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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
兄との対決ー両親との再開と別れー豆次郎の決断
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第176話_【豆次郎】青春を続けたかった


ジムの入っているビルから飛び出すと、俺は早歩きした。


今までのことが、頭の中に浮かんでは消える。


光一と授業を受けたこと。

いっしょに学食を食べたこと。

それに部活や飲み会にも参加したんだよな。


軽井沢の旅行では、テニスやハイキングも経験できた。


どれもいい思い出だ。

俺は、暗黒の分岐を目指すどころか、ここの生活にどっぷり浸かってたんだ。


青春を思い切り楽しんでいた。


故郷では生きるか死ぬかで、青春どころじゃなかったもんな。

信頼できる友人もいなければ、学校で授業を受けるなんて夢のまた夢。


もっと数学を学びたかったな。

きっちりと答えが出る学問が大好きだったし興味もあった。


「まめくん」

ふいに優香の声が頭に響いた。


優香......。

思い出しちゃいけない、そう思ったのに優香のことが頭に浮かぶ。


優香の部屋で


優香がそうして欲しいって言うから、俺は裸になった。

優香もぜんぶ脱いだ。


裸で抱き合うと、くすぐったくて、でも暖かくて。


「こうしてると溶けちゃいそう」

優香はそう言いながら俺に抱きついた。


優香がすごく痛がって、結果的に最後までセックスできなかった。

「......優香、ごめん」

「いいの。入らなかったけど、あたし何度も気持ちよくなったよ」

そう言ってくれた。


「優香......愛してる」

自然とそんな言葉が口から出てきた。


黙って消えることになるけど。

優香、許して欲しい。

ダマしてたこと。

利用しようと思ったこと。


涙が流れた。


光一が大声で笑いながら、俺の背中を叩く。

俺は、光一の頭をはたく。

光一の隣には桜沢さんがいて、俺の隣には優香がいる。

そんないつもの光景が、どんなに幸せなことだったかなんて、失ってみないと分からないんだな。


優香にはもちろん、光一にも桜沢さんにも、もう二度と会えないのかな......。

俺はまた一人ぼっちだ。


涙をぬぐいながら、夜の街を歩く。


薄暗い路地でのことだった。


「お前、光一の友だちだよな?」

後ろから聞き覚えのある声がした。


「誰だ!?」

びっくりして振り向く。


いつの間に俺は、5人の男に囲まれていた。

男たちの背後には......もう一人のポータル管理者「ケイシー」が立っていた。

ニヤニヤと冷酷な笑みを浮かべている。


「光一は、ボディガードみたいな連中がつねに見張ってるし、

葵ちゃんにも護衛がついていてスキがなかった。

唯一、お前だけは護衛がついてないんだなぁ」


「俺になんの用だ」

ケイシーに向かって叫んだ。


「お前は、あいつの唯一の友人だよな。

お前を連れ去る。

お前をエサに、光一を呼び寄せるんだ」


男の一人が俺の頭に黒い袋をかぶせた。

「やめろっ!」

ジタバタ暴れたが、男たちに手足を抑えられ、頭や腹を殴られた。


「はいれ!」

背中を押される。

バタン!というドアの閉まる音。


袋をかぶせられ何も見えなかったが、どうやら車に載せられたようだ。


「青白くてやせ細ってるな、お前は。

光一は自分より劣ってる人間を友だちにするんだ。

優越感にひたるためだ。俺の言ってる意味、わかるか?」


「光一は、そんなヤツじゃない」

「いや、違うよ。光一は常にお前のことを内心ではバカにしてるんだ」


「俺の出身地はスラム街のように貧しい街だ。

俺は、性格のねじ曲がった異常者といくらでも渡り合ってきたから分かる。

お前は、そうやって毒を吐いてジワジワと人を傷つけるのが好きなんだろう」


俺はケイシーに言ってやった。

ケイシーはおそらく、サイコパスなんだろう。

暗黒の分岐が起きた俺の故郷では、サイコパスもうじゃうじゃ存在していた。


「ふん。強がってるがいい。

痛めつけてやるからな」


ケイシーのククク、という笑い声が聞こえた。




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