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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
消えた彼女を見つけだして連れ帰るまで
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第90話_拷問のプロ

薄れていく意識。

やっと葵を取り戻したのに。

また奪われるのか......?


「......ハッ!」

気づいたのはベッドの上。


「ここはどこだ!」

俺は勢いよく起き上がろうとしたが、両手が固定されている。

見ると、手錠でつながれていた。


クソッ。

葵が軍服ヤロウに連れて行かれた。

般若が取り戻してくれてるといいけど。


キョロキョロと見回すとベッドの周囲はカーテンで覆われている、

ナースコールのボタンやワゴンがある。

(......ここは、病院?)


シャッ!という音を立てて、俺のベッドの周囲を囲っているカーテンが開いた。

「気づいたようだ」

制服の警官と、私服の......たぶん刑事が俺のベッドのそばに立つ。


「手錠を外してくれ。女の子が連れ去られたんだ!

俺は助けに行かないと」


「樫谷光一 東円山大学1年の19歳です。前科なし、酒気帯びなし。

所持品に、薬物なし。薬物検査はまだです」

制服警官は刑事に向かって、そんなことを報告している。


「俺は被害者だ。

俺にそっくりなやつが別世界から来ていて、俺の大事な愛する人を奪っていったんだ!」


「......薬物検査が必要だな」

私服刑事がぼそっとつぶやく。


「俺はポータル管理者だ!ポータル管理者!

ポータルを持ってきてくれれば見せてやる。

別世界への出入り口をつくることができるんだ」


警官たちは、俺の言葉を聞いても、渋い顔をして首を横に振るだけだった。

憐れむような視線まで向けられる。


血液や尿を取られた。

俺があばれるので、両手の自由が効かなくなる拘束具を着せられた。


「薬物なんかやってないって!

すぐに葵を助けに行かないと」

いくら叫んでもムダだった。


「薬物検査の結果は?」

医者と警官が廊下で話している。

薬物検査の結果、陰性だったら俺は自由になれるかもしれない。

俺は一生懸命、外の会話に耳を傾けた。


「......そうか」

警官の一人が頭の脇で、指をくるくる回すのが見えた。


(クソッ!狂人だと思われたってことか?......俺は一体どうなるんだ)


----------------


【葵】_精一杯の抵抗


「離せ!お前の言うことなんか聞かない。

あたしを自由にしろ」


軍服ヤロウはものすごい力であたしを連れ去った。

ヤツは古本屋に舞い戻った。

「お前を、俺が元いた場所に連れて行く。

俺と一緒にそこで暮らそう」


古本屋の中にはスキンヘッドの親父が無表情で本を読んでいる。

(般若はどこへいったのかな)

あたしは視線をあちこちに走らせたけど、般若の姿はなかった。


「おい!地下へ降りる箱を出せ!」

軍服ヤロウが、スキンヘッドに叫ぶ


スキンヘッドの親父は

「羅針盤が読み取ることが出来るものは?」

と静かに言った。


軍服ヤロウは目を見開く。

「ハッ!?こいつは何を言ってんだ?」


合言葉だ。

これに答えられなければ、秘密基地の扉が開くことはない。

どの施設もそうだった。


「早く扉を開けろ」

「羅針盤が読み取ることが出来るものは?」

親父が同じ言葉を無表情で繰り返す。


「こいつは、おどしてもムダだぞ。感情が動かないように訓練されてる」

あたしは軍服ヤロウに言った。

「この世界で、あたしを連れ回すのは無理だ。

か弱い女の子をいじめる男として、すぐに警察に捕まる。

諦めるんだな」


あたしがそう言うと、軍服ヤロウはスキンヘッドの親父が読んでいる本を奪った。


本を奪われた親父は、ぎょっとして軍服ヤロウを見る。

軍服ヤロウは、本を破る素振りを見せた。

「この本が好きなんだな?ビリビリに破いてもいいか?」

「や......やめろ。それはゲリー・デ・ユルユルの脱・世界線の初版本だ。

わずか10冊しか印刷されてない。この世に出回ってないものだ」


「へえ?」

軍服ヤロウは、本の1ページをビリビリと破った。

「あぁあっ」

親父は悲痛な叫びを上げた。


「地下へ降りる箱を出せば、これ以上破らないでやる!」

「ら.....羅針盤が読み取ることが出来るもの......は?」

親父が涙を流しながら軍服ヤロウに質問を繰り返す。


「もう1ページ破ることにする」

軍服ヤロウは本のページをビリビリと破いた。

「あっ.......あぅっ、あっ」

親父はまるで自分が引き裂かれているかのような声を上げる。


親父はのたうち回り、悲痛な叫びを上げた後、椅子からスッと立ち上がった。


そして、暗証番号を打つとともに、壁際にある隠し扉のレバーをおろした。

「羅針盤が読み取ることが出来るものは......ア、アカシックレコードだ」

親父は、自ら答えをつぶやきながら、隠し扉をあけたのだった。


「ハハハ。誰にでも弱みがあるんだ。

俺は、人の弱みを見つけるプロなんだ。

俺にかかるとみんな自白する。拷問もうまいんだぞ」

「自慢にならない!」

あたしはゾッとした。


同じ光一なのに。

住む世界......環境が違うだけでどうしてこんなに人間性が変わってしまうんだろうか。


軍服ヤロウに引きずられるようにして、あたしは古本屋の地下に連れて行かれた。

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