第29話_葵ちゃんとの久々の戯れ
「雑魚。お前がワームじゃないと仮定しよう。
その上で聞くんだけど。
山口先輩を大切にできるの」
「葵ちゃん、聞いてほしい。俺が好きなのは葵ちゃんだけなんだよ」
バシン!!
俺がそう答えたとたん、葵ちゃんの平手打ちが飛んできたのだった。
いつもより強めだった。
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優香は体育会系の各主将たちが集まる会議に出席していて、その日、留守だった。
優香は常に俺にベッタリだったから、優香の留守は葵ちゃんと話せる絶好のチャンスだった。
俺は、葵ちゃんに優香とのことを説明しておきたくて彼女を道場で呼び止めた。
「葵ちゃん、優香のことで話がある」
すると、葵ちゃんは「倉庫で話そう」
と小声で俺に答えたのだった。
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「山口先輩に聞いた!お前は山口先輩を手籠めにしたそうじゃないか!」
「......手籠めってどういう意味だっけ?」
葵ちゃんに首を絞められる。
「お前の弱い頭でも理解できるようにズバリ言う!
山口先輩を犯したんだ。お前は最低の男だな。
その上であたしのことが好きだなんて、サイコパスか何かか?」
「おっ、犯した!?葵ちゃん、そんなつもりなかったんだよ。
俺は酒に弱くて」
「言ったな!酔った勢いでとは。
アルコールを言い訳にするとは、どこまで下衆な男なのか。
この外道め」
首をキツく締められて、さらに頬を叩かれた。
頬を叩く感じがいつもより強くて、「ニセ葵」を思い出させた。
「葵ちゃん、俺の目を見て」
「なに?」
葵ちゃんの瞳の奥をじっと見る。
「あぁ......大丈夫だ。本物の葵ちゃんだ」
彼女の瞳の奥を見れば、ニセモノかどうかが分かった。
「お前の言動は、つくづくおかしい」
葵ちゃんはため息を付いた。
「葵ちゃんも言ってること、おかしいときあるけど......?」
俺がポツリというと、葵ちゃんは俺の首を強く締め上げた。
「ゴホッ!ごめんなさい」
「婚約者が現れるまでの短い期間でも、彼女を傷つけるのはご法度なんだ。
たとえ仮の恋人だとしてもお前のような、無頼漢に彼女を渡したくない」
「葵ちゃんと同意見だよ。俺は優香と別れるべきだと思う」
「フン。何を言うか。お前の意志は聞いてないし、お前に選択権はない」
「俺は優香と別れて葵ちゃんと付き合いたいと思ってる。
きちんと別れるから、待っててほしい!」
葵ちゃんの平手打ちが飛んできた。
「お前とは話しにならない」
「俺は葵ちゃんともっと話したいんだよ?」




