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カエシテ……

作者: 八巻孝之
掲載日:2025/07/06

夜、スマホに知らない番号から着信があった。

 気味が悪いけど、なんとなく取ってしまう。

『……かえして……』

 しわがれた声。

 イタズラか?と切ろうとした瞬間、耳元でささやかれた。

『そこに、あるでしょ……返して……』

 思わず部屋を見回す。

 部屋にはいつも通り、漫画とゲームと飲みかけのコーヒー缶。

 だが、ふと机の端に目が止まった。

 古びた指輪。

 あれ、これ……いつ拾ったんだ?

 昨日、学校の帰り道で道ばたに落ちてたやつか。

 ただのガラクタだと思って持ち帰ったんだよな。

『返して……今、そこにいる……』

 背筋が凍った。

 視線を感じる。

 振り向きたくない。けど、振り向いてしまった。

 そこに……いた。

 髪が濡れ、目が潰れた女が、俺を見下ろしていた。

 口だけがにやりと笑っている。

「……ごめん……ごめんなさい……!」

 必死で指輪を差し出すと、女の白い指がそれを取った。

 瞬間、女の姿は霧のように消えた。

 心臓がバクバクして、足が震える。

 スマホを見ると、通話は切れていなかった。

『ありがとう……でも……』

 まだ、声が聞こえた。

『あれ……これ、私のじゃない……』

 背筋が凍り、もう一度部屋の中を見回した。

 その時、クローゼットが――ギイ、と音を立てて開いた。

 中には、もっと古い、もっと黒ずんだ指輪が……転がっていた。(553字)

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