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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
兄との対決ー両親との再開と別れー豆次郎の決断
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第184話_暗黒の分岐に入る


地獄絵図だった。


畳に広がる大量の血......。

優香の叫び声。

豆次郎の真っ青な顔。

葵は目を伏せて顔をそむけている。


悠人はなぜか、冷静な顔で一連の様子を眺めていた。


圭一が豆次郎を見ながら言う。

「即死はさせない。じわじわと出血して死んでいくだろう。

苦しみが長く続く」


豆次郎の顔がみるみる白くなっていく。

目に光がなくなっていく。


豆次郎は俺の大事な親友だ。

俺の頭を笑いながら叩く豆次郎。

一緒に駅前のカフェで勉強した豆次郎。

なんだかんだ言って、いつも俺のことを心配してくれた豆次郎。


腹の底から力が湧くのを感じた。

葵がピンチのときだけ......。

俺の馬鹿力は、葵のためだけに発揮されるはずだけど。


「ぬぉおおおおお」

馬鹿力が発揮されはじめて、俺が叫んだときだった。


ガラガラガラ!!!!

ドッカーン!!!


外でものすごい爆発音が響いた。


「なんだ!?なんなんだ?」

3人いる、圭一の手下の一人が窓にかけよって外を見た。

「煙が上がってる......。空が光ってる!?雷か......?」


ふと優香の様子がおかしいことに気づいた。

「.......どうでもいい.......。もうどうでもいい

どうでもいい.......もうどうなったっていい.......」

優香が震えながら、そんなことをブツブツとつぶやいていた。


「山口先輩!?ダメだ!!」

葵が必死に優香に呼びかけている。


「どうでもいい......こんな世界滅びればいい

あたしはもう、世界の犠牲になんかならない。

まめくんのためだけに......生きるんだ!!」


優香がそう叫んだときだった。


ガラガラガラ!!

ドカン、ドカーン!!

という大きな爆発音とともに、近くに雷が落ちた音がした。


「ヒデェ雷だ。このアパートに落ちたらやべえぞ!!」

手下どもが慌てている。


「......暗黒の分岐にはいった......世界に変化が起きる......」

そのとき、悠人が口を開いた。

まだ5歳の悠人の声は、老人のような落ち着いた声だった。


「だめだ!!山口先輩、正気に戻って」

手足を縛られている葵は、優香に体当りして優香を現実に戻そうとしている。


「いやだ......。まめくんを返して」

優香はポロポロと涙を流した。


「........暗黒の分岐だと?

ハッ。望むところだ。俺はこんな平和な世界よりも、物騒な世の中のほうが楽しめる」

圭一は優香を見てニヤリと笑った。

そして手首からポータルを外した。


圭一は畳にポータルを投げつけると言った。

「さぁ。メガネくんにはこのポータルの中でお休みしてもらう

これ以上、血を流されたら後始末が大変だ」


「やめろ!!豆次郎にさわるな」

俺は叫んだ。

だが圭一はまるでゴミのように、豆次郎を脚で転がすと、ポータルの中へ落とした。


「やだ!!まめくん!!」

優香がまた泣き叫ぶ。


ドーン!!

という地響きのような音がして、地面が突き上げられた。

みんな一瞬、体勢を崩す。


「うおっ!!じ、地震だっ」

大きな横揺れが数分間続いた。


「なんか、やべえな。伊藤さん、俺、今日は帰ろうかな......」

圭一の手下の一人が弱気な声を出しはじめた。


暗黒の分岐にはいったせいで、天変地異が起きてしまっているんだろうか。

でも........とりあえず今は......この状況をなんとかしないと......。


俺は雷に驚いて引っ込んでしまった馬鹿力を、ふたたび呼び起こそうと必死になっていた。

(完全に力が出てこないけど.......やってみよう!)


手足に力を入れた。

ブチブチブチ!!!

縄がブチ切れ、縛り付けられていたパイプ椅子がぐにゃりと曲がる。


「こいつ!パイプ椅子をバラバラにしやがった!」

手下の一人が俺の動きに気づいて大声を出した。


「もう我慢ならない!!圭一、お前を殺す」

手足にロープとパイプ椅子の残骸をつけたまま、立ち上がった。


圭一は俺に向かってナイフを構えたが、すばやくそのナイフを葵に向けた。


そのとき、視界の隅に優香が動いているのが見えた。

優香も手足を縛られている。

だが優香はイモムシのように必死に這って、ポータルの方へと移動していた。


優香は豆次郎の落とされたポータルの中へと落ちていった。

「山口先輩が.......!!」

葵が叫ぶ。


「ハハハ。いかせてやろう。ポータルを閉じちまえばあの女は、永遠に戻ってこれない」


俺と圭一は睨み合った。


「まだ揺れが続いてる!大きな地震だぞ。

こんなボロアパート、崩れ落ちちまう」

圭一の手下たちは、地震におびえて我先にとアパートから逃げ出していった。


アパートに残ったのは俺と圭一、葵......そして悠人。


ゴ、ゴ、ゴ、ゴ........。

地殻変動でも起きてるかのような地響きのなか、俺たちはアパートの中で、睨み合っていた。

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