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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
五章 人を味方に

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【1】 喧嘩は続くよどこまでも

 「師匠!」

 「ししょー!」

 

 そう言って俺の手を引っ張る二人の子供。

 一人は女で名はフィステニア。もう一人は男で名前はモルガ。

 二人とも俺の弟子で、毎日魔術の勉強をしている。

 フィステニアは向こうから俺に弟子入りをしてきて、モルガの方は親から冷遇されていたところを俺が魔術の才能を買い、引き取ったのだ、

 二人ともやる気があり、魔術の上達はとても早かった。早い分喧嘩も多かったが・・。

 だが今はこんなにも無邪気に笑っているのに、数年後には一人は戦死して、もう一人もそれを追うように死んだ。

 死んだと知らされたときのことはあまりよく覚えていない。

 ただ教えに来てくれた俺の友人に対し、「そうか」とだけ言ったのは覚えている。

 

 その時の俺は勇者パーティーのメンバーの一員で、これから魔王を倒しに行くという時だったため彼女の葬儀にも出なかった。


 結局魔王を倒して、俺の目的も果たされるかと思ったがそうはならなかった。

 こんなんならフィステニアの葬儀に出ればよかった。モルガの葬儀にも。

(・・後悔しても遅いんだがな)

 俺は牢獄の檻を見る。


 俺は昨日の朝に捕まった。捕まった理由は魔術を学ぶという大罪を犯したかららしい。

 らしいというのはまだ詳しく罪状を聞いていないから。まぁ聞かなくても昨日に魔術を学ぶ者の処罰を王が決めたという新聞を読んだばかりだ。

 捕まった理由はなんとなく予想がつくが・・。

 

 ・・シルディアルには嫌なものを見せてしまったと思っている。

 かつての師が捕まるところなんざ見たくねぇだろうに。

 シルディアルは素直じゃねぇが良い奴だ。俺のことを嫌いとか言っときながら、俺を助けようとしていた。

 だがあいつまで魔術で捕まったらフローレの心は折れたしまう。

 前世の時からそうだった。いつも明るいよう振る舞っているが、中身は繊細だ。

 誰かが死んだり、嫌味を言われただけで心が折れてしまう。

 でも自分の味方が一人さえいればあいつは大丈夫だ。あいつは一人なら弱いが二人以上なら強い。

 だか、あいつなら・・きっと野望も叶うだろう。

 (俺の頼み事なんてしなきゃよかった)

 さっき看守達の話を聞いてしまった。

 見せしめのために数人は殺すかもしれないと。

 俺は魔術の罪の中でもかなり重い方らしい。だから殺される可能性もある。

 死んだやつの頼み事なんざただの枷でしかない。

 だがここで何を言おうにもあの二人に届くことはない。

 (届くことはないが、俺はただで死ぬ気もねぇ。俺は足掻くぜ最後まで)

 足掻いた結果あの二人には迷惑をかけるかもしれないが、師匠の最後の迷惑だと思って笑い飛ばしてほしい。


 「すまんな、フローレ、シルディアル。いや、フィステニア、モルガ。俺の弟子達」


 * * * *


「だから言ってるでしょう?シルディアル。絶対にショートとかして魔術は安全な物だよって知らしめた方がいいって!」

 「んなそんなことしたら捕まるって!!現に先生も捕まっただろ!?今魔術を使うのは得策じゃねぇんだよ!ーってか犯人を見つけるんじゃないのか?」


 ーーー今私たちは今後の方向性について揉めていた。


 私は学園全体を味方につけ、国に抗議するという方向。

 シルディアルは魔術は使わずに犯人を見つけるという方向だ。


 「そんなことは分かってるよ!でもでも、学園を味方につけられたら大きいと思うんだよ!ボンボンが沢山いるし」

 「ボ、ボンボンって・・。んだけどさ、今はそれをやる時じゃねぇっての!」


 シルディアルは大声でそう怒鳴る。

 

 「・・でも私も我儘でそう言っているわけじゃない。・・ちょっとシルディアル耳貸して?」

 「なんで・・。分かった」


 シルディアルは初め意味がわからないという顔をしたが私が視線を向けると頷いて耳を貸してくれた。


 「・・まぁそういうことなら」

 「本当!?」

 「あぁ。だが人数が・・」


 足りないと言いたいのだろう。師匠もいないし、ルリアンだっていない。

 だけどそれは問題ない。


 


 「あ、あの!!」


 かつての仲間の声が聞こえてくる。

 声のした方を見ればルリアンがドアのそばに立っていた。

 面と向かって会うのは三年ぶり。背も伸び、顔つきも少し大人になっていた。


 「・・久しぶりルリアン」

 「・・お、お久しぶりです。ぬす、盗み聞きするつもりはなかったのですが、廊下を歩いていたらふ.二人の会話が聞こえて。その。ショーの件私にも手伝わせてください!!」


 ルリアンはそう言って頭を下げてきた。少し震えている。三年前と変わっていて変わっていない。


 「・・もちろん。手伝って!ルリアン!」

 「・・よろしく頼む。クレーシー嬢?」


 私とシルディアルはそう言ってルリアンに手を差し出す。

 ルリアンはというと少し嬉しそうにはにかみ私達の手を取った。





 私が天使の手を取ったのか悪魔の手を取ったのか分かるのは数日後である。


 

昨日はハロウィンでしたね!そんなハロウィンにちなんでXにてハロウィンのショートストーリーを投稿してあります。(雪道蒼細のXアカウントにて!)

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