THE LAST STORY>RELOAD< 最終回【Ending A】
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最終話 この汚れた世界に愛を注いで。④
続々と15戦闘部隊が帰還して来る
そして『総員整列!!』と西野副長の号令がかかり
部隊員は梶原隊長の前に整列する
赤坂安莉と森下まりあもふらふらと気が抜けたように歩き奈月ありすと城咲茜が二人を支えるように列に加わる
『今回の作戦により、我が隊はキムウンジョンの捕縛を完了し作戦を終えた。』梶原隊長はそう言ってキムウンジョンの首根っこを掴み前に整列している隊員の前に投げる
『この男が、この戦争を始めた犯罪者であり、日本、南韓、そしてこの男の北韓に多大な犠牲を出した張本人だ!
〝人道への罪〟〝平和への罪〟そして核を使った〝非人道的行為〟は決して許されるモノではない。
〝どのような理由があろうとも決して許してはならない戦争〟を引き起こし...そして..そして..』梶原隊長か言葉に詰まる
『梶さん?』と佐脇和馬隊長補佐が言い『何かあったのか?』と訪ね
周りを見渡し『あれ?水澤は?』と佐脇は聞く
『そのことについて、話さなければならないことがある。』梶原隊長は気丈に振る舞うような声色で言い
その雰囲気と泣いている赤坂達を見て『...うそだろ?』と佐脇は梶原隊長に言う
梶原隊長は意を決したように目頭を熱くしながら『水澤少尉は、敵ミサイルの発射を見事に阻止し...』
言葉に詰まる隊長に代わり
西野副長が『阻止し、自身の命と引き換えに日本の危機を救ってくれた。』
『命と引き換え?』と佐脇と藤井が聞く
『目撃者が居ない為、詳細はわからんが、敵ミサイルサイロ内にて核の爆発をDシステムか捉え、同じ場所で水澤少尉のシグナルロストを確認されている。』
『要するに、核の爆発に水澤さんは巻き込まれたと?』と伊藤勇二が聞く
『核の爆発は地中に封じられた為、おそらくは...』
水澤の戦死という報告に、あちこちから、すすり泣く声が聞こえる。
『この糞ブタ野郎!今すぐぶっ殺してやる!!』
榊が飛び出して来てキムウンジョンの胸ぐらを掴み上げ『水澤さんにもしものことがあったら殺すと車の中で言ったよな?』
その言って榊はキムウンジョンの顎下に拳銃を突きつける
『榊准尉!やめろ!その者はもう捕虜だ!!殺してはならん!!』と梶原隊長が飛び出し榊から拳銃を取り上げる
『でも、このブタ野郎は水澤さんを殺したんっすよ?』
『国際法に背けば、この男と同じになってしまうぞ。榊准尉。』
『国際法だの関係ねぇ...コイツは水澤さんだけじゃなく、俺の彼女も殺してんッスよ!』
『だからといって、我が隊から国際法違反者を出す訳にはいかん!それに榊准尉、キミにも国際法に背く人間になって欲しくない。』
『ウォンジュの時の水澤を見習え榊!お前が見て来た水澤は、そんなことする人間だったか?』と佐脇は榊を諭すように言って
榊は『この糞ブタ野郎が...』と言いキムウンジョン突飛ばし列に戻る
『皆も、水澤少尉の姿、行動を今後の規範とせよ。』と西野副長が言い
『皆、ご苦労であった。これよりソウルへ帰還する!』と梶原隊長は号令を出し
いつもの勢いと声とは違う悲しみを含んだ『了解。』という返答を各隊員はし
ソウルへの帰途に着く
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ソウルへ帰還途中に15中隊にブラックホークからの報告が入る
「敵ミサイル基地上空、放射能の流出は微力、環境に影響するほどの流出はなし、また現地は地割れとヒビを割れの跡を多数確認するも、水澤少尉の発見には至らず。」
「了解した。ブラックホークには大邱に帰還されたし」と梶原隊長は答え
「了解。ブラックホークは大邱へと引き返す」
