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転生魔術師令嬢は転生した未来で魔術の素晴らしさを広めたい!〜悪役令嬢になんで負けてられるか!〜  作者: 雪道 蒼細
二章 学園の魔術師

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【5】 デート(?)いやこれはデートと呼ばない!

 あんなことがあった二日後。私は杖を買うためにシルディアルと待ち合わせをしていた。

 (何となく恥ずかしくて、ミルを通して買い物の約束をしたんだよね)

 本当は直接言うつもりだったが、いざ言おうとなると言葉が出てこず会話にならなかった。

 それにシルディアルも私と話すなり挙動不審になるしで「一緒に杖買いに行こう」なんて言える雰囲気じゃなかったのだ。

 (まぁでもそのおかげで素敵なワンピースを着らことができたし良しかな?)

 今日の服装は白のワンピースである。裾にはレースがついていて、花の刺繍がしてある。

 貴族ってバレると誘拐のリスクもあるので平民の格好だ。

 一応護衛を雇ったってミルが言ってたけど、目立たないように護衛をするそうなので私には分からないだろう。

 (で、でも護衛いるって言っても、これってやっぱりデートだよね!!)

 私は顔を真っ赤にした。だって深く考えてなかったけど、男女で二人っきりだし婚約者だし!!

 まだ十二歳と思われるかもしれないけど、私の中身は二十八歳なのだ。

 恋する乙女・・の年齢ではないかもしれないが、こうして恋愛にうつつを抜かしていてもいい年齢のはず。

 (それに今の私はピッチピチの十代だし)

 やばくはないやばくはない。

 何度も深呼吸をし私は心を落ち着かせた。だって緊張するんだもん。

 私は最後にもう一度だけ深呼吸をした後、腕時計を見た。

 腕時計を見れば針は十時を指している。待ち合わせは十時のはず。なのに来ない。

 (忘れられてるわけじゃないよね?)

 だってシルディアルは時間厳守人間だ。待ち合わせをするなら絶対に五分前にはついてる人なのに。

 本当に忘れ去られてたらどうしようと思った時、声がした。


 「フローレ!フローレ!」


 どこからかシルディアルの声がする。だけど付近に人はいない。空耳だったのだろうか?


 「?シルディアル?どこ?」


 私は目を凝らして辺りを見るが、やっぱりいない。


 「フローレ上だ!木!」

 「木?」


 私は上を見上げ、木を見るが人はいない。いるのは子リスだ。茶色でもふもふっとした子リスが木の枝から私を見ている。

 

 「いないじゃん!シルディアル?私を揶揄ってるの?」

 「違う!木にいるリスだよ!それが俺!」

 「へっ?」


 そう子リス(シルディアル?)が木の枝から地面へと飛び降りた。


 「えーっと。何でそうなったかだけ聞いていい?」

 「・・男子寮で事件が起こったんだ」

 「事件」

 「そうだ。俺の従者が俺の部屋の前で倒れてた。でその犯人候補ってことで寮長に追いかけ回されてたんだよ」


 「ーったく、ついてねぇよな」とシルディアルが頭を掻きながらそう言った。


 「そうだね・・。で?犯人はシルディアラなんでしょ?」

 「まあな。バレてもやばいから変化の魔術を使ってここまできたってわけだ」


 流石!と言いたいが、自分の従者に何かした挙句.逃走とは・・。


 「あんた、罪重くなるわよ」

 「そんなことどうだっていい!俺はフローレとデートするためにここまで来たんだからな!」

 「へっ」


 私の体温は一気に高くなった。だってさらっと「デート」って!!


 「ーんだから・・ん?なんでそんな顔真っ赤なんだ?行かないのか?」

 「ふぇ!?あ、行くよ!じゃあ、シルディアル、私の肩に乗って」

 「え」

 

 なんでだ?と顔に書いてあるが、逆にその姿で私とデートするつもりだったろうか。

 会話のしにくいし。


 「まぁいいから、買い物行くんでしょ」

 「あぁ。肩借りるぜ」


 そう言ってシルディアルは私の肩に乗った。なんだか相棒ができたようで嬉しい。

 だが。

 (これをデートと言っていいのだろうか)

 側から見ればペットと飼い主である。

 (折角のデートなのにぃぃ!!)


 * * * *


「そう言えば、なんで街で杖を買うんだ?学園の購買じゃダメなのか?」


 シルディアルは先程私が買ってあげたクッキーのかけらを齧りながらそう言った。

 まぁ確かに学園の購買でもいいけど。


 「ろくな杖がなかったんだよ」

 

 あっても一種類しかなく、しかもその杖は魔力が馴染みにくいと前世で超批判されていた杖だった。

 利点と言えば安く済む、と言うことだけである、

 あの杖ならば、リンゴ一個と変わらない値段だろう。

 魔術の授業があるのに、あれしか杖の種類がないのは悲しい。先生がもう少し言えば種類も増えるかもしれないのに。

 

 「ま、だから街で買った方がーーーあ!ほらあそこの店!」


 私は大通りを抜け、細い通りの道の奥の方にある不気味そうな家を指差した。

 一言で言えば今すぐにでも壊れそうな家だ。見た目は半壊だし、屋根の色は真っ黒だし、家の外には骸骨やら変なものばっか並べてある。

 (これが趣味だから仕方ないんだけど)

 私は呼び鈴を鳴らし、家主が出るのを待った。

 数秒ほど待つと中から声がしてきた。


 「合言葉は?」

 「レモネード嫌いは地獄に堕ちろ」

 「・・入りな」


 家主はそう言うと鍵を開けてくれた。

 (ふぅー、昔と合言葉が変わってなくてよかった)

 私は安堵の息をついているとシルディアルが声をかけていた。


 「えっと、今のなんだ?」

 「なんだって?合言葉だよ」


 ただの合言葉なのに何を不安がることがあるのか。


 「そうなんだが、不思議な言葉だな」


 まぁそれは否定しない。家主が考えたものだから。それに今時の魔術の中古品を扱う店はこうでもしないと潰されてしまう。

 正直言って私も今現在存在しているかは分からなかった。あると言うことは天が私の味方をしたのだろう。


 「まぁまぁ!シルディアルも入ればきっと気にいるよ!」

 「・・ん?」


 私は悪巧みをするような笑みを浮かべ、店内へと入った。

シルディアルは変化の魔術が一番得意です。中級程度の魔術ですが、変化の魔術だけは一発成功していました。本人もお気に入りだそうです。

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