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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
消えた彼女を見つけだして連れ帰るまで
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第69話_【葵】1223H-Aの光一に出会う

「軍のおえらいさんの接待をして欲しい。

お茶を出すだけだ。女がやったほうが格好がつくからな」


中年兵士はそう言った。


よかった!

食糧にされるのかと思っていたので、あたしはホッと息をついた。


「これをひとつずつやるから、きちんと仕事しろよ。

うまくできたら、あとで、もう一つずつやろう」

中年兵士はポケットから、栄養剤のタブレットを出した。

女たちは、タブレットに飛びつくと、口の中で味わうようにして食べていた。


「お前は?」

あたしのほうにタブレットを押し付けようとする。


「あ......あたしはいいです」

栄養剤が「人間」からできていると知ってしまった以上、食べる気がしなかった。

だけど、この女性たちだってそのことを知っているはず。

それなのに、平気で口にできるほど、この世界での飢えは深刻なんだ。


ーーーーーーーーーーーーーー


「お前はこれを奥の応接室に運べ」

中年兵士にお茶の乗ったトレイを渡された。


あたしはトレイを運んで、長い廊下を歩きながら、窓の位置や階段の位置を確かめていた。

やがて、応接室につく。


部屋の中から話し声が聞こえた。

「.......武術に優れて、食糧の奪い合いになったときに一人で何人もの敵兵を倒したと有名なんだよ」

「いや、たまたまですよ」


トレイの上にお茶を乗せて、広い応接室のドアを開いた。

なかには3人の兵士がいて、ソファに座って雑談をしているようだった。


あたしはローテーブルにお茶をおいた。

もう一つのお茶を置こうとしたとき、視線を感じて目線を上げた。

すると兵士の一人と目が合った。


「えっ?」

思わず声が出る。


(そんな!.......まさか!!)


兵士の一人は、光一だったのだ。


「......っ」

あたしは驚いて、お茶をこぼしてしまった。


「おいっ!なにをしてる」

後ろで見ていた中年の兵士にどなられた。


「す、すみません」

あわてて、布巾でふいた。


「だいじょうぶ?火傷しなかった?」

光一があたしの目をじっとみつめた。


あたしはあわてて目をそらした。


もちろん、もとの世界の光一じゃない。

この世界の光一に決まっている。


もとの世界の光一とは別人。

あたしのことも知らないはず。


だけど本当にそっくりだった。


世界はひろいはずなのに。

ここでまた光一に出会うなんて。

こんな偶然ってあるんだろうか。


軍服を着て、肩や胸に星がたくさんついているから偉いのかな。

光一はあたしのことをじっと見ていた。


______________



「よくやった。ほら、もう一つずつやろう」

中年兵士は女たちに栄養剤を配っていた。

まるで言うことを聞いた犬に褒美をやるご主人様みたいだった。


女性たちのほうも喜んで褒美を受け取る。

プライドもなにも無くなるほど、みんな飢えているのだ。


「おい、お前!」

中年兵士があたしのほうをみて、手招きしている。


お茶をこぼしたから怒られるんだろう。

そう思っていると、

「樫谷大尉がお前のことをお気に召したようだ。

彼の部屋へ行くんだ」


「えっ!?どうして」

「さあな。とにかくお呼びだ。

彼は軍の中枢にいる人物だ。うまく取り入れば、生き延びられるかもしれないぞ。

ハハハ。だが、あまり期待はするなよ」

中年兵士はそう言いながら、葉巻のようなものに火をつけた。




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