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「異世界に転生した俺、『完全学習』で最速無双してたら、いつの間にか最強のパーティができあがっていました。」  作者: 悠々


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古代遺跡の謎

ルーナは一行を大図書館の奥深く、一般の利用者は立ち入れない特別な区画へと案内した。

学園都市では、特に重要な研究を行う教員は、膨大な資料に直接アクセスできるよう、この大図書館内に専用の研究室を与えられるのだ。それは、彼女がこの街でいかに特別な存在であるかを示す証でもあった。

彼女の研究室は、天井まで届く本棚と、雑然と積まれた羊皮紙の山で埋め尽くされている。机の上には、奇妙な形をした観測器具や、分解された古代の魔道具の残骸が散らばっていた。


「さあ、座って。これが、私が長年研究している遺跡の資料よ」

ルーナは机の上の山を片付けると、一枚の巨大な地図を広げた。

それは、学園都市の地下深くに広がる、巨大な遺跡の構造図だった。


「この遺跡は、少なくとも数千年以上前のもの。おそらく、今の文明よりも遥かに高度な魔術文明の遺産よ。でも、見ての通り、ほとんどの区画が未踏破なの」


彼女が指差した地図には、無数の通路や部屋が描かれているが、その大半が「解読不能」「トラップ多数」といった注釈で埋め尽くされている。


「最大の難関は、この古代文字。そして、それを応用した極めて複雑な魔術トラップ。この学園の誰よりも古代魔術に精通している自負はあるけれど、それでもこの文字体系の解読は全く進んでいないのよ」

ルーナは悔しそうに唇を噛んだ。


その時、研究室の扉がノックもなしに開けられた。


「ルーナ。君ほどの天才が、こんな素人たちを研究室に招き入れるとは感心しないな」


入ってきたのは、豪奢な刺繍が施されたローブをまとった、銀髪の青年だった。

その顔立ちは整っているが、他人を見下すような傲慢さが滲み出ている。


「ヴィクトル…! ノックくらいしたらどうなの?」

ルーナが不快感を露わにする。


「おや、これは失礼。だが、君の研究の進捗を心配してきてみれば、こんな得体の知れない連中と馴れ合っているとは。彼らは冒険者だろう? 脳まで筋肉でできているような連中に、この神聖な知の殿堂で何ができるというんだい?」

ヴィクトルはカズマたちを一瞥すると、あからさまに侮蔑の表情を浮かべた。


「なにおう、やんのかコラ!」

ティナが椅子を蹴って立ち上がるが、カズマがそれを手で制した。


ヴィクトルは、ルーナと同じく若くして教鞭をとる天才魔術師。

だが、由緒正しい魔術師の家系に生まれ、正統的な魔術理論を信奉する彼は、常識外れの発想で研究を進めるルーナを一方的にライバル視し、何かと突っかかってくるのだった。


「ヴィクトル、彼らは私の大事な研究パートナーよ。口を慎みなさい」

「研究パートナー? 笑わせるな。君も、いよいよ正気を失ったか。こんな連中が、我々ですら解読できない古代文字を読めるとでも?」


ヴィクトルが嘲笑した、その時。

カズマは、ルーナが広げた資料――古代文字がびっしりと書かれた羊皮紙の写しを、何気なく手に取った。


――ピロン。

【スキル『古代魔術文字 Lv.MAX』を習得しました】


「ああ、これのことか」

カズマは、まるで子供向けの絵本でも読むかのように、羊皮紙に書かれた文字をスラスラと音読し始めた。


「『星の運行は魔力の潮汐を定め、満ちる月の光は古き門を開く鍵となる』…ふむふむ、なるほど。この遺跡の入り口は、月の満ち欠けと連動してるのか」


研究室が、水を打ったように静まり返った。


「……え?」

ルーナが、間の抜けた声を漏らす。


「う、そ…でしょ…? 今、なんて…?」

彼女は震える手で、自分が数年間かけてようやく解読した数単語のメモと、カズマの言葉を照らし合わせる。

完璧に一致していた。いや、それ以上に、カズマの翻訳は流麗で、文脈を完全に理解していた。


「ば、馬鹿な! ありえない! 貴様、どこでその知識を!? 何かトリックを使ったに違いない!」

ヴィクトルが顔を真っ赤にして叫ぶ。

彼のプライドが、目の前で起きている現実を拒絶していた。


「トリックも何も、見たから読めただけだが?」

カズマはきょとんとした顔で答える。


その悪意のない純粋な一言が、ヴィクトルの心をさらに深く抉った。


「はは…あはははは!」

ルーナが、突然狂ったように笑い出した。

その瞳は、これまでにないほどの興奮と歓喜で爛々と輝いている。


「すごい! すごいわカズマ! あなた、最高よ! あなたがいれば、この遺跡の謎が、世界の真理が解き明かせるかもしれない!」


彼女はカズマの両肩を掴み、子供のようにはしゃいだ。


「決めたわ! 明日、早速遺跡に行きましょう! あなたと私、そしてあなたの仲間たちも一緒よ!」


「待て、ルーナ! 私も行く!」

ヴィクトルが慌てて叫んだ。

「そ、その男が本当に古代文字を読めるのか、この目で見届ける必要がある! 私が監視役として同行してやろう!」


彼はプライドを保つために必死だったが、その顔には「この歴史的瞬間に乗り遅れたくない」と書いてあった。


「ふん、好きにすれば? 足手まちょいにならないでよね」

ルーナは鼻を鳴らすと、再びカズマに向き直った。


「いいわね、カズマ? あなたの研究、第一段階の始まりよ!」


こうして、カズマの常識外れの能力は、二人の天才魔術師を巻き込み、古代遺跡への扉を開くことになった。

その先に、どんな謎と危険が待ち受けているのか。

カズマは、面倒なことになったと思いつつも、胸が高鳴るのを止められなかった。

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