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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
兄との対決ー両親との再開と別れー豆次郎の決断
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第198話_【優香】羅針盤の助言


「よっこらしょ、年寄りだからな。座らせてもらうでよ」

津江さんは、まめくんを押しのけるとベッドの脇においてある丸椅子に座った。


あたしは、慌ててベッドから上半身を起こした。

まめくんが背中を支えて、起き上がるのを手伝ってくれた。


手の甲に点滴の針が刺さっていることに気づく。

カッターナイフで切った手首には包帯が何重にも巻かれていた。


「津江さん。どうしてここに?あたしを叱りに来たの?」

「いんや。違う」


津江さんはあたしの目をのぞき込むと言った。


「......いいか。

羅針盤が自ら助言をしに来るのは滅多に無いこと。

しからば、おまえは、運命の分かれ道に立っとるということだ」

津江さんは、鋭い視線をこちらにむけている。


「まずだな。今回の地震は避けて通れないものじゃった。

お前のせいではない。運命の通る道じゃった」


「でも、あたしが」

「お前のせいでないと言うとるがな!ウジウジ悩むなぁ!!」

津江さんは急に大声で怒鳴った。

あたしも、まめくんもビックリして津江さんを見つめ返した。


「......ほぅ、ごめんな。年寄りは気が短いのじゃ。

老い先も短いでな」


津江さんは、額の汗を拭いた。

少し具合が悪そうだった。


「お前は悪くない。

羅針盤の言うことが信じられぬのか」


「でも、あたし、まめくんのこと諦められない」


「そのまま、流れにまかせるんだ」


「えっ?」


「これ以上は言えんな」


津江さんはそう言うと、丸椅子からヨッコラショっと立ち上がった。


「ワシは去る。

けっきょく、お前は幸せになれる。

それは間違いない。

羅針盤の言うことを信じるのじゃ」


津江さんは、あっというまに病室から出て行った。

あまりに短い滞在だったので、まるで夢か幻のようだった。


「地震があたしのせいじゃないって。

......ほんとなのかな」

ぼんやりとしたまま、独り言のようにあたしが呟くと、まめくんがこちらを見た。


「羅針盤が言うんだから、確かだよ。

地震はもともと起きる運命だったんだ」


「それに、私は幸せになれるって」

「......」


頭の中が混乱していた。


あたしは、あと数カ月後に出会う人と結ばれなくてはいけない。

そうしないと、この世界はこわれてしまう。

まめくんを、諦めなくてはいけないのに。

こんなに好きなのに諦めるなんて。

それで、とても幸せになれるなんて思えない。


「もしかして、二股......」

あたしがポツリと言うと、まめくんはビックリして顔を上げた。

「えっ?二股ぁ?」


「運命の人と、まめくんと、両方、愛してもいいってことなのかな」

「そんな、まさか......」

まめくんは、考え込んでいる。


運命の人に、100%気持ちがいかないと、暗黒の分岐が訪れるはずだった。

津江さんの言っていることが理解できない。


それでも

「地震はお前のせいでない」

そう言われて、あたしは救われるような気がした。


「優香、もう絶対に自分を傷つけないで欲しい」

まめくんが、あたしを真剣な目で見つめていた。


「地震は優香のせいじゃない。

もともと起きるものだったんだよ?」


「でも......あたし......っ」

また涙がでてしまう。


「自分を傷つけたりしたら、俺が許さない。

優香、絶対にダメだ」

まめくんが珍しく厳しい声で言った。


「自分の命より優香が大切だ。

もしも優香に何かあれば、俺は耐えられない」


まめくんは床に膝をついて、ベッドに座るあたしと目線を合わせた。

両手であたしの手をやさしく包み込む。


「約束して。もう二度とこんなことしないって」

上目づかいであたしをみる。


「そんな目で見られたら.......。

わかったよ。約束するわ。もうこんなことしない」


まめくんは、あたしをこんなに愛してくれている。

それにあたしも彼を愛してる。


まめくんを諦めることなんか出来るはずがない。


津江さん、やっぱり間違ってるよ。

まめくんと離れ離れになって、幸せになれるはずがない。


あたしはそのとき、心底、そう思っていた。

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