追ってるじゃねえか。バレバレなんだよ」


図星を突かれ、セレスはぐっと言葉に詰まった。

しばらく沈黙した後、彼女は小さな、しかし凛とした声で言った。


「…私は、ただ、彼の強さを求めているだけだ。彼は、私の知らない『最強』の景色を知っている。私は、彼の隣で、その景色をこの目で見たい。剣士として、彼を目標としている…それだけだ」


「ふーん、目標ねえ」

ティナは意味ありげにニヤニヤしている。


「じゃあ、最後はあんただ、ルーナ。あんたが一番ワケわかんねえ」


話を振られたルーナは、待ってましたとばかりに嬉しそうに語り始めた。


「私の生涯をかけた研究テーマは『世界の真理』の探求。そして、カズマはその答えそのもの。だから、彼を研究対象として見ているのは、もちろん事実よ」


「やっぱりそっちかよ…」

ティナが呆れたように言うが、ルーナは話を止めない。


「でもね、昨日、分かってしまったの。彼が不可能を可能にしたあの瞬間、私の知的好奇心は、とっくに個人的な独占欲に変わってしまっていた。彼の隣は、誰にも渡したくない。私だけのパートナーでいてほしい。…科学的には、全く非合理的な感情ね」


ルーナは少し頬を赤らめ、しかしはっきりと、自分の独占欲を科学用語で分析するように語った。


恩人、目標、研究対象。

三者三様の答えを聞いて、ティナは腹を抱えて笑い出した。


「ひーっ、面白い! みんな見事にバラバラじゃねえか!」


四人の想いは、それぞれ全く違う形をしていた。

だが、一つだけ共通していることがある。

それは、全員が、カズマという存在に、人生を揺るがすほどの特別な感情を抱いているということ。


「まあ、なんだ。あいつを支えたいって気持ちは、みんな同じみたいだな」

ティナが言うと、三人も静かに頷いた。


「私たちは、カズマを支える最高のチームよ」

「そして、互いに高め合う、最高のライバルでもあるな」

「ええ、負けませんよ!」


ルーナの言葉に、セレスが乗り、リリィが力強く宣言する。


その夜、四人の乙女たちの間には、奇妙で、しかし確かな友情と連帯感が芽生えた。


翌朝。

何も知らないカズマは、どこか昨日までとは違う、火花が散るような、それでいて一体感のある四人の視線に晒され、首を傾げることになるのだった。

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