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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
彼女との出会いと彼女が消えてしまうまで
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第33話_ニセ葵V.S.優香、そして本物の葵ちゃん

「おまえ、ニセ葵だな!?」

「ニセ葵?」

優香が、俺のほうを見る。

彼女はニセ葵に、うしろから羽交い締めにされ、首にナイフを当てられていた。


「そうだ!その葵ちゃんは、葵ちゃんじゃない。別の世界から来たニセモノだ」

俺は優香に説明した。


「......別の平行世界の葵ね。どおりで腐った匂いがするわけだわ」

優香はそう言うと、わずかに身をずらしてニセ葵のみぞおちに肘鉄を食らわせた。


「グフッ!」

ニセ葵は苦しそうにうめくと、身体を2つに折って地面に崩れ落ちた。


カラン!という音を立ててナイフが地面に落ちる。

優香はナイフを素早く蹴飛ばすと、地面にうずくまるニセ葵の背中を足で勢いよく踏んだ。

さらに腕をひねり上げるとドスの利いた声で叫ぶ。


「この腐れウジ虫!何が狙いだ」


「くそっ!油断した......グフッ」

「こちとら、生まれたときからお前らウジ虫に狙われ続けてんだ。慣れっこよ」

普段の優香からはとても想像できない言葉づかいだった。


「ゆ、優香......大丈夫?」

「光一は下がってな。修羅場に慣れてないはず」

優香は俺のほうを見るとニヤリと笑った。


そのときニセ葵がなにか注射器のようなものを袖口から出すのが見えた。

「優香!あぶない!」

俺は慌てて優香に注意を促したが遅かった。


ニセ葵は、自由な方の手で注射器を操り優香の足首にさした。


「くっ!?」

優香が驚いてニセ葵の手を蹴飛ばしたが遅かった。


「な......なにを打ちやがった......てめえ」

「フン......お前の運命をぐちゃぐちゃにしてやる。

だが、暗黒の分岐へ進んで無限ポータルが開けば、別の世界線の奴らも押し寄せる。

そうなるのは、我々1145H-Bの望むところではないのだ。

混乱が起き、この世界が破滅してしまうからな」


優香が膝から崩れ落ちる。

「だ......だったら......暗黒の分岐を望まないなら......あたしに構うな!」

「あたしの目的は、光一。お前だ。お前があたしの手下になり、蛭間透子の命令ではなく、あたしの命令でポータルを操ること」


「......なるほどな」

俺は会話の内容がほぼ理解できなかったが、わかったふりをした。


「一週間後、深夜2時に大学の道場に、ポータルを持って一人で来るんだ。

さもなくば、山口優香の運命を狂わせることにする」


「ちょっと待てって!」

俺はこのまま分かったふりをしているとヤバいんじゃないかと思って、質問することにした。


「もうちょっとわかりやすく説明してほしいんだけど!

俺はどうすればいいわけ?

なんでもするからさ、お前はとりあえずいったん立ち去れよ」


「光一......。こんなやつの......言うことを聞くこと無い」

優香は地面に横たわっている。

ボンヤリした目で、俺のことを見ていた。


「優香!くそっ!優香はどうしちゃったんだよ?」

「睡眠薬を打っただけだ」


ニセ葵が手に口を当てて口笛を吹くと、どこからか男たちが大勢現れた。

「この世界で雇った男たちだ。

お前が一週間後の深夜二時に一人で道場に来なければ、

手始めにこの男たちに山口優香を襲わせる。何回も、何回もな。

彼女は屈辱を味わい、男嫌いになるだろう。そうなれば、暗黒の分岐まっしぐらだ」


「キモいこと言うな!そんなことさせないぞ」

俺は男の一人に殴りかかった。

だが、すぐに突き飛ばされる。


「光一。怪我する......いいから......あたしのこと......は」

優香が俺の方に手を伸ばす。


「優香!」


そのときだった。


「くそっ!もう見てられない。あたしが戦う!」

背後の茂みから、とつぜん葵ちゃんが現れた。


「葵!いつからいたの?」

優香が叫んだ。

「山口先輩の身辺を見張るのはあたしの仕事だからな。

雑魚が、先輩におかしなことしないかどうか、見張ってたんだよ!

だけど、もうひとりのあたしが出てきたから、姿を現すことができなかった」


「そうだよ!もう一人の葵がいるのよ!だめ。二人の視線が合ってしまったら危険よ」

「もう、今はそんなこと言ってられない!

あたしは、山口先輩を守るために生まれてきた。

はなから死も覚悟してる」

「あ、葵......あたしなんかのために......」


葵ちゃんはニセ葵の方へ、ゆっくりと向かって行った。


俺はもう少し真面目に少林寺拳法の練習をしておけばよかったと心底後悔していた。

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