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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
消えた彼女を見つけだして連れ帰るまで
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第72話_【葵】逃げる

「......って!」

後頭部を灰皿で殴られた光一は、頭を抑えると後ろを振り返った。

達治を見て目を見張る。

「お前……」

そう言ったあと急に意識を失った。


達治は腰を抜かして床に座り込んでいる。


「ね、姉ちゃんが、いじめられてると思って……。俺……」

達治は目を見開いて光一をみている。


「達治。いいんだよ。大丈夫」

あたしはそう言うと達治を抱きしめた。


「どうしよう。そのひと、死んでるの」

「死んでないよ」

光一の胸が上下しているのを確認した。

息をしている。

気を失っているだけだろう。


光一は達治が攻撃してきたのをはっきりと目撃している。

だから、目を覚ましたら、達治に何をするか分からない。

一刻も早くここから逃げ出さなくちゃ。

急いで服を身につける。


「ここから逃げよう」

あたしは達治を引っ張って立ち上がらせた。


………………


部屋のドアを開けて、そっと廊下を覗き見る。

見回すと、ラッキーなことに廊下に兵士はひとりもいなかった。


「達治。廊下の奥まで走るよ」

達治は、こくんと頷いた。

あたしは達治の手をぎゅっと握ると部屋から飛び出した。


廊下の奥には鉄製のドアがあって、そのドアの後ろには階段がある。

あたしは、中年の兵士にこの建物に連れてこられたときに、他の兵士がその階段を上り下りしているのを見た。

中央のメインの階段を使うよりも、人目につきにくく見つかりにくいだろうと思った。


鉄製のドアを開ける。

思った通り、そこには下に降りる階段が続いていた。


誰にも見られずに階段を駆け下りる。


(あと少し。あと少しで外に出られる)

外に出れば、きっと逃げ出せる。

達治の住んでいた村までは歩いてはたどり着けないかもしれない。

でも殺されずに済めば、とりあえずなんだっていい。


ドクン、ドクンと心臓がたかなる。


「達治!1階まで下りた。きっとあのドアの先が、外だよ」

あたしは、階段を降り切った先の正面のドアを指さした。


このドアを開ければ外に出られる!


そう思ったのだが。


ガチャ、ガチャ。

取っ手を引いても押してもドアは開かない。


「そんな」

どうやらドアにはカギがかけられているようだった。

「姉ちゃん」

達治が心配そうにあたしを見上げている。


「仕方ない。そっちのドアから逃げよう。

まって、姉ちゃんが外の様子を覗いてみるから」


階段の正面のドアをあきらめて、脇にあるドアを細く開く。

おそらくこっちのドアは、1階の正面玄関に通じるドアだろう。


ドアから外をのぞき見た。

正面玄関には兵士が4人、見張りについているし、立ち話をしている兵士も何人かいる。

(これじゃ、逃げ出せない)


そのときだった。

二階の階段の踊り場のドアが、ガチャっと開く音がした。

「樫谷大尉が無線に出ないんだ。様子を見てくる」

「部屋に女を連れ込んだんだ。おたのしみの最中だと思うぞ?」

「えっ。そうなのか」

そんな話声が聞こえる。


兵士たちは、非常階段で7階にある光一のいる部屋にあがろうとしているようだった。

1階にいるあたしたちのことを彼らが見つけるのは時間の問題だった。


「お前たち、こんなところで何してる?

倉庫から逃げ出した民間人か?」


やっぱり見つかってしまった!


「ま、迷い込んでしまったんです」

「まて!その女は、樫谷大尉が連れ込んだ女じゃないのか?」


あたしは腕をひっぱられる。

とっさに関節を決め投げ飛ばそうとしたが、もう一人の兵士に取り押さえられた。

「姉ちゃん!」

達治が叫ぶ。


あたしたちはそのまま1階の正面玄関に引きずり出されてしまった。

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