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彼女がいなくなる頃に  作者: 春と芒
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ep.1 表明文

 今の日本で社会として抱える問題は多々ある。その最たる例ですら、列挙していっては切がなというものだが、それは現に潜在的に僕たちの社会の問題としてあるのだから、みすみす見過ごすわけにはいかないことも事実だと僕は思うんだ―――。

 

 5月1日。

 彼女が死んだ。

 

 死因は明確なものだった。自殺。

 自殺のようで、その仔細に関しては又聞きのようなものでしかないだが、風呂場で手首をスッパと切ったらしい。その惨状はまさにキャンパスに(あか)の絵の具を塗りたくったようなものだったという。

 想像するだけで血の気が引く思いだが、実際彼女にとってそれが最善の方法だったのかもしれない。

 それにしても彼女の両親が秘匿されている―――ニュースでも流れてこない―――ことをこうとも他言されていることに僕は多少なりとも憤りを感じた。けれども、ここにこのような文面で残している僕も同罪であろう。

 けど、これは僕にとっては彼女への恥辱ではなく、せめての彼女の救いであってほしいと思って身勝手ながら記しておこうと思った故に至った決断だ。

 死人に口なし。無論彼女を侮辱するようなことは極力避けたいが、それでも彼女という存在を形成するうえではやむおないく、彼女の人間性をもろに描いてしまうこともあるだろうが、再度ではあるが僕は彼女を故意として貶すつもりがあるわけじゃない。今までの文面からは意図的とも感じられるだろうが、それでも僕は真に彼女の軌跡を残したいだけの僕の独善でしかない。

 最後に、 

―――彼女への死に、そして彼女の両親にお悔やみを申し上げる。

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