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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
彼女との出会いと彼女が消えてしまうまで
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第30話_【豆治郎】無知にもほどがある

光一からメッセージが来た。

「豆治郎!一体どこにいるんだよ!?今からジムに来れない?」

「おー。久しぶり。いいよ、今から行く」


------------------------


ジムに足を踏み入れたとたん、光一が俺に飛びついてきた。

「豆治郎!やっと連絡が取れたな。

お前、どこ行ってたんだよ。部活にも全然来ないし」


「えーと......インフルエンザで寝込んでた」

「えぇ!?インフルエンザなんて全然、流行ってないのに!?

お前は流行の最先端だなぁ!」


光一は素直......というかバカなので、嘘をすぐに信じる。



ここ最近俺は、この世界に属する「もう一人の自分」が近くの大学に通っていることを突き止め、そいつの行動パターンを慎重に探っていた。


「もう一人の自分」とうっかり鉢合わせしてしまったら命取りになるからだ。

バッタリ出会わないように、相手の行動パターンや生活範囲を知っておくのは最重要事項だった。


もしも鉢合わせして、お互いがともに「自分にソックリである」ことを認識した場合、二人のうちのどちらかが、24時間以内に死ぬ。

死ぬと言うか文字通り「消える」のだ。

どちらが消えるのかは、ランダムに決まる。


このことはトラベラーズ間では、常識になっている。

般若が「もう一人の自分」である光一に会ったのは、かなり危険な行為だったのだ。


調査の結果「もう一人の自分」は俺の生活範囲に侵入してくることはなさそうで安心した。

勉強ばかりしている根暗なやつのようだ。


光一は、俺に椅子をすすめることもなく、いきなり話し始めた。


「聞いてくれ!ニセ葵が現れて、ポータルがひらいて、山口優香と付き合うことになったんだ!!」

「はぁっ?!」


-----------------------------


興奮する光一をなんとか押しとどめた。

ヤツは記憶力が悪いし、説明が苦手みたいで話が飛び飛びになる。


何回も話を止めて聞き返したりしてようやく、全貌がつかめた。


「蛭間っていう女は、トラベラーを相手にする商売人だったんだな。

ニセ葵は蛭間の商売敵のワームそのもの」


「ニセ葵はもう二度と現れないだろうって、蛭間さんは言うんだけどさ。

俺はなんとなくあいつがまた来るんじゃないかって思ってる」


「それで、ポータルを持ってるってホントか?」

「ポータル?あぁ~。輪っか?持ってるよ」

光一は何でもないことのように、のんびりと答えた。


光一は、自分の部屋からポータルを持ってきた。

初めて見るポータルの原型に俺は目を細める。


ポータルは恐ろしいアイテムだ。

ポータルの原型とその管理者をセットで見るのは、俺にとって初めてだった。


樫谷光一。

やはりこいつは、1142と1145を結ぶポータルの管理者だった。

もしかしたら、般若のように無数のポータルを開ける力を秘めているかもしれない。


光一は

「壁に投げつけると開くんだ。やってみようか?」

とのんきな声でいった。

「よせ!儀式は気楽に行うことじゃない」

「儀式?」

「そうだよ、ポータルを開くのは神聖な儀式だよ」


「豆治郎、そういうのもネットの動画で詳しく解説してるのか?

俺は働くのに忙しくて、ネットをチェックできないからなぁ」

光一は、雑にポータルをテーブルの上に置いた。


「おい!ポータルを乱暴に扱うなよ。

強く置けば、テーブルや床にだって穴が開くんだぞ。

それに吸い込まれれば、普通の人間は命を落とすし、

俺やお前が落ちれば、帰り道がわからなくなる可能性もある」


「そうなの?ホント詳しいなぁ」

光一はキョトンとした顔で俺を見つめていた。


俺は頭を抱えた。

蛭間って女は光一に何も教えてないのか?

こいつは、ポータルの恐ろしさを分かってない。

使いかたによっては、人間を闇に葬ることだってできるアイテムなのに。


「とにかく、一旦、ポータルはしまってきて」

ポータルを雑に扱う光一を見ていられなかった。


「話は大体わかったから。

山口優香と付き合うことになった......って言う点について、もう少し話そうか」

俺は光一の肩を叩いた。


蛭間の話も、ニセ葵の件もどうでもよかった。


俺にとっていちばん重要なターゲット「山口優香」

彼女を惑わせて暗黒の分岐へ導くことが俺の使命だ。


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