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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
終章_7人の羅針盤と運命の冬ーその後のふたり
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第205話_【豆次郎】妹に会いたい


「光一、分かった。

光一の気持ちはわかったから」


光一は、ハッと我に返ったような顔をして、あわてて俺の両肩から手を離した。


「......悪い。つい......感情的になった」

すこしバツが悪そうに俺から目をそらす。


「とにかくさ、故郷に帰りたくなったらいつでも俺がポータルを開ける。

悠人に聞けば座標もすぐに分かるんだし」


「うん......助かる」


そのあと、軽く雑談をして、俺は光一のジムをあとにした。


ひんやりとした秋風が吹く街をゆっくりと歩く。

頭の中で光一の声がずっと響いていた。


「家族なら一緒にいないとダメだ」

涙を流しながら言う光一の顔が忘れられない。


光一の言う通りなのかな。


妹は俺がいなくなって、寂しい思いをしてるだろう。

「兄ちゃんはどこに行ったの」

そんなことばかり言って、両親を困らせてるに違いない。


家族は食糧が無くって、ひもじい思いをしているだろう。

俺が側にいれば、なんとか食糧を手に入れることもできたのかもしれないのに。


「兄ちゃん、抱っこ」

そう言いながら、こちらに小さな手を向けてくる妹。

笑うと鼻の穴が広がって、目尻が下がる。

俺の大事な妹。


会いたくてたまらない。


俺は大事な妹を危険な故郷に残してきたんだ。

もちろん妹には両親がついているけど。

それでも生きるか死ぬかの世界だ。

ずっと無事で、俺の帰りを待っていてくれるなんて、そんな保証はないのに。


ふと優香の顔が頭に浮かぶ。

優香......優香も俺にとって大事なひとだ。

彼女と離ればなれになるのもつらい。

ずっと一緒にいたい。

彼女の笑顔を見ていたい。


俺はどうすればいい。


いや。

とぼけるな。

答えは分かってるはず。

最初から分かっているはずだ。


俺は故郷に帰るしか無いんだ。

そうすればこの世界は暗黒の分岐に進むことはない。

そして、俺は故郷で家族のために必死に生きる。


道はそれしか無いじゃないか。


----------------------------


【光一】_悠人の訪問


豆次郎に言い過ぎた気がする。

豆次郎だっていろいろ考えてこの世界に来たんだろうに。


たしかにあの「核戦争後の世界」は悲惨だった。

俺だってあそこに生まれたら豆次郎と同じように考えたかもしれないのに。


それでもやっぱり、幼い妹がいるなら側にいてやることが一番大事だと思う。

俺は間違っているのかな。


はぁあ~とため息が出る。


こんなときは、葵の顔を見て癒やされたいところだけど、葵はいない。


俺はもう、葵なしでは生きていけないな。


父さんもこれくらい、母さんのことを愛してたのかな。

それなのに、俺の身の安全を守るため、母さんと別れた。


他に道はなかったんだろうか。


いけない。

また過去に起きたことをウジウジ考えてる。

過去に起きたことを考えたってどうしようもないのに。


ふいにジムの扉がガタッと開く音がした。


「葵!?戻ってきたの?」

うれしくなってドアのほうを見ると、そこには悠人が立っていた。


「なんだ、悠人か」

ガッカリした声を出してしまう。


「なんだとは、なんだよ」

悠人はむうぅと頬を膨らませた。


「いやいや。ごめんって。

お前、背が少し伸びたんじゃないか」

俺は悠人のふわふわの頭を撫でた。


「一人できたのか?自転車で?

危なくなかった?」


悠人は俺の目をじっと見て言った。


「雑談をしているヒマはない。

ババァが死んで、僕は正式な羅針盤になった。

そして、いま、暗黒の分岐が進むという未来が視えている」


「ババァが死んだ!?

津江さんが亡くなったのか!?

それに暗黒の分岐って!?」

思わず叫んだ。


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