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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
兄との対決ー両親との再開と別れー豆次郎の決断
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第187話_1143H-Cへ


もうそこからは無我夢中。

豆次郎を助けたくて必死だった。


俺は豆次郎が落とされたポータルに飛び込もうとした。

すると悠人がニヤリと笑いながら言った。

「光一、服を脱いでいけ。

お前は素っ裸で、着るものがなくって恥ずかしい思いをするぞ」


悠人の言葉にハッとする。

そうだった。

いつも忘れるんだけど、ポータルの中では、素っ裸になってしまう。

服が溶けてなくなるんだよな。

このシステム止めて欲しい。


慌てて乱暴に服を脱ぎ捨てる。

くそっ!下着も脱いどくか。


素っ裸になってポータルの穴に入る。


ポータルの中では優香がやっぱり素っ裸で裸の豆次郎の腹の傷を押さえていた。

優香は豆次郎のことに集中している。

だから自分が裸であることに気づいてもいないようだった。

俺もそうだった。


「優香!!圭一は死んだ。

.........豆次郎は!?」


「......ま......まだ生きてる」

豆次郎がかすかな声で俺に答える。


「豆次郎!!すぐに医者に連れて行ってやるからな」

俺は豆次郎をそっと抱き上げると、ポータルの穴のふちに持ち上げた。


「山口先輩!豆次郎君!」

穴から葵が顔をのぞかせて、さけぶ。


「そっと......そっとよ」

葵と母さんが、豆次郎をポータルから出すのを手伝う。


「はぁっ、はぁっ......」

なんとか豆次郎をポータルから外へ出した。


俺は圭一との戦いの中で、馬鹿力を発揮した。

でもどうやら、いつもみたいに気を失わずに済みそうだ。

完全に馬鹿力を出し切っていないからだろう。


「き、救急車......救急車よぼう!!」

俺が言うと、悠人が首を振った。


「間に合わない。豆次郎は命を落とす」

「なに!?それじゃ、どうすれば」

俺は悠人に思わず掴みかかった。


「1143H-Cへ行くんだ。

あそこの医療技術でしか、豆次郎は救えない」

「1143H-C!?それって、どこだよ?

ワールドナンバーで言われても分からない!!」

俺は泣きそうになりながら悠人に怒鳴る。


「般若の世界だよ!」

葵も大きな声で俺に怒鳴った。


「般若の世界か。

悠人!!たのむ、教えてくれ。

般若の世界に行くには、どこに穴を開ければ良い!?」


俺はもう気が狂いそうだった。

はやくしないと豆次郎が死んじまう。


悠人は目をつぶった。

そして、カッと目を開く。


「1階の階段を降りて右端の部屋の和室の壁。

いまから1分と30秒後に1143H-Cへの道が開かれる」


俺は無言で畳から圭一のポータルを拾い上げた。

そして豆次郎を抱き上げると、アパートから飛び出した。

俺の後を、優香が追う。


1分30秒後。

俺は1階の端っこの和室の壁に悠人の指示通りポータルを開いた。


----------------------------------


【葵】_アパートで光一の帰りを待つ


ドーン!!ユサユサ、、、

「ま、また地震だわ。かなり強い......」


あたしと悠人、それに光一のお母さんは、アパートの部屋で光一の帰りをまっていた。

悠人が言うには、光一はあと1時間ほどで戻ってくるはずだということだった。

山口先輩と豆治郎くんはもう数日は1143H-Cに残ることになるらしい。


光一のお母さんは、圭一の顔にハンカチを被せた。

そっと彼の髪をなでる。


「あたしは警察に自首します......」

お母さんは震える声で泣きながら言った。

「圭一は、32人の人間と12匹の犬、8匹の猫を殺している。

生きていたら、まだまだ殺していただろう。

だから、あなたが罪を償う必要はないんだが......」

悠人がポツリと呟いた。

「止めてもムダだろうな」


お母さんはだまって、涙を拭っていた。


「ねえ。悠人......この世界は暗黒の分岐に入ってしまったのよね?」

「いや......。まだのようだ」


「えっ、分岐にまだ入ってないの!?」

あたしは悠人に飛びつく。


「まだ完全に入ってはいない。

だが、入りかけている。

すべては山口優香......彼女の心にかかっている」


「そんな。山口先輩が可哀想だ。

一人でそんなこと、背負わされて」


悠人は黙り込んだ。

室内はシンとしていた。


あたしは光一が脱ぎ捨てた服や下着をきちんと畳んだ。

あたしが彼の誕生日プレゼントにあげた水色のシャツの襟を整える。

(血まみれだ......それにボロボロ......)


涙がこみ上げてくるのを感じた。


光一。

目の前で母親が、兄を殺したんだ。

あまりにもいろいろなことが、起きすぎた。

混乱してるだろうな。

きっとショックだろうな。

大丈夫かな。


彼のことが心配でたまらなかった。



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