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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
二章 学園の魔術師

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【7】 不穏な空気の授業

 「今日もいい日♪明日もいい日♪そして毎日…」

 「いい日?」

 「そうーーってシルディアル!?いつから聞いてた?」


 今日はとても気分が良かったので、魔術の授業を行う教室へ一番に来ては自作の歌を歌っていた。最初はハミングだけだったのだが気分が上がり歌を歌ってしまった。

 不特定多数が来る教室で歌ってしまうとは。恥ずかしい。それによりにもよって婚約者が聞いているとは。

  

 「最初から。というかフローレが教室にスキップしながら入る所から見てたぜ」

 「うわぁぁぁぁl!!」


 恥ずかしさのあまり、シルディアルからそれ以上私の恥ずかしいエピソードが出る前に私は大きな声を出し、シルディアルの口を手で押さえた。

 これ以上言われたら私は恥ずかしさのあまり溶けてしまう。


 「分かった分かったって・・じゃあキスで許してくれよ」


 そう言ってシルディアルは私の頬にキスをした。

 いつもなら挨拶のキスくらいスルーするのだが、この前のこともあってか恥ずかしさで床にへたり込む。そして教科書で顔を隠した。

 (これ以上シルディアルの甘々オーラを浴びたら私死んじゃうよ!!)

 深呼吸したら落ち着くだろうかと思い、何十回と吸ったり吐いたりを繰り返したが落ち着かない。せめて授業が始まる前までにはどうにかしなければと思った時、低い男の声が教室に響いた。


 「・・・授業を始める。イチャつくなら帰れ。ここは勉強する場だ」


 まさかの先生登場である。心を落ち着かせるのに集中していたせいで鐘の音が聞こえなかった。

 

 「「すみません」」


 私たちは先生に向かって頭を下げ、席に座った。

 私たちが座った横に長いテーブルの端にはこの前話したルリアン。それと教室の隅に男子生徒が二名。教壇の前の席には髪をくるっくるに巻いた女子生徒が一名座っていた。

 この前は二十五人前後はいたのに、今はたったの六名である。

 (悲しいねぇ‥)


 「さて・・今日から知らせておいた通り実技を行う。教科書二十三ページを開け。そこに書いてあるのは物体を動かす魔法の呪文と魔法陣だ。皆には教科書に書いてある呪文を使い物体を動かしてもらうが・・・。まず私が手本を見せよう。・・・精霊よ 我が声に応え 物体を移動せよ」


 そう言って先生が呪文を唱えると、教壇に置いてあった教科書が宙に浮いた。先生が杖を動かせば教科書も斜めへ移動したり、急降下したりしている。

 私とシルディアルは「おぉ」という感じで先生が動かしている教科書に釘付けになっているが他の生徒はそうではないらしい。

 興味が無いのか窓を見ている者や、魔術を気味悪がっている者などがいる。

 ルリアンは下を向いているが時より先生の動かしている教科書を見ているという感じだ。


 「・・・ではやってみろ」

 「「「「「え・・・・」」」」」

 

 当たり前かのように先生はそう言った。まさかの手本を見せたらすぐ実践しろとは。なんだかうちの師匠のような人だな。

 (世の中の人間全員が手本をみただけでできるわけじゃないんだよ!)

 「なんでやらないんだ?」という顔をしているところから先生はきっと天才肌に違いない。なんでもやってみたらできちゃったという人だろう。

 (でもさ・・凡人の苦労も知ってほしいのよ・・)

 それも初心者となればできる者は少ないだろう。私やシルディアルはともかく他の生徒に手本を見せたからやってみろは酷な気がする。

 (あれ?でも私シルディアルにも同じことをしたような・・?)

 でもシルディアルは出来たし・・と心の中で言い訳をしておく。

 まぁ他の生徒が出来なかったら後でコツを教えてあげようと思い、ひとまず自分のタスクは終わらすことにした。


 「精霊よ 我が声に応え 物体を移動せよ」


 私が呪文を唱えると、私の教科書が目線の高さまで持ち上がった。横にいるシルディアルを見るとペンを動かし、文字を作っていた。


 「フ」 「ロ」 「ー」 「レ」 「愛」 「し」 「て」 「る」


 (授業中に魔術で遊ぶとは・・)

 私はにっこりと笑いシルディアルが浮かせているペンを回収した。

 (もう。こういうのは授業後にやるのよ・・)

 

 ・・さてはて。私は他の生徒の様子が気になり、教室を見渡してみる。

 同じテーブルにいるルリアンは苦戦しているようでなかなか物体を動かせていなかった。


 「精霊っよっ! わぎゃこえにぃ こ・・こたっえ!」

 「・・・」


 どうやら呪文を言うのに苦戦しているらしい。

 教室の隅に座っている男子生徒二人はというと、眉間にしわを寄せて教科書とにらめっこをしている。まだ出来ていないらしい。

 髪をくるっくるにした女子生徒は魔術を唱えたのは良いが、うまく操作できていないようだった。

 (まぁそうなるよね。この先生魔力のこめかたとか全然説明してなかったし)

 私が言えたことではないが、、、。

 よし私が教えてあげようと立ち上がった瞬間、先生が各生徒にコツを教えていた。

 (、、、もしかしてこの先生。一度やってみてできなかったらコツを教えるぜ?ってタイプか?)

 なら最初に教えろよ!と思ってしまうがまぁそう言う教育方針もあるだろう。

 

 「ちょっと!触んないでよ!」


 穏やかな雰囲気が流れていた教室に突くるっくるした髪の女子生徒が声を荒げた。

 

 「あんたみたいな魔術師が私の教科書に触んないでって言ってるの!」

 「、、、私はただ魔術の助言をしようとしただけだが?」


 先生は真顔でそう言った。だがそれがくるっくるした髪の女子生徒の逆鱗に触れたらしく、先生に対し暴言を吐いていた。

 (あの人名前は覚えてないけど確か侯爵家の人だったよね?あんな暴言を吐いていていいのだろうか)

 心なしか様子がおかしい気もするが。


 「おい、フローレ。あいつ凄い魔力が乱れてないか?」

  

 シルディアルの言う通り彼女は感情が昂っているせいか、魔力が乱れていて、今にも魔力が暴走しそうだ。

 細かく説明すると、魔力の器から魔力が自発的に飛び出そうとしている。普通なら人間が魔術を使うために魔力を引き出させるが、今はその逆ということだ。

 この状態が続けば魔力暴走を起こしてしまう。

 魔力暴走を起こせば助かる確率は三十%。

 それに周りの人間も死ぬ可能性がある。なら未然に防げばいいという意見もあるだろうが、一度魔力が乱れるとそれを元の状態に戻すことは不可能に近い。

 先生はどういうつもりなのだろうと、先生を見た瞬間、くるっくるした髪の女子生徒の魔力は暴走した。

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