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THE LAST STORY>RELOAD< ⑬ 中編

挿絵(By みてみん)


THE LAST STORY>RELOAD<


第13話 MALICE MIZER 中編


大邱(テグ)に帰還した15中隊は束の間の休息に入る

いつものように梶原隊長の訓示が終わり

ナユン、ツユ、サヤそして西野詩音(にしのしおん)が水澤のもとへとやって来る


『オッパ!出撃お疲れ様』といつものようにサヤ達の労いの言葉


『15の活躍は聞いているわ』と詩音


出撃しては帰還するたびに繰り返される半島での日常


だが、今回は少し違っていた。


『水澤さん』と赤坂安莉が声をかけてくる

そして、出撃期間中に城咲茜(きさきあかね)のことを話す


水澤は『そうか、わかった。』と言って営舎へ戻ろうとしていた通信主任の小山のもとへと行く


『小山主任、俺との約束を破るつもりか?』


『約束?』


『召集という名の強制徴用された女性兵の扱いについて以前話したはずだろ。』


『その話なら了解している。』


『なら何故、城咲に業務を強制した。』


『城咲以外は通信士としての業務を自発的に行っている。』


『だからといって城咲に業務を強制して良い理由にはならない。』


『この際だから言わせてもらうが、例え強制徴用されたとは言え軍人は軍人、その職責は全うすることは当たり前なことだと思うがな。』


『約束を了解していながらその言い様はないんじゃねぇか?』


明らかに水澤の顔に怒りの色味が走る


『約束は果たされた約束だけが約束の内に入る、果たされなかった約束は〝ただの嘘〟だ。小山?お前は俺に嘘をつくつもりか?』


『彼女らの経緯には同情するが、特別扱いせず...』


『小山、貴様は俺を舐めてんのか?』


『上位階級者に対する言葉使いじゃないな水澤。』


『階級なんざただの飾りだ!俺は今、1人の人間としてお前と話してんだよ!

てめえは岡村田の片棒を担ぐつもりか!』


『軍に所属する以上は、上位階級者に対する言葉使い、態度は軍法に定められている

そのことは水澤もわかっているだろう。』


詩音は、んんっと咳払いして『上位階級者の命令が絶対とは言い切れないわよ?時として下位の者の意見を聞き受け入れることは上位階級者の務めでもあるわ

それに今回のことは、召集が決まる以前から水澤くんが彼女らの境遇を考えて貴方達、上位階級者にお願いしたことでしょう。』


『お言葉を返して恐縮ですが、軍人たる者、軍務を果たす義務があると自分は考えております。』


『ならば、参謀部として小山主任に命令を出すことになるけれどよろしくて?』


『....。』


参謀部の命令に背けば一発で営倉行きになる


『良いの?悪いの?』


『軍律に照らした場合...』


小山は言葉に詰まる


『軍律に照らした場合、何かしら?』


『いえ、その...』


『ここは15中隊、梶原くんを差し置いて命令はしないけれど、私から梶原くんには隊長令を発するように言うことぐらいはするわよ。』


隊長令は絶対服従を誓わせ隊長の命令を完全遂行することを義務付けられ違反した場合は隊長の権限で悪くて営倉、良くても隊を追放という意味を持つ

ひとたび隊長令が発っされたら絶対に背けない。


『西野秘書官殿のお気持ちは理解いたします、ですが、軍人としては隊務を果たす義務があると考えております。ですので、特別扱いはどうかと言うことを申し上げているのみです。』


『だからといって水澤くんとの約束を反故にして良い理由にはならないわ

貴方には思いやりの心が欠けてるようね。』


『小山、今一度、お願いしておく。今回の強制徴用された女性兵、そして今後、半島に送られてくる女性兵に対し業務の強制は行わなわずに客人として扱い戦争終結まで守ってくれ。』


