第109話_行くしかない
「光一!マンダラの研修会場へ行くって......本気かよ」
豆次郎の声がする。
「俺たちは刑事の檜山さんの弱みを握った。
光一はもう、檜山さんの命令をきく必要はないんだよ?」
豆治郎が必死になにか言ってるけど、俺の頭には入ってこない。
俺の頭の中には、エロ教祖に襲われてピンチな葵の姿しか見えなくなっていた。
葵がエロ教祖に指をさされ「今夜はお前と過ごす」と言われる。
その夜、エロ教祖の寝室に呼ばれた葵。
エロ教祖は薄ら笑いを浮かべながら、葵に向かって
「服を脱げ」とか言うんじゃないのか!!
俺は目をぎゅっとつぶると、頭を激しく横に降った。
無理無理無理。
そんなの無理!!
早く助けに行かないと。
「葵がエロ教祖に何をされるか分からない!」
「そうよ。桜沢葵はエロ教祖に目をつけられてる」
檜山礼子はジムの出口へと向かった
「......さぁ、いまから研修会場へ行くわよ。
車で2時間くらいかしら。
車内で細かい計画を話す。
そうだ!肝心なことを忘れるところだった。
ポータルはここにある?」
「えっ?ポータル?あるよ」
ポータルは自分の部屋に置いてあった。
「取ってくる」
俺はポータルをリュックに詰めた。
「行くぞ。豆次郎」
「はぁっ?俺はもう帰る......」
豆次郎はびっくりして、後退りした。
「お前の大事な優香だって、エロ教祖に襲われるかも知れないぞ」
俺はそういって、豆次郎の首根っこを押さえた。
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「なんで俺まで行かなきゃいけないんだ......」
豆治郎が車の中でブツブツ言っている。
「豆次郎もいてよかったわよ。
なかなか頭がキレるようだし。
見張りがいたほうが安心だもの」
檜山さんは運転席でハンドルを握りながら言う。
「くそっ。エロ教祖の誘拐にはポータルを使うのか?」
豆治郎が後部座席から話しかけてくる。
俺は助手席に座っていた。
「そうよ。豆次郎はポータルのことも知ってるのね?」
「そうだよ。俺の親友だからな」
俺は運転席の檜山さんに向かって、大きくうなずいた。
「俺はお前のただの知り合いだ!」
豆治郎が後部座席からギャンギャン吠える。
「ポータルを使った誘拐......どうやるんだよ。
きちんとポータル座標はつくってあるのか」
豆治郎が言う。
「あら。ポータルに詳しいみたいね。
すべてきっちり計算してあるわ」
檜山さんはフフフと笑いながらアクセルを踏むと、高速道路に入っていった。