『地中に埋まったままか、それとも...。考えたくもないな。』と梶原隊長は言って車窓から見える景色に
祖国と国民が困窮し荒れ果てて居るというのに..キムウンジョンという男はバカなことを...。
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キムウンジョン捕縛の報告にお祭り騒ぎのソウル市内に15中隊は到着し
出迎えに来ていた西野詩音と永嶺優華、そしてナユン、サヤ、ツユ達の前を横切りながら装甲車を整然並べ停車し
15部隊員が降りて来る
榊、川中、黒木、沢田、三上と後部ハッチから降り、最後に運転手の森村が降り
見慣れた黒装の榊達を見つけてナユンは『オッパ!お帰りなさい!!』と言って榊達の方に走って来る
ナユンを追いかけサヤとツユも榊達の方に走って来る
榊達の前に来て『オッパは?』とナユンが聞く
『....。』
『いきなりかくれんぼしてんねやな?』
『オッパ鬼、ツユ探す!』
と言い装甲車内を覗き込む
『ナユン、サヤ、ツユ!話がある。』と佐脇が手招きしながら言い
詩音と永嶺、そして梶原隊長の所へと案内する
『西野秘書官、永嶺秘書官、そして、ナユンさん、サヤさん、ツユさんに報告致します。』
『キムウンジョンの捕縛なら聞いたわよ?』と詩音が言うと
『非常に申し上げ難いことでありますが、今回の作戦において...水澤少尉は...戦死いたしました。。。大変申し訳ありません。』と言って地面に正座し梶原隊長は深々と頭を下げる
『水澤君が...』
『梶原大尉、本当に?』
『オッパが...?』
キムウンジョン捕虜から起きた出来事を梶原隊長は正座したまま話し
桜井満里奈と、奈月ありす、そして、城咲茜が、核が発する高エネルギーの記録とシグナルロストした場所の記録をノートパソコンで見せ説明し
『私が...彼を軍人にしてしまったせいで...』
『本人が望んで軍人になったので西野秘書官には罪はないと自分は思います。』と西野副長が詩音に言う
『でも、ならない道も、あの時はあったわ、私が断りさえしておけば...』
『過ぎたことを悔やんでも、もう水澤少尉は戻って来ません。』と奈月ありすは詩音に言う
そのやり取りと、未だに姿を見せない水澤に
梶原隊長の言っていることは真実なのだと感じたサヤ達は
『オッパが...死んだなんて嫌や!嫌や!嫌や!嫌やぁ...』と言ってサヤは泣き崩れる。
『オッパー!!』とナユンは空へと叫び両膝を地面について泣きじゃくり
『オッパ...。』とツユは小さな声で言い泣き始める。
それを虚ろな目をしたまま見ていた安莉は詩音の方に行き前に立ち
『確か西野さん言いましたよね?戦争が終わるまでの間、私達の大切なファンを借りるって、そして返すって言ったわよね?』
『そうね。。。確かに言ったわ。。。』
『なら返してください!水澤さんを私達に返してください!』
『いい加減にして!!』と城咲が怒鳴り『これは夢でも幻でもないでしょう!悲しいけど、これが現実でしょう!辛いのも、悲しいのも、みんな同じじゃない!!』と言って安莉の頬を思い切り叩き
『少尉が〝命と引き換えに私達の帰る場所〟を守ってくれたのに...なんで、それをわかってあげれないの..?』
『あと、ナユン!サヤ!ツユ!あんた達も、少尉に言われたでしょう!あんた達が笑っていれば自分たちの中に居るメンバーも笑ってくれるって!それと同じように、あんた達の中に居る少尉だって、あんた達が笑っていれば笑ってくれるはずじゃない!!』
『赤坂、森下、あんた達もよ!』
城咲の言葉に姿に水澤の姿が重なる感覚を覚えた安莉とまりあは城咲に抱きつき泣きじゃくり
...水澤さん...なんで死んじゃったの...一緒にお花見しようって約束したじゃん
....約束したなら...ちゃんど守ってよ...
