THE LAST STORY>RELOAD< ⑮ 前編
本編ストーリーにTHE LAST STORY>battle of Japan< を挟んだ為
新章のストーリーの順番の入れ替えを行いました。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
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第15話 Tragic reality 前編
15中隊は大邱での休暇を終え栄州へ向けて出撃
その道中で、15通信隊の女性隊員が乗車している装甲車内ではDシスと通信機は15の主要装備として桜井と城咲の手により復活し車内で最終調整を行っていた。
ルート4(フォー)で破壊された桜井満里奈のDシステムと通信機のデータのバックアップしていた城咲茜
何故、城咲が桜井のデータをバックアップしていたのか?
城咲が言うには、自分は元々システムエンジニアなりプログラマーになりたかったが、女の子らしい仕事をして欲しいという親御さんの反対を受け
デザイナー系の専門学校に通っていた。
その為、独学でプログラミングやシステムエンジニア系の専門知識を学び
桜井のパソコンにハッキングしデータをバックアップし、解析しようとしていたらしい
そんな最中に、ルート4の事件が起き、城咲のパソコン内に桜井のデータが残ったのだった。
ちなみに、水澤から頼まれた制服のデザインは完了しており、城咲からナユンらにデザインのデータを渡たし大田にて黒装の制服を受け取ることになるのだが、それは、もう少し先の話になる。
そして、城咲は自分の意思を貫く覚悟を決めていた。
栄州にて、ルート4の鬱憤を晴らすような激しい攻撃をキムゲテ隊に加え始める
第7野戦砲部隊が砲撃支援にあたる
水澤の率いる第1小隊から送られて来る砲撃座標の擊点指示を赤坂安莉が務め、そのカバーに森下まりあがあたる
水澤から絶え間なく送られて来る砲撃座標を安莉は必死になって砲撃隊に送信し続ける
水澤の第1小隊は15中隊内で先陣を常に務め中隊全体の指揮を梶原隊長が戦闘指揮所から指示を出すのだが
水澤の率いる第1小隊黒装部隊だけは独自に行動することを許されている
その為、水澤の指示を的確に処理する能力が必然的に安莉に課せられている状態だ
安莉は額に汗を滲ませながら水澤からの砲撃座標を砲撃隊に指示し続け
キムゲテ隊が栄州を放棄し退却するまで気が抜けない緊張感の下でミスをしないことを心がけていた。
水澤から安莉、そして砲撃隊へとライン作業のように連なり続け
全てが終わる頃には安莉はクタクタになっていた。
安莉自身が志願して水澤の黒装隊の専属通信員を務めること決めたとはいえ
その前の専属通信員だった奈月ありすとは異なり
安莉は奈月の通信員としての腕前は自分以上であることを思い知ることになった。
一方でカバーについてたまりあはというと目の前でスピーディーに処理する安莉の姿に、さすが安莉ちゃんだと思っていた。
栄州戦は15中隊の完全試合で幕を閉じたとはいえ
キムゲテを討つには至らず
追撃戦を行うか否かを梶原隊長は西野副長と相談しルート4での痛手から復帰しきれていない15の戦力を考え
追撃は行わない決定を下し
栄州に駐留警備をすることにした。
ルート4で受けた痛手は部隊の戦力低下を招いていたのだった。
そして、水澤が率いる黒装部隊の古参でもある杉本の死は15第1小隊にとって初の戦死者でもあった。
それでも立ち止まることは出来ない現実が彼らの前にある
戦場に立つということは死と隣り合わせの綱渡り
彼らにとっての明日とは戦いが始まって24時間後に、まだ息をしているかどうかで明日を迎えるような感覚で戦場での日々を送っているとも言える
凄惨極まりない戦争という魔物と対峙する彼らの明日と未来は命を懸けて掴み取ることでしか成せないことなのだ。
栄州駐留中、城咲はクタクタになった安莉に代わり通信機の前に座っていた。
その光景に通信主任の小山は何も言わず、ただ黙って見ていた。
城咲が安莉と交代する前
『赤坂さんは少し休んでて良いわよ。私が代わってあげるから。』
『でも、城咲さんは...』
『私は私の決めた道を行くって決めたの、だから代わって。』
『でも、もし戦闘状態になったら..城咲さん...』
『人殺しの片棒を担ぐだけだけど?って言うのはウソよ!
ただ、あの時はムカついてて酷いことを言ってしまったって思ってるし悪かったと思ってる!』
城咲は安莉の手を握り
『私は大宰府でも、大邱でもナンバー1だったんだから心配しないで、それにアレを桜井さんと再び組み立てたのも私だから大丈夫!