そう水澤は言い小山に頭を下げる


『...了解した。』


そう言って小山は不満気な表情のまま営舎へと入って行く


『詩音さんの脅しには、さすがの小山も、びびってたな。』


『脅したつもりはないけど?私は事実をありのままに言っただけよ?いつかの貴方のようにね。』


『事実ねぇ。まあ、これで大人しくしてくれりゃ良いがな。なんせ小山は生粋の石頭の職業軍人だからな。』


『この次、何かあったら梶原くんに隊長令を発っするように言うだけよ。それでもなお言うこと聞かないなら参謀部として命令を出すだけ。』


『軍人として軍律を重んじる小山のこと、隊長命令だけで充分効果あるさ。』





>>>>>>


大邱にて休息中、城咲は川中ら15第1小隊のイケメン三人衆と日々を過ごし

さしたる問題もなく15中隊は休暇を終え

再び大邱を経ち栄州(ヨンジュ)を経由し堤川(チェチョン)へ到着


堤川にて、菅野中隊と合同でチョソンミン隊、キムユシン隊と戦闘状態に入る


奈月(なつき)ありすは、城咲と小山が揉めないよう城咲を野営テント内に留め置き

奈月、赤坂、森下らが通信業務に参加していた。





戦闘が開始され2日目の夜間










菅野中隊の通信、衛生隊より緊急無線を15中隊は受信




菅野中隊戦闘部隊の後方に配置されている両隊が敵襲を受けた。






水澤の第1小隊は休憩の為、15通信隊、衛生隊がいる場所で仮眠中だった。





菅野中隊本隊はユシン隊と戦闘状態に入り後方に配置した自隊の通信、衛生隊の救出に向かえない



緊急無線受信のアラームが鳴り水澤達は飛び起き

通信隊に何が起きたのかを水澤は確認する

菅野隊の後方部隊の危機に『準備が出来た者から順番に出撃!!』と水澤は命令し自身が一番最初に出撃して行く


桜井満里奈(さくらいまりな)のDシスによるモニタリングサーチで菅野隊後方部隊の位置を水澤らに桜井が伝え


その情報をもとに菅野隊後方部隊の救出に向かう


基本的に同じ派遣軍同士であっても防諜の観点から後方部隊の位置は互いに把握できないようにしている為

桜井のDシスが感知した受信波から位置を割り出す必要があった。





時を同じくして15本隊も救出に向かおうとしたがチョソンミン隊と遭遇し戦闘状態に入る





菅野隊の後方部隊の救出は水澤の第1小隊だけが頼りの状態になっていた。






菅野隊の後方部隊の位置に水澤が着いた時、菅野通信隊、衛生隊は敵軍と交戦中だった。



水澤の後から榊、川中、黒木、森村、沢田、三上、杉本らが続々と到着


敵軍を菅野通信、衛生隊から引き離す為に戦闘を開始


菅野通信隊の野営テントには元芸能人の通信員が残されていた。



敵と交戦しながら水澤達は女性通信員の救出も同時進行で行い


野営テントに近づく敵軍を水澤は白刃を月明かりに煌めかせ切り倒しながら


『榊、黒木、森村!お前達は中の通信員の救出にあたれ!』


『了解!!』


榊、黒木、森村はテント中に入って女性通信員を自分たちが乗って来た戦闘装甲車にお姫様抱っこして乗せる


戦闘装甲車の上から川中が狙撃し追いすがろうとする敵兵を撃ち倒し


『川中!お前が』と榊が言う

榊の意図を理解した川中は装甲車の上から降り

『俺の出番を残しとけよ』と榊に言い装甲車に乗り込み15中隊の野営地へ車を走らせる



『通信機は破壊したか?』と水澤は菅野通信隊員に聞く

敵軍に派遣軍の通信機を奪われることは通信が筒抜けになり丸裸にされることと同じだ。


全て破壊したことを菅野通信隊員は水澤に伝え


『了解した、ここは俺達に任せてお前達も撤収しろ!』


水澤は自身達が乗って来た戦闘装甲車に菅野通信隊、衛生隊に譲り撤収させる


「こちら水澤、菅野通信、衛生隊の救出を完了、引き続き敵の掃討に当たる」


「こちら15通信隊、奈月です、了解しました。」


「菅野本隊の位置はわかるか?」


奈月は桜井に菅野本隊の位置を聞く


「菅野本隊はユシン隊と交戦中、位置は水澤少尉達からみて北東11㎞先です。」


「以外と近いな。」


「ユシン隊に押され後退を余儀なくされたと考えます。」


「了解した。引き続きモニタリングを頼む、何かあれば直ぐに伝えてくれ。」


「了解です。」



『残敵を片付けて、すぐに菅野本隊を救出に行くぞ!』


『了解!!』


水澤率いる第1小隊は菅野隊後方部隊に襲いかかった敵軍を壊滅させ


菅野本隊の救出に向かう







菅野本隊はユシン隊の波状攻撃に苦しめられ


菅野の居る戦闘指揮所(ピスト)をも飲み込み

敵味方入り乱れた乱戦状態に陥り

菅野の居る横穴にロケット弾が命中し菅野はその爆発により膝からしたが硬い岩盤に埋まり身動き出来ないでいた。







菅野隊の交戦の銃声が聞こえてくる


水澤達は急いで斜面を駆け上がり菅野隊、ユシン隊の交戦が月明かりの下でもはっきりわかる場所まで来た



『総員!突入開始!!』と水澤は号令を出し


水澤達は菅野隊の戦いに加わる




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その頃、15通信、衛生隊の野営地に川中が到着し戦闘装甲車から菅野隊の女性通信員を三崎、稲葉両軍医に預け


