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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
二章 学園の魔術師

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【1】 学園は世知辛い

 時は流れ三年後。私は十二歳となり学園へ通うこととなった。

 もちろんシルディアルも一緒だ。

 シルディアルは九歳の時の事件(?)以来私に対して物凄く過保護になっていた。今もその件でよく喧嘩をしている。

 (だってずーっと一緒にいるんだもん)

 私になって一人の時間は欲しいのに・・。

 まぁそういうわけでおのずと学校も一緒になり、登下校も一緒という羽目になった。もう婚約者ではなく番犬か?と言いたくなるレベルだ。まぁ本人が傷つくので言わないが。

 あ、そうそう。そう言えばここ数年でシルディアルの背はかなり伸びた。九歳の頃は私の方が背が高かったのに、今ではシルディアルの方だ高い。

 確か百六十はあるんじゃないっけ?これからも伸びるだろうから百七十以上は確定だろう。

 それに対して私はというと、全然伸びていない。数センチ伸びて百四十九である。百四十九に縁があるのか前世と一緒の身長だ。もうヤダ。

 シルディアルが二十センチ以上伸びたのに、なぜ私は数センチしか伸びなかったのだろうか。一時期、牛乳を飲めば伸びると信じ一日に牛乳瓶五本飲んでいたら、お腹が痛くなったという出来事がある。

 だから痛い思いをしたから身長は十センチ伸びると思っていた。

 だが現実はそんな甘くはなかったのだ。

 

 「はぁーなんでシルディアルだけ伸びるのよ・・」

 「呼んだか?」

 「ひゃぁぁっ!居たの!?なんで!?」


 急に横に現れたシルディアルに驚き、私は数歩後ろに下がる。

 

 「居たも何も、ここで待ってろって言ったのは俺だろ?待たせて悪かったなフローレ」


 シルディアルはそう言って私の額にキスをした。

 傍から見れば顔が赤くなるような出来事だろうが、最近は私を見つけるたびに挨拶としてキスをするので感動もトキメキも足を生やしてどこかへ行ってしまった。

 

 「あ・・そうだったわね・・。それで?用事は終わったの?」

 「あぁ。終わったよ。それじゃあクラス別けの貼り紙見に行こうぜ。中央ホールに貼ってあるらしいからな。寮の部屋番号もそこに書いてあるらしい」

 「そっか・・今日から寮か・・」

 

 頭からすっかり抜け落ちていた。

 実を言うと、今日私は寝坊したのだ。シルディアルが迎えに来てくれる五分前まで寝ていた。

 だから服とか、必要なものは多分侍女が詰めてくれたのだろう。

 (確か夜やろうとして、眠くなったから明日の朝早起きして荷造りしようと考えていたのよね)

 それも失敗に終わったが。

 

 「はぁー。それでお前大丈夫かよ?まぁ部屋に侍女が一人いるから大丈夫だろうが・・」

 「あれ?侍女って連れてきてよかったんだっけ?」

 「・・・」


 あ。まずい。シルディアルが「お前そんなことも知らないで学園に通おうとしてたのかよ」という顔をしている。

 

 「ち、違うのよ?寝ぼけていたから・・ね!」


 ここは笑って誤魔化しておこう。

 別に忘れていたわけではないのだが、魔術の先生に会えるという感動で他のことが頭の隅に追いやられていただけなのだ。


 「ほ、ほら!クラス確認しよっ!えーとシルディアルは・・」

 「あった。一組だ」

 「え、見つけるの早!」


 まさか、確認しようと言った五秒後に見つけるとは夢にも思わなかった。悔しさから私は必死に自分の名前を探す。すると二組と書いてある文字の下に私の名前を見つけた。


 「あ。いたな。お前は二組か・・クラス離れちまったな」


 二組の他の生徒の名前を見てみるが、面識の無い生徒ばかり。不安である。

 ついでに寮の部屋番号を見る。

 (あ。あった。304か・・。えっと確か一階に部屋は無かったはずだから・・四階かな?)

 

 「俺は305だったぜ」

 「そう。私は304。部屋番号は近いけど、男女は別棟だしね」

 「だな・・・向かい合わせだったよな?んじゃあ窓あければ見えるんじゃね?」

 「そこまでしなくても・・・」


 私はシルディアルに抱き着き耳元でこう囁いた。


 ”私の顔は好きな時に見ればいいじゃない”


 「・・・・」


 ・・あれ?変だった?シルディアルは固まってしまった。蹴っても叩いても無反応である。さすがにこのまま中央ホールで突っ立っているわけにはいかないので、私はシルディアルの腕を引っ張ってクラスの前まで運んだ。


 「んじゃ。頑張りなさいよ。私クラスこっちだから」

 「あ・・・・あ」


 シルディアルはぎこちない返事をすると一組へと入っていった。

 無事に婚約者がクラスへ入っていったのを確認すると私も自分のクラスへと入る。

 クラスにはもう大半の生徒が集まっていて挨拶や雑談などをしている。

 (え。早くない!?私も誰かと話した方が・・いやまずは挨拶だよね!)


 「えっと、こんにち・・は」

 「・・・・」


 私は前側の扉から教室へ入り、挨拶をした。・・だが思いの外反応が薄い。

 (な。何か間違えた!?)

 私は沈黙への焦りから頭の中で次の言葉を出そうとする。ーーだが。考えているうちに聞こえてきた。なぜ私への挨拶に反応が無かったのかを。


 「ねぇあの子じゃない?魔術を使うって噂の・・」

 「まぁそうなの?なんて恐ろい・・」

 

 (・・・え?)

 そりゃあ魔術を広めに学園へ入学したけど、なぜ私が魔術を使うことを知っているのだろうか。

 怖がられてでは話しかけることすら難しいのに・・


 「あ。あの・・」

 「きゃっ!近寄らないでくださる?」

 「あちらへ行きましょう」

 「そうね。近づいたら何されるかわからないものね」


 そう言って令嬢たちは教室の端の方へ行ってしまった。他の人に話しかけようとしたけど、みんな無視か逃げてしまう。

 私は話しかけるのを諦めると教室の隅っこの席へと座った。

 (・・・まさか初日でこんなことになるとは・・。シルディアルは大丈夫だっただろうか)

 私は隣の教室にいるシルディアルを心配した。

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