それに、もう少し使いやすく調整しておくから
赤坂さんはゆっくり休んでて。』
そう言って城咲は赤坂が座って居た通信機の前に座り耳にレシーバをあて調整を行い
今、通信機の前に座り水澤からの砲撃座標指示を待ち続けている。
城咲は城咲なりに考えて自分の道を行く決意を固めたのだった。
栄州駐留中に再び戦闘状態になることはなく
15中隊はチェチョン方面へと移動を開始
チェチョン到着後、キムユシン、チョソンミン隊と戦闘状態に入る
15中隊と行動を共にしている第7野戦砲隊の155ミリカノン砲による空襲砲撃がユシン、ソンミンらの頭上で炸裂するが
ユシン、ソンミンらはチェチョンに洞窟陣地を構築しており穴の中に隠れて砲撃をしのぎ
空襲砲撃の意味をなさないと判断した梶原隊長は通常砲弾によるピンポイント砲撃に切り替えさせ
各小隊から15通信隊を通して砲撃隊に目標座標が送られて行く
第1小隊専属の安莉は栄州と同じように必死に目標座標を指示し続ける
その様子を見ていた城咲は『赤坂さん少し代わって。』と言って安莉を押し退けて自身が通信にあたる
通信機からの声が安莉から城咲に代わったことに水澤は『何かあったか?』と城咲にたずねる
『少尉殿の人使いの荒らさを見てられなくて』とクスッと笑いながら答え『少尉、目標座標をお願いします!』城咲はそう言って水澤からの砲撃座標指示を流れる川ように淀みなく伝え続け
その様子に、これ程に綺麗な通信は見たことはないと通信主任の小山は感じていた。
一方、安莉は心の中で、やっぱり主席で卒業した城咲さんにはかなわないと落胆にも似た感情を感じていると
『赤坂さん!あとはよろしくお願いね!』と言って突然、城咲は安莉と交代する
『私のやり方と赤坂さんのやり方は違ってないけど、赤坂さんは身構えすぎて硬くなりすぎてる
もっと自分に自信を持って、そして少尉の小隊を守ってあげて。』そう安莉の耳元で言い
安莉の通信している姿を見守るりながら、時折アドバイスしつつ安莉をサポートする
城咲茜の言葉、そしてその的確なアドバイスの下で安莉は別人のようになったかのように流動的な座標指示を流れるように捌き
その二人のを奈月ありすは見守りながら、なんとか落ち着く場所に落ち着くみたいねと思って見ていた。
ソンミン、ユシン隊と15中隊の戦いは共に綱引きをするような形になり
やがて、膠着状態に入り、梶原隊長はその間に各小隊毎に交代で休憩をさせる
水澤の第1小隊が休憩に入ると同時に安莉らも休憩に入る
『お二人さん!ご苦労様!』と奈月は安莉と城咲に言い
『城咲さんのサポートのおかげです!ありがとうございます!』と安莉は城咲に御礼を言う
『何を言ってんの?同じ中隊の仲間でしょ?気にしないで!』と城咲は安莉に言い
先ほど迄の通信の内容と操作方法の改善点等を安莉にアドバイスし
城咲は桜井満里奈のDシスと通信機をリンクさせ担当部隊にピンポイントで状況や敵の動きを伝える方法を考え
通信機に自身のパソコンを繋ぎカタカタとタッピング音を立てながら何やら作業を始める。
その頃、チェチョン北方のウォンジュでは、北韓のキムウンジョンが組織した民族防衛隊という名の民兵部隊が南韓民国人に対して無差別殺戮を開始していた。
この急報に南韓軍のカン大尉は司令官のソンジェに救出隊の派遣を進言したが
チェチョンとウォンジュはユシンやソンミンらの縄張りであることを理由に部隊派遣は難しいと言い決定を先送りにした。
そのことを知ったナユン、ツユ、サヤ達はソンジェに即時に軍の派遣を要求したが、ソンジェは北韓が支配する地域にとどまることは〝生きる権利を放棄〟したのと同じだと言い
ナユンらは、ただ自分たちが産まれた故郷に残っただけでウォンジュは南韓の土地、人も土地も取り戻して守るのが軍の仕事でしょう!と言ってソンジェに軍の派遣を強い言葉で要求したが
ソンジェは聞き入れず水澤ら15中隊等と交流を深めるナユンらに対して
我々を裏切った者の言葉など聞き入れる筋合いもないと言い突き放した。
もうソンジェはあてにならないと判断したナユンらはカン大尉を通して15中隊にウォンジュの凄惨な事件が起きていることを伝え
15中隊長の梶原はナユンらの要請に応じ
ウォンジュ南西に居た21中隊を先に送り
15中隊はユシン、チョソンミンらの動きに警戒、牽制を行いつつウォンジュへ進軍を開始する。
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先行してウォンジュへ入った21中隊の中村はウォンジュの凄惨極まりない情景を目の当たりにし大邱司令部に打電
司令部は派遣軍全体に北韓軍の掃討を下令
大邱、大田で休暇中の部隊をも出撃させた。
ウォンジュの惨状は目を覆いたくなるような有り様で
中村はウォンジュ周辺を索敵し北韓の民族防衛隊を捕捉し半島派遣軍史上最も苛烈で非道な殲滅戦を開始
この中村の捕捉殲滅戦は半島派遣軍にとって汚点を残すことなり、新たな勢力が誕生するきっかけとなるのだった。
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ーーつづくーー
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