桜井から水澤達の場所を聞き再び戦闘装甲車にのり戦場へと向かう




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水澤小隊が菅野隊に合流しユシン隊と激しい攻防戦を展開


15黒装部隊の出現にユシン隊は押され始める


高い機動力と火力を誇る水澤隊の攻撃にユシン隊は後退し始め


水澤は菅野隊員に菅野の居場所を聞き

半分くらい入り口が潰れた横穴へ入って行く



『菅野大尉!』


『水澤君か?』


水澤はライトを照らし声のする方に光りを向け菅野を発見


膝から下が埋まり動けない菅野は自分より隊員を救ってくれと水澤に頼む


水澤は、俺の小隊が敵を追い落としてるから心配するなと言って菅野の腋の下に自身の腕を入れて菅野を引っ張り出そうとする


硬い岩盤に押さえつけられ、びくともしない


「沢田!榊!手伝いに来い!」


ハイパワーにカスタムしたAKR(アサルトキラーロケット弾)で弾幕を張り敵を蹴散らし

榊と沢田が横穴に入って来る


二人は菅野の姿を見るなり『菅野教官!!』と言って菅野の元に寄る


『私はもう君らの教官ではない、それに君らは黒装部隊として敵に恐れられるほどに成長してくれた。私は誇りに思う。』


『いつまでたっても、俺達にとっては良い教官殿っすよ。』


『膝から下が埋まってて、びくともしねぇ、膝周りを少し掘ってから引っ張り出そう。』


三人で菅野の膝周りを掘り、状態を確かめる

硬い岩盤に押さえつけられている部分を見て

『こいつわぁ...』と沢田が声に出す


榊は『だからって諦めてたまるか!』

榊の脳裏に瓦礫に埋まり身動き出来ないまま息を引き取った彼女の姿がよみがえる


『俺が持ち上げる。沢田は菅野教官を引っ張り出せ』


そう言って榊は岩盤の下を更に掘り手を入れて持ち上げようとする


水澤も同じように持ち上げようとするがなかなか持ち上げられない


『くそ!』と榊は言い更に力を込める


水澤は無線を15中隊に繋ぎ「こちら水澤、のんちゃん(三崎軍医のこと)と話をしたい。」


「こちら15通信員、奈月です、了解しました少々お待ちください。」


『三崎軍医に何を?』と榊が聞く


『ここから15の衛生隊まで急いで行けば30分ぐらいはかかるだろう?』


『まさか斬るつもりっすか?』


『それ以外は方法がない。』


『そんなん..無茶苦茶っすよ!』


『無茶だろうが何だろうが、どのみち潰れた足は元には戻らねぇだろ!!』


確かに完全に押し潰された足は二度と元には戻らないだろう


『菅野大尉、悪いけど膝から下は諦めてくれ。』


菅野は静かに頷き


『マジかよ...』


「こちら三崎、何の用?」


「のんちゃん、今から菅野さんの両足を膝から切断する、止血は太腿を強く縛って置いたら良いか?」


「切断するって?何があったの?」


「硬い岩に膝から下が挟まれて引っ張り出せない。」


「...斬る前に痛み止めを打ってから太腿の付け根を強く固く縛って。」


「了解。処置したら直ぐにそちらに送る」


「了解。準備して待ってる。」


『菅野さん、すまない。』


『気にする必要はない。命があるだけ幸運だし、義足を付けてでも再び戦場に私は戻るさ。』


『菅野教官...』


『なら、始めるぞ。』


水澤は腰のベルトに装備している痛み止めのモルヒネを取り出し菅野の太腿に打つ


沢田が右足の付け根を縛り

榊が左足の付け根を縛る


二人は涙目になりながら『菅野教官...ほんと、すんません。』と謝る


『男が泣くな!君らは誇り高き黒装部隊員だろう。』


水澤はライトで自身の腕時計を照らし痛み止めの効果が効き始める頃合いをはかる



そして『菅野さん、今から切り落とす。』


『頼む。』そう菅野は答え瞳を閉じる


水澤は膝関節の節を寸分違わず正確に斬り



菅野は少し眉間に皺を作る



足の付け根を縛り止血したとはいえ多少の出血が起き

切り落とした膝先を消毒薬で消毒しガーゼをあて包帯を巻き


沢田に菅野を背負わせ


『のんちゃんの所に』


『了解。』


沢田に背負われ菅野は山を下り15中隊衛生隊へと運ばれる





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菅野を救出した水澤と榊は後を追いかけて来た川中と合流


再びユシン隊と交戦を再開



菅野離脱を受けて副長の一木大尉が部隊の指揮を取り



菅野の足の落とし前をつけるかの如く菅野隊は奮戦し

水澤達の力を借りたとはいえ半島での戦いで語り継がれる程の戦いぶりをした。






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沢田から菅野を引き取った三崎希望(みさきのぞみ)軍医は『菅野大尉、久しぶりですね。』


『確かに久しぶりだな。』


『私の医術は知ってるでしょうから何も言わないわ。』


『私も敢えて聞かないことにする。』



三崎軍医は菅野を本格的に治療を開始し


それを見届けてから沢田は戦線に復帰しに行く







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菅野隊、そして水澤の15黒装部隊はユシン