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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
彼女との出会いと彼女が消えてしまうまで
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第16話_夜の部室で


「葵ちゃん......どうして急に......でも、めちゃくちゃ嬉しい」


誰もいない夜の部室。

葵ちゃんはキラキラした目で俺を見上げていた。


***************


金曜の夜遅く。

俺はスマホを部室に置き忘れて、取りに戻ったのだった。


大学まで取りに行くのは面倒だったけど、取りに戻った。

土日をスマホ無しで過ごすのは不安だったからだ。


静まり返った大学の建物。

部室棟のある区画も真っ暗で静かだった。


(あれっ?部室の電気が点いてる。誰かの消し忘れかなぁ)

ドアの隙間から明かりが漏れている。

少林寺拳法部の部室のドアをガラガラと開けた。


「えっ!」

誰もいないと思っていたから、思わず人がいて声が出た。

なんと、葵ちゃんが一人でぼんやりとソファに座っていたのだ。


「こんな遅くにどうした?女の子が一人で、危ないよ?」

びっくりして葵ちゃんに声をかけた。


葵ちゃんはソファに座ったまま、俺の顔を見上げた。

目が合ってドキッとする。


「俺はスマホを忘れちゃって......あった、あった!」

長机の端っこにあった自分のスマホをリュックにしまう。

「ねえ。どうしたんだよ。そうだ、一緒に帰ろう。駅前でなんか食べてかない?」

葵ちゃんに声をかけるが、彼女は俺の顔を黙ったままじっと見つめ続けている。


「......光一」

「えっ」

いつも「樫谷くん」か、2人きりのときは「雑魚」なのに。

葵ちゃんはどうしちゃったんだろう。


「葵ちゃん?」

不安になって、ソファに座る彼女の顔をのぞき込んだときのことだった。


「光一!」

葵ちゃんはソファから急に立ち上がると、俺の身体にぶつかってきた。

(お!いつもの葵ちゃんだな。今日は首を絞められるのかな......それとも、ぶたれるのかなぁ)

俺が身構えたとき。


「光一......。好き......」

そういうと彼女は抱きついてきた。

「えっ、えっ?!」

首を絞められるのか、ぶたれるのかと思っていたので、しんそこ驚いた。

ギュッと強く抱きしめられた。


「葵ちゃん......」

俺も思わず彼女のことを抱きしめる。


しばらくして、葵ちゃんが俺の背中に回していた腕をゆるめた。

そして、俺の顔を見上げた。


「葵ちゃん......どうして急に......でも、めちゃくちゃ嬉しい」


葵ちゃんは俺を見上げている。

その瞳はキラキラしていた。


彼女の頬に触れる。

そして唇にキスをした。


そのとき、気持ち悪さを感じた。

(あれ......なんだ、この感覚)


じっと彼女の瞳の奥を見つめる。


「葵ちゃん......じゃない......」

自分の額から冷や汗が出るのを感じる。


外見はどう見ても、葵ちゃんだった。

でも俺の心の奥底、魂とでも言うべき部分が叫び声を上げていた。

この女は、俺が好きになった葵ちゃんじゃない!


「お、お前は葵ちゃんじゃないだろ!」

彼女の両肩に手をあてて、自分から遠ざけた。


「光一。ひどい、なんでそんなこと言うの」

ニセ葵は、涙を浮かべている。


「なんでだか分かんないけど、分かるんだよ。

お前は俺の葵ちゃんじゃない」


「......」

彼女は黙っていた。


やがて、ニセ葵はものすごい形相で俺をにらみつけた。

「フッ......。遅れた文明に住む愚かな下等生物め。

だが、どうやら本能的な知恵にはすぐれているようだな」


低い声でそう言う。


ニセ葵は唇の片方をキュッとあげて、ニヤリと笑った。

俺の葵ちゃんはこんな笑いかたしない。


「お前は誰だ!」

「あたしは、桜沢葵だよ。別の世界のね」

そういうと、ニセ葵はポケットからナイフを取り出した。

素早くそのナイフを俺の首元に当てる。


「お前に聞きたいことがあってわざわざ来たんだ」

「なんだよ。聞きたいことって」


「ポータルの場所を言うんだ」



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