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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
彼女との出会いと彼女が消えてしまうまで
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第8話_一目惚れするほど可愛くもない

日本人形に間違って告白したことで、豆治郎はワンワン俺に吠え続けていた。

でも、もう起きてしまったことは仕方がないよな。


それよりも。

俺の頭は、葵ちゃんのことでいっぱいだった。


どうして今まであんなにかわいい子が大学にいたのに、気づかなかったんだろう。

俺って目が悪いのかな。

いや。

裸眼で2.0だった。


明日も会えるかな......。


俺はトレーニングスタジオヒルマの、スタッフルーム、自分のベッドの上で枕を抱きしめて寝返りを何度もうった。


やばい.....。


どうして急にこんなに好きになっちゃったんだろう。

いままで、女を好きになったことなんて無かったのに。


彼女にまた会いたい。

話ができなくてもいい。

むしろ、彼女にむかって俺は声が出せるのか不安だ。


姿を遠くから眺めるだけでいい。


写真でもあればな~。


そう思ったところで「ハッ」と気づく。


般若からもらった100万の紙袋。

あのなかに、彼女の写真があるってことに。


俺は勢いよく飛び起きると、紙袋のなかを漁った。

紙袋の中には、まだ60万円ほど残っていた。

その中に薄っぺらい茶封筒が入っていた。


あわてて封筒の中から書類を取り出す。


「いた!天使だ!」


封筒の中には、こちらに笑顔を向ける葵ちゃんがいた。

なんで、俺はこの封筒の中身を今まで見なかったのか。

見れば見るほど、彼女はかわいかった。


************


「俺は桜沢葵ちゃんと同じ部活動に入る」

翌日、俺は豆治郎にそう宣言した。


葵ちゃんと俺は別々の学科だし、接点がない。

会いたくても会えない。

会うためにはどうすればいいか。

同じ部活動に入れば良い。

そう思ったのだ。


「まじか。それで、光一が間違って告白しちゃった子には、どう説明するんだよ?

あの子も桜沢さんと同じ部活動だよ?

同じ部活に入ったりしたら、かえって、ややこしいことになるんじゃない?」


「あぁ~。あの子には、すみません間違えましたって言うわ」

「告白する相手をどうやったら、間違うんだよ」

「ん......そうだ!目が......目が悪かったことにする」


俺は無い知恵を振りしぼって豆治郎に言った。

豆治郎は大きなため息を付いた。


「光一は頭が悪いから、下手な嘘はつかない方がいい。

嘘つきだと一度思われると、桜沢葵は光一のこと好きになんかなってくれないよ?」

「それは困る!」

俺は慌てた。


「頼む。豆治郎、力になって欲しい。

俺は桜沢葵ちゃんのこと、すごく好きになった」

「不思議だな。桜沢さんは地味だし、一目惚れするほど可愛くもないのに」


豆治郎は首を傾げている。


俺は豆治郎の首を絞めた。

「そんな失礼なこと二度と言うな」

「ゴホッ!」

豆治郎が咳をして白目をむく。

「......アッ!ごめん。豆治郎、大丈夫」

俺は今度は豆治郎の肩を激しく揺すった。


豆治郎はしばらく、咳き込んで息を整えていた。

「なんだか、光一と一緒にいると平穏な俺の日常が失われていく」

豆治郎はボソッと、そんなことをつぶやいた。




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