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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
終章_7人の羅針盤と運命の冬ーその後のふたり
211/218

第211話_【優香】お別れの日


まめくんと、夜の大学でデートしたその翌日。


あたしはなんだか嫌な予感がして、彼のスマホに電話をかけた。


まめくんは、出なかった。

あたしは何度も彼に電話した。

メッセージも送った。


だけど電話には出ないし、メッセージも既読にならない。


「......いやだ。まさか故郷に帰っちゃったの」

不安でたまらなくなる。

(落ち着いて。

きっと大丈夫......きっと大丈夫。

彼は黙って消えたりなんかしない。きっと大丈夫、きっと大丈夫)


なんとか、深呼吸して感情をセーブする。


(明日、渋谷の彼のアジトに行ってみよう)

その夜、あたしは不安で不安で眠れなかった。


翌朝、あたしのスマホに着信がはいる。

(まめくん!?)

スマホをパッと取り上げる。

そこには「光一」の文字があった。


「もしもし......?光一......」

「優香!いますぐ俺のジムに来れる?」

光一が慌てたような声であたしに言った。


「どうして?」

あたしは暗い声で彼に聞く。


「豆次郎がここに来てる。

俺は......」


光一が何かを言いかけたけど、あたしはスマホを切ってしまった。

そして家を飛び出した。


-------------------------


「優香!来たか......」

光一があたしを出迎えた。


駅から光一のジムまで走った。

はぁっ、はぁっ......。

息が切れる。


ジムにはまめくんと、そして光一。

それに葵と、お面をかぶり和服を着た子どもが大勢いた。


「まめくん!」

あたしは彼のそばに駆け寄る。

「どうして電話に出ないの。

あたしは不安でたまらなかった!」

「......」

まめくんは下を向いて黙っている。


「一体どうなってるの?

この子どもたちは何なの?」

光一に向かってたずねた。


「俺もよく分かってない。

この子たちは全員、悠人だ」

光一は、ジムの中に散らばる子どもたちを見回しながら言った。


「悠人のドッペルゲンガー?なぜこんなに集まってるの?」


あたしはワケがわからず、動き回る子どもたちを見回した。


----------------------------


「今朝、豆次郎は俺のところに来たんだ」

光一があたしの目を見ながら言う。

その目は悲しそうだった。


「故郷に帰る。豆次郎はそう言った」


「まめくん!ひどい。黙って帰ろうとするなんてひどいよ!」

あたしはまめくんの身体を叩いた。

両手の拳を握りしめて、ドンドンと叩いた。

涙が溢れ出る。


「お別れを言うのが......辛すぎて」

まめくんは下を向いてぼそっと言った。


「そんなのずるい!ひどいよ!」


「俺も豆次郎にそう言ったんだ。

きちんと優香に別れを告げるべきだって」

光一が静かに言った。

「俺たちはしばらくジムの外にいる。

二人きりでゆっくり、話して欲しい」


光一と葵は悠人たちを引き連れて、ジムから出ていった。


シンと静まり返ったジムの中に、あたしとまめくんだけが立ち尽くす。


「まめくん。嘘だよね?帰るなんて」


まめくんは、下を向いていた。

でもゆっくりとあたしの方に視線を向けた。


「......俺は帰る。

故郷に帰る」


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