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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
一章 九歳の魔術師

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【2】 私は何を言われようと魔術を学ぶ!

 「ですから!お願いしますお母様!お兄様!」


 私はそう言って二人に頭を下げた。魔術を学ぶべく現在私はお母様とお兄様を説得中だ。ちょうど庭にいる二人を発見したので声をかけ、今に至る。


 「やめておいたほうがいいんじゃないかしら?」

 「フローレ。お母様の言う通りだ…。やめておけ」


 ・・どうやら了承を得るのは難しいらしい。うーむ。どうしたら首を縦に振ってくれるだろうか。さっき「お父様はお二人と、婚約者の家を説得することができたらいいと言ってくれました!」と言っても反対された。

 

 「・・なんで私が魔術を学ぶことに反対なんですか?家門の・・ためですか?」

 「いいえ、そういうことではなくて・・。だってフローレ、あなたこの前親戚の方に「お喋り令嬢と結婚したい人なんていないぜ」って言われて落ち込んでいたでしょう?傷ついたばかりなのに魔術を勉強して、周りから冷たいことを言われてまた傷ついてしまうんじゃない?」


 あーそっちの心配か。そう言えば六歳の誕生日の時、従弟に悪口を言われて数週間落ち込んだっけ・・。そりゃ誰かから悪口を言われるとへこむけどさ・・私はもう人生二周目の女!前世と今世の年齢を足したら二十五歳!立派な大人!

 私は悪口を言われたくらいではくじけない!(多分!)


 「それについては大丈夫です!私はもう大人なので!ですから魔術を学ばせてください!!」

 「・・・本当にやりたいのか?」

 「・・やりたい。私にだってやりたいことはあるんです!」


 別に世界のヒーローになりたいわけじゃない。みんなから才能を認めてもらいたいわけじゃない。私は魔術の素晴らしさを世界に知らせたいんだ!

 ただみんなに笑ってほしい。魔術は人を笑顔にさせる!嫌な気持ちも吹き飛ばせる。魔術で人は変われるんだ!

 前世でできなかったことを今どうしてもやりたい。

 前世では広められなかった魔術を‥今世では広めたい。ちゃんと魔術を知ってもらいたい。

 きっともうチャンスはない。

 奇跡はそう何度も起こるものじゃない。


 「・・・分かった。僕は良いと思いますよ」

 「私も・・フローレがそんなに「やりたい」って言ったのは初めてですもの。なんだか応援したくなっちゃったわ」

 「!本当ですか!」


 許可が下りた。お母様とお兄様の顔を見れば穏やかに笑っていた。私は嬉しくなってその場で飛び跳ねたが、お母様に「はしたないですよ」と注意されたので止めた。

 よしっ!これで後は婚約者の家のみなんだけど・・・

 (婚約者・・・名前なんだっけ)


 ・・詰んだ


 * * * *

 

 (・・・本当に何だっけ!??)

 私は自室の椅子に座りながら記憶をたどっていた。前世の記憶を思い出したせいか、今世の記憶が薄れている。というか前世の記憶の情報量が多すぎて、私の脳がキャパオーバーっていうか・・。


 ・・いや、もしかしたら私はまだ婚約者と会ったことがないかも。ううん。そんなわけない、だって顔は思い出せるもん。白よりの水色みたいな髪色で眼はは緑。名前はシルディ・・あ。女の子みたいな名前だねって言ったことある気がしてきた。



 もう少し・・女っぽい女っぽい・・!


 「シルディアル・レビスだ!」


 私は思い出せたことの喜びで勢いよく椅子から立ち上がった。だが私はそのまま立ち上がれず、何かに頭をぶつけ地面へとへたり込んだ。


 「痛っ!」

 「うっーーっ」


 何かが落ちてきた?いや。そうじゃない、何かにぶつかった。お父様は仕事してるし、お兄様は淑女の部屋へ勝手に入ってきたりしない。お母様だってノックはする。

 ーーーとなると…。

 ・・え?泥棒。・・だって私の部屋に勝手に入ってくるなんて泥棒ぐらいしか・・

 私は恐る恐る声のする方を見る。


 「へ?」

 

 だがそこにいたのは泥棒でもなく・・婚約者だった。シルディアル・レビス、九歳。備考:特に無し。が地面に座り込み額を押さえている。えっと・・ごめんね?


 「だ、大丈夫?シルディアル?」


 私は一言も話さず地面にうずくまる少年に声をかける。がもちろん返事はない。返事と言っていいのか分からないが睨んできた。・・婚約者ってこんなんだったっけ?


 「だ・・」

 「だ?」

 「大丈夫じゃねぇよ!なんで急に立ち上がんだよ!」

 「そもそもなんであんたが私の部屋に入ってんの!」


 正論を言ったからか、シルディアルは「ぐぬぬ」と言って黙った。でも本当になんでこっそり入って来たんだろうか。

 

 「一応ノックはしたけどお前が返事しなかったんだよ。だから脅かせてやろうかと・・」


 どうやったら、そういう思考になるの。・・まぁ?精神年齢が十六歳上な私はそういうの気にしないけど。ふっ人生二周目の私の心は仙人なの・・。

 

 「はぁーまぁいいわ。で?何の用?」 

 

 私も用があるが、シルディアルが自ら私の家に来たんだ。きっと何か用事があったんだよね?


 「いや。ねぇよ?そう言えば数週間会ってないかもなって・・だから来た。お前前に行ってたろ?毎日来るのはやめろって。だから‥その数週間に一度くらいならいいだろ・・」


 そう言ってシルディアルはそっぽを向いてしまった。そう言えば毎日来るからいつかの日に「毎日来るのやめてよ!勉強進まないんだけど!?せめて数週間に一回にして!」と文句を言った気がする。あれを真に受けたとは・・


 「・・・数週間に一度くらいなら・・まぁ・・・。ってそうだ。あんたがは用事ないけど私はあるんだ!」

 「なんだ?お前やりたいことって勉強くらいじゃねぇのか?」


 失礼な・・そんな私勉強マンじゃ・・いや。勉強マンかも。ーーっとそれは一旦置いておこう。私はシルディアルの目を見てはっきりと言った。


 「私ね。魔術を勉強したいのよ!」

 「・・・・・」


 父と同様シルディアルは倒れた、お兄様とお母様は倒れなかったのに・・。軟弱ね。と思いながらシルディアルが目覚めるのを待つフローレなのであった。

シルディアル・レピス(9)

フローレを見て一目惚れをした。その後親に頼んで婚約者にしてもらったフローレ大好き人間。

本人の前では恥ずかしがって冷たい態度を取ってしまいがち。ツンデレ。

フローレの前では年相応だが、初対面の大人相手だと猫を被り優秀な子供を演じている。

だいたいのことはなんとなくでできる天才肌。

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