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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
終章_7人の羅針盤と運命の冬ーその後のふたり
206/218

第206話_7人の羅針盤が必要


悠人の話では、津江さんは3日前の朝、眠るように亡くなったらしい。


「そんな......。悠人。かわいそうに。つらかったな」

しゃがみこんで悠人をぎゅっと抱きしめた。

あたまをそっとなでてやる。


「......っ。辛くなんかない。

口うるさいババァが死んで、僕はせいせいしてるんだ」


だきしめていると、悠人の肩が震えてるのに気づいた。


「僕はババァが死ぬ未来が視えていた。

あらかじめ心構えができていたんだ。

......だからっ......さびしくなんかないんだ......くそっ」


悠人の顔をみる。

その顔は涙でグシャグシャだった。


「悠人。

あらかじめ津江さんの死が分かってたんだな。

それなら、予知していたときからずっとツラかったはずだ。

普通よりツラいはずだよ?

強がるな。俺には甘えろ」

悠人をぎゅっと抱きしめる。


「優しくするな。よけいに泣けてくる」

悠人はヒックヒックとしゃくりあげはじめた。


-------------------------


ビルの1階にある自動販売機で甘いジュースを買う。

ジムに戻って悠人にジュースを渡した。


悠人はだいぶ落ち着いたみたいだった。


「今はジョージが法律上の僕の保護者になっている」

「ジョージ......あの、津江さんの側にいつもいた、白人男か」


「......それで、暗黒の分岐の件だけど」

「うん」


悠人はミニキッチンの椅子に座って、足をブラブラさせながらジュースを飲んでいた。

こうしてみると、ただの子どもだ。

津江さんを失ってどんなに寂しい思いをしただろう。


悠人は故郷で、両親も失っている。

天涯孤独じゃないか。


俺は母親に10年間会えなかったことを恨んでシクシクと落ち込んでいた。

悠人を見習わないといけない。


「ババァの遺言を光一にもつたえる」

「津江さんの遺言......」

悠人は、津江さんの声音を少し真似て、遺言の「ことば」を暗唱した。


「暗黒の分岐をなんとしてもふせくのじゃ。

それには、羅針盤の力がまだ不足している。

7人の羅針盤をそろえる必要がある」


「7人の羅針盤......?」

意味がわからず、俺は悠人に聞き返す。


「そうだ。各世界線で生き残っている「俺」をこの世界に呼び寄せる」

悠人はジュースのペットボトルをグシャッとつぶしながら言った。


なるほど。

暗黒の分岐を防ぐために、各世界線の「悠人の分身ドッペルゲンガー」を呼び寄せるというのか。

「7人。そんなに呼び寄せるのか?」


「光一バカだな。僕を入れて7人だから、あと6人だ。

各世界線で、病死せずに生き残っている僕の数が6人しかいないんだ」


「6人」

行ける範囲の並行世界はぜんぶで、たしか20。

そのなかで、生き残ってる「悠人」は6人しかいないのか。


「それじゃ、あの悠人にも会えるかな?

マンダラの施設から、両親のもとに戻した、あの可愛い悠人」


「やつも、まだ生きてる」

悠人はゆっくりとうなずいた。

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