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「異世界に転生した俺、『完全学習』で最速無双してたら、いつの間にか最強のパーティができあがっていました。」  作者: 悠々


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異世界転生と『完全学習』

最期の記憶は、けたたましいトラックのクラクション。

アスファルトに叩きつけられる衝撃。

月曜の朝。寝不足の頭でぼんやりと横断歩道を渡っていたのが間違いだった。

平凡なサラリーマン佐藤和真としての人生はあまりにもあっけなく幕を閉じた。


次に意識が戻った時。

彼は真っ白な空間にいた。

身体の感覚はない。ただ意識だけがそこにある。


『目覚めましたか、迷える魂よ』


頭の中に直接声が響く。

男でも女でもない。ただ澄み切った声。

目の前には太陽のように眩しい巨大な光の玉が浮かんでいた。


「……神様とかですか?」

『あなたたちの認識ではそれが最も近いでしょう』


神様は淡々と告げる。

彼が死んだこと。

そして彼の魂が異世界へ転生する資格を得たこと。

なんでも彼の魂はほんのわずかに「特異な資質」を持っていたらしい。


『あなたには新たな世界で第二の生を歩む権利が与えられます。そして、ささやかながら餞別を授けましょう』


神様がそう言うと二つの光が彼の意識に流れ込んできた。

一つ目は心臓の位置に宿る温かく力強い光。


『それは『魔力炉心マナコア』。あなたの魂と直結し、無限に魔力を汲み上げる源泉です。魔力が尽きることは未来永劫ないでしょう』


無限の魔力。

その言葉だけで胸が高鳴る。

そして二つ目の光が彼の脳と魂そのものを書き換えていく。


『それは『完全学習パーフェクトスタディ』。あなたが見たもの、聞いたもの、経験したすべてを瞬時に理解し、習得する力です。魔術、剣技、知識、言語……あらゆる事象が、あなたの糧となるでしょう』


それはあまりにも規格外な力だった。

平凡なサラリーマンだった彼には到底釣り合わないほどのチート能力。


「なぜ、自分にこんなものを?」

『世界は停滞しています。あなたのその特異な力が、良きにしろ悪しきにしろ世界に新たな風を吹き込むことを期待して。さあ、行きなさい。新たなあなたの人生を存分に謳歌するのです』

『ああ、それと。当面の生活資金として、いくらかの貨幣も持たせておきましょう。あなたの新たな門出への、ささやかな祝いです』


神様の言葉を最後に彼の意識は再び光に包まれそして暗転した。


次に目を開けた時。

彼は森の中にいた。

ひんやりとした土の匂い。頬を撫でる優しい風。見上げる空はどこまでも青く、見たこともない形の鳥が鳴きながら横切っていく。五感すべてがここが元の世界ではないと告げていた。


ゆっくりと身体を起こす。

手足が問題なく動くことを確認する。

腰には革袋が一つ。中には見慣れない硬貨が入っていた。銀貨が10枚ほどと、銅貨が数十枚。神様からの餞別だろう。これで当面の生活には困らない。

そしてふと視界の隅に半透明のウィンドウが浮かんでいることに気づいた。

それはゲームのステータス画面によく似ていた。


【カズマ Lv.1】

HP: 100/100

MP: ∞/∞

スキル: 『完全学習』『魔力炉心』


「……カズマ、か。本当に、新しい人生が始まったんだな」


自分の名前が佐藤和真からカズマに変わっている。レベルは 1 だが、MP が無限(∞)になっているのを見て、神の話が真実だったと確信した。


問題は『完全学習』だ。本当にそんな都合のいい能力があるのか?

カズマは手近に落ちていた手頃な太さの木の枝を拾った。剣など体育の授業で竹刀を握ったことがある程度だ。


だが頭の中でイメージする。

前世で見た時代劇の剣豪が放った流れるような剣の軌跡を。燕返し、と確か呼ばれていた。常人には不可能とされる、切り上げと切り下ろしを同時に行う神業。


次の瞬間。

彼の身体は意思とは無関係に勝手に動き出していた。

腰を落とし、枝を逆手に構える。ありえないほどの速さで地を蹴り、枝が閃光のように走った。

ヒュンと空気を切り裂く鋭い音。木の枝がまるで本物の剣のように複雑かつ洗練された軌跡を描く。

身体に馴染む筋肉の動かし方、重心の移動、呼吸法。達人の剣技が完全に彼のものになっていた。


「……すごいな、これ」


あまりのことにカズマは乾いた笑いを漏らした。

これは本物だ。

この力があればなんだってできる。

前世では叶わなかった安泰で平和なスローライフ。いや、それ以上のことだって……。


カズマは込み上げる興奮を抑え笑みを浮かべた。

まずは情報収集だ。そして、腹ごしらえもしたい。

彼は森を抜け遠くに見える街の城壁を目指して力強く歩き出した。

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