勝手に独りで旅立たないでよ...と安莉は心の中で水澤の名を呼び叫んでいた。
その光景を見守っていた榊達は、直に戦争が終わり
その日を水澤と迎えられないという現実が重くのしかかり
そのが近い内に訪れることへの抵抗感を感じ
〝もっと一緒に戦い、共に終戦〟を迎えたかったと思っていた。
水澤が自身の命と引き換えに希望に満ちた未来を迎える日が近づいて行く
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Anri_daily...
水澤さんが命と引き換えに核ミサイルの発射を阻止してから間もなく
北韓軍は無条件降伏し、半島派遣軍は〝戦闘終結宣言〟を山口喜久参謀総長が発表し
祖国統一義勇軍のカン大尉は〝戦闘勝利宣言〟を発表
こうして、第二次世界大戦以来、二分されていた半島はひとつの国家となり
大韓民国と名を改めて新たなスタートをきることになりました。
私達はというと、戦争が終わったとはいえ、まだやらないといけないことが残っいました。
あの男の処分
岡村田を軍事法廷に出廷させ裁かなければ本当の意味での終戦はやってこないのです。
キムウンジョンと岡村田の繋がりを示す資料も証拠も平壌攻略戦に於いて押収済み
岡村田という男は、やっぱり敵と通じていたのです
第二次チェチョン戦役の派遣軍の情報やヨンジュ事件の証拠隠滅の為に菅野大尉の部隊を襲わせたのも、ルート4で誤報を流し15中隊を砲撃させたのも全て北と手を組んで行っていました。
そして、これは伊藤さんから聞いた話ですが
九州で防衛戦を行っていた頃、あの学校で水澤さんは岡村田が敵と通じている可能性を示唆していたそうです
それを示す証拠もあり、岡村田は国家反逆罪を言い渡され死を待つ日々を送っています。
さっさとあの世に行って水澤さんに嫌というほど殴られれば良いのになんて思ったりしてます。
それと、キムウンジョンを裏で操っていた中国は北韓が負け、台湾併合という野望を打ち砕かれ
「半島を侵略した日本が国境を越えることがあるなら我々はあらゆる手段を用意している」と発表しましたが、半島派遣軍は「戦闘終結宣言」を出したのち、順次、半島から部隊を引き揚げ
これに代わり半島復興派遣群、軍ではなく群という文字を使い
荒廃した半島の復興の為の部隊を派遣し祖国統一義勇軍と共に復興の任務についたのみで
中国への侵攻の意図はないことを示し、中国の台湾併合または侵攻の理由を完全に封じ込めました。
あと、ナユンさんのお腹の中に、なんと水澤さんの子どもが居るそうです!
いつの間に?って思ったけど、ナユンさんが言うには
ソウル奪還と返還の祝賀会の日の夜に、その...ね
..そういう雰囲気になってみたいな。
半島では本当、ナユン達には邪魔されまくりな半島での日々
水澤さんも水澤で、本当にもうって感じです 笑
最後に、私の近況について、お伝えしますね。
私は今も黒装の軍服を来て、軍の報道官をやっています。
戦争が終わって、まだ日が浅いので、水澤さんのことは世間に知られていないけれど
いつか、私の口から伝え語り継ぎ、そして〝紡ぐように未来へと繋いで〟行かなければならないと思っています。
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最終話 この汚れた世界に愛を注いで。
ーーENDーー
【このエンディングは最初から考えていたエンディングです。】
Ending 【B】の投稿後にエピローグを投稿する予定です。
最期までお付き合いいただきますようお願い申し上げますm(_ _)m
では、いいね、ブクマ、感想、評価等
お待ちしております。
次回更新は11月17日(金)を予定しております。