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どうでもいい関係でぐちゃぐちゃしてる  作者: ゴルゴンゾーラ
彼女との出会いと彼女が消えてしまうまで
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第13話_素朴な疑問

(金的ガードってどれだ?っていうか金的って、なに)


俺は防具がしまわれている倉庫内で、金的ガードというものを探してウロウロしていた。

ふいにガチャガチャと音がして、出入り口の扉が開く。


振り向くとそこには葵ちゃんが立っていた。


「あっ!葵ちゃん」

俺は嬉しくなって彼女に微笑む。

「金的ガードってなんだか知ってる?

副将の佐藤さんにに持ってこいって言われたんだけどさ」


葵ちゃんは、俺の問いかけには答えずに無言でズンズンこちらに向かってきた。


「雑魚が。お前の正体を暴いてやる」

「えっ?どうした?」


葵ちゃんは俺の両肩に手を当てると、俺の背中を倉庫の壁に強く押し当てた。

そして壁に両手をついて、俺が逃げられないようにする。


(壁ドン......?)

胸がときめくのを感じる。


葵ちゃんは小さい。

俺とはかなりの身長差がある。

だから、彼女は一生懸命背伸びして、俺が逃げないように腕を伸ばしていた。

そんな様子がたまらなく可愛い。


「葵ちゃん......可愛い」

思わずそうつぶやくと、即座に

「キモいことを言うな!」

と怒られた。


彼女の両手が俺の顔ほうに伸びる。


......まさか......キス?

さらに胸がときめく。


俺は葵ちゃんに首を絞められた。


葵ちゃんの吐くあつい息が、俺の首にかかる。

「あ......葵ちゃん......そんなにキツくされたら......あぁっ」

意識が遠のくのを感じる。


「変な声をだすな、雑魚。あたしを名前で気安く呼ぶなと言ったはずだが。

なぜお前は、山口先輩ではなくあたしにしつこくする?」


「そ......ゴホッ、それは.....ゴホッ」


*********


俺は葵ちゃんともっと話したくて、何度もデートに誘った。


彼女には「ムリ」と言われ続けている。

それでもあきらめきれずに部活のたびに、俺は葵ちゃんに話しかけまくっていた。


その結果。

「どうしてあたしにしつこくする?」

という葵ちゃんの素朴な疑問を招き寄せてしまったらしい。


首を絞められて、ゴホゴホと咳き込む俺を見て、葵ちゃんは首を絞める手を緩めてくれた。


「あっ......ありがとう。息が吸える」

「虫けらめ。この世界でワームがまともに息を吸えると思うな」


「ワーム!そうそう、それ!俺はワームじゃないんだよ。

ただ単純に葵ちゃんが好きなだけ。

簡単な話。好きなんだ。一目惚れした」


「嘘をつくな」

葵ちゃんは俺の言葉を聞くと、俺の手首をひねり上げた。

「......つぅ!」


これはこないだ部活で習った「逆小手」だろうか。

手首に痛みが走り、足の力が抜ける。

......と、同時に不思議な喜びが身体じゅうをかけめぐった。


「なにを企んでる」

「なにも。なにも企んでない。好きなだけだよ?

どうしてそんなに警戒するんだよ」


「それじゃ、聞こうじゃないか。

お前はあたしが好きなのに、どうして山口先輩に告白したんだ?

山口先輩を誘惑して、婚約者から引き離すためだろうが?あ?

山口先輩がダメなら今度はあたしか?そうやってかく乱する気だな」


「......か、かく乱?.....それってってどういう意味?」

その時、ガチャガチャと倉庫の扉を開ける音がした。


「光一!いつまで金的ガード探してんだぁ」

副将の佐藤さんが、心配して来てくれたようだ。


葵ちゃんはパッと俺から離れると

「そう。すね当てはここにあるから。あと金的ガードもここだよ?」

と棚の上の方を指さした。


「樫谷くん、防具の場所分からなかったみたいで教えてあげてました」

「おー。そっか。ありがとな」

葵ちゃんはいつもの「優しい葵ちゃん」にスッと戻った。


俺とふたりきりのときだけに、彼女がみせてくれる激しい本性......。

これは、ふたりだけの秘密なんだなぁ。


(大丈夫。俺は誰にも話したりしないよ......。あっ、豆治郎には言っちゃったんだ)

俺は、彼女にひねられた手首をさすっていた。


葵ちゃんは、その後も俺とふたりきりになるたびに「雑魚」と呼び、俺の首を絞めたり関節をキメたりしてきた。


葵ちゃんと話すうちに分かってきたことがある。


葵ちゃんは、どうやら山口優香を俺から守りたいみたいだということ。

そして、俺のことを「ワーム」だと疑っていて、俺が、山口先輩を誘惑しようとしていると考えているってことだ。


どちらも外れている。

だけど疑われているかぎり、葵ちゃんは俺をかまってくれる。

俺はなんだかんだ、葵ちゃんにワーム扱いされることを楽しんでいた。




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