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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
彼女との出会いと彼女が消えてしまうまで
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第57話_【葵】いつもの光一じゃない


「こ、光一!あっ......。やめるんだ。離せ」

あたしは、光一に止めてほしくて手で必死に抵抗した。


「離さない。もう限界だ。我慢できない」

「うっ」


光一はあたしの両手首を強くつかむとベッドに押し付けた。

「光一......」

光一の馬鹿力のせいで手がびくとも動かない。

あたしの足も、あいつの足が上に乗っていて、身動きが取れない。


光一は、あたしを拘束すると顔じゅうにキスをした。

頬に鼻に、まぶたに、耳に......。

かわいた唇があちこちに押し付けられる。

やわらかくて、少し熱い。

キスされた箇所に、くちびるの感触がくっきりと残る。


耳の裏にキスをされてあたしは、ゾクっとした。


光一は

「好きだ」

と耳元で囁いた。


はぁっ......。

光一の息が荒い。

熱い息があたしの顔にかかる。


このままだと、自分が自分じゃなくなりそう。

どうにかなりそうだった。


「離して。お願い」

あたしは光一の目を見て言った。


「葵......?」

光一があたしの目をのぞきこんだ。


「離して欲しい。怖いよ」

声が震えた。

自分でもびっくりするくらい。

情けない、かぼそい声だった。


光一は、ハッとした顔になって、あたしから離れた。

あたしにまたがったまま、上半身を起こす。


あたしは、横になったまま光一から目をそらした。


光一はしばらく黙り込んでいたけど、口を開いた。

「ごめん......。葵.......ほんとにごめん。

葵はただでさえ怖い思いしてるのに。こんなことするなんて」


光一のことが好きなんだけど。

だけど手首を押さえつけて、強引にキスしてくる光一は、いつもの光一じゃないみたいで怖かった。


「恋愛ごっこしてるだけなのに。

いつの間に、ほんとうの彼氏のような気分になった。

思い上がってた。葵は俺のこと......べつに好きじゃないのに」

光一の表情が悲しそうに歪む。


あたしは光一にそんな顔してほしくなくって、彼の方に手を伸ばした。


「抱きしめて欲しい」

あたしは光一にそう言った。

「えっ?」

「ただ、ギュッと。抱きしめていて欲しい。

それだけなら......怖くない......と思う」

小さな声で言った。


自分が情けない。

怖いなんて言葉。

口に出したことなんてなかったのに。

こんなに何度も口にしてしまっている。


「葵」

光一はそっとあたしの肩に触れた。

そして、あたしの隣に横になった。

狭いベッドがきしむ。


「ごめんね。変なこと、もうしたりしないから」

あたしを抱き寄せると、大きな手であたまをゆっくりなでてくれた。


「葵。きっと大丈夫。ぜんぶうまくいく」

光一は低い声でそういうと、身体をぴったり寄せてきた。


あたしは光一に背を向けた。

光一は、あたしを後ろからぎゅっと抱きしめて、髪を撫でてくれた。

そして何度も

「きっと大丈夫」

そう言ってくれた。


いつの間にか、あたしはウトウトしてしまった。

光一に抱きしめられて、あったかくて幸せで、安心しきっていた。

たぶん光一も眠ってしまったんだろう。


このまま朝が来れば良い。

そう思ったのに。


異変は深夜1時頃に起きた。

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