THE LAST STORY>last letter< takeshi_sugioto
THE LAST STORY>last letter< takeshi_sugioto
逆巻く刻を哀と呼ぶなら
君と廻す輪廻を愛と呼べるの?
両手に映す未来の果てに
君が笑顔で在るなら
僕は時代に命を捧ぐよ
君と出逢えた昨日と今日が
いつか逆巻く波を乗り越え
その手を離さない
二度と別れぬ刻を想うから
いつも笑ってくれたキミに
僕が出来ることは何なのだろと
いつも考えてた
いつかこの戦いが終わった刻
輝く笑顔でキミは迎えてくれるかい?
必ず帰るよキミの元へ
必ず抱くよ この手で
僕とキミとの愛の結晶を。
絶対に生きて必ず帰るから。
待っててな。夢愛、翔大
日本陸軍曹長 杉本 武志
ーーーーー
杉本が最後に残した手紙は血に染まっていた。
何故?人は争うのだろう?
何故?人は..その争いが不毛なモノだと気づけないのだろう?
大切な誰かを残して旅立った杉本曹長の死は15中隊
黒装部隊初の戦死者となった。
必ず生きて帰るという〝約束〟を果たせぬまま
杉本は敵の弾丸ではなく味方の砲弾による戦死
戦争という愚かな行為が引き起こした悲劇。
戦争は大切な誰かを、そして命を奪う
不条理な戦争の中に放り込まれた男の最期の手紙には
未来への希望に満ちていた。
そして、その輝かしい未来を無惨にも奪いさっただけじゃなく妻や子から父親を奪い
杉本やその妻が夢見た世界は決して訪れることのないモノとなってしまったのだった。
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