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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
四章 魔術を広げるために

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【3】 嫌なことはやってくる

 時は流れ数時間後。

 私は師匠に会うために師匠の研究室へと訪れていた。


 「し、師匠~!」

 「ごふぅぅぅぅぅ!」


 私は師匠の研究室に着くなり、そう言って師匠に抱き着いた。(否、タックルした)

 師匠は手に持っていたコップを落とし、地面にうずくまっている。魚のように口をパクパクとさせて私に何かを伝えようとしているが、残念ながら分からない。

 (ーーってか勇者パーティーにいた自称二十代だったなら、せめて受け身くらいとんなさいよ)

 そう心の中で文句を言い、私は机の上に置いてあったポットを手に取り近くに会ったカップへとお茶を注ぐ。

 多分だが、体力のないおじさんは立ち上がるのに数十分は時間を要するだろう。

 (あーあ。こうなるって分かってたのに、なぜ私はタックルをしたのだろうか)

 ちょっと後悔しつつ温かいお茶を飲むフローレなのであった。


 * * * *


 「…で師匠。もう腰大丈夫?」

 「まままま、まあな」


 言葉的に大丈夫ではないのだが‥師匠の腰が私のタックルによってやられるのは、毎度のことなのでスルーでいいだろう。

 前世では挨拶代わりに毎日タックルをかましていた。なぜタックルなのかと言うと、前世で父が「タックルをかませるのは強りやつしかいないんだ!」と言っていたからだ。

 このことを父に言われたのは私が五歳の時で、強さに憧れていた私はその日からタックルの練習を始めた。

 まぁそう言うわけで師匠に弟子入りしたときにはもうすでにタックル少女になっていたのだ。

 (でも今世では公爵家の令嬢なのでタックル少女とはおさらばしたが‥)


 「あ、そうだ。私、師匠の顔を見たかったのもあるんですけど、師匠にルリアンのこと聞きに来たんだった」

 「ん?クレーシー嬢のことか?」

 「そうそう。シルディアルに聞いても知らないって言うしさ。師匠なら知ってるかなって…」


 最近顔を見ていないルリアン。今元気なのかだけでも聞きたかった。

 (女子寮に行くか、ルリアンの教室に行けばいいんだけど、どっちとも知らないんだよね、寮番号とクラス)

 嫌がらせなどを避けるため、寮長に聞いても寮の部屋番号は教えてもらえないのだ。

 (まぁ、女子が知ってその情報を男子に教え、男子の侵入を防ぐためだろうけど)

 そういう夜関係で事件が会ったらやばいしね。まだ学生だし‥。

 

 「クレーシー嬢か。お前が授業に出なくなったころから授業に出なくなったな、クレーシー嬢。だから私も詳しくは知らないが、黒髪の令嬢と一緒に歩いている姿は一か月前くらいに見たぞ?」

 「そうですか…」


 まぁシルィアル曰く授業は師匠もあまり行ってなかったみたいだし、ルリアンも出ないのは納得できるんだけど‥。

 (黒髪の令嬢か…)

 思い当たるのは、私が中等部一年の頃、魔術を使わなくなる少し前にぶつかった令嬢だ。

 あの時、シルディアルとルリアンに特徴を話したら、すぐに特定できたってことは学園で黒髪はあの令嬢くらいなのだろう。名前は確か、セルフィア公爵令嬢。

 (あの時ルリアンと接点がなさそうに見えたけど‥)

 それにあの令嬢に私睨まれたし‥。何か不穏と言うか嫌な気配もした気がした。

 ‥ルリアンは引っ込み思案だし変な風に絡まれてないといいなと思った。


 「あ、そうだフローレ。俺が頼んでいた件どうだ?」

 「あーそーですね‥」


 ちなみに師匠が言っている「頼んでいた件」というものは、魔術師を悪に仕立てた人物を探すというものだ。

 (頼まれていた当初はそりゃ探していたけど、その後に魔術が怖くて避けてたからそれどころじゃなかったんだよな‥)

 それにまだその人物は見つかっていない。

 (ーってか情報もゼロなんだから見つかるはずないんだけど)

 一時期魔術を使って注目を集めれば悪者も出てくるのでは?と踏んだが、それも駄目になってしまったので、結局のところ進展していないのだ。


 「えっと‥その件ですが、これから見つけますよ‥。ハハハ…」

 「そうか。まぁ手伝ってくれてるだけ有り難いが、少し急いでほしい」

 「え?なんで?」


 ほんとになんで?である。だって別に急ぐような要素はなかったはずだが‥?

 私はじっと師匠を見る、


 「…最近国内での魔術に対する空気がおかしくなっている。前お前は学園での魔術に対する空気がおかしいと言ったな?それが国内にも広がったと思ってくれ‥」

 「それって…?」


 何故そのようなことが起きているのだろうか。学園でならまだわかる。この年頃は噂話を真実だと思い込みやすいし、噂が広がるのも早い。

 だが国内全体だとそのようなことは起こりづらい。なぜなら学生だけが住んでいるわけではないからだ。老若男女とわず色々な人がいる。

 だからそんな急に変化が起こるとは‥。


 「あ…」


 いや、あり得なくはない。だって国には国王がいる。この国は絶対王政だ。みんな国王を尊敬しているし、神に等しい存在だと思っている。

 だから王の言うことには国民全員が従う。

 反論をいうものなら即刻処刑だ。

 (今までは、魔術に関して王は関わらない方針だったけど‥) 

 王だって人間だ。意見が変わることくらいあるだろう。だが‥まさか‥?

 

 「もしかしなくても…国王陛下が何か言ったの…?」

 「まぁな‥。そのまさかだ‥」


 私はゆっくりと唾を飲み込んだ。


 

 * * * *


 「号外!号外だよ!!」


 新聞配達員は急いで新聞を街の人に配っていた。

 新聞配達員が持っている新聞には大きな見出しでこう書かれていた。



 『王が魔術を学ぶ者の処罰を決定!!』


 ーーーと。


活動報告にも書きました通り、作者の体調不良のため今月は偶数の日の投稿となります。m(__)m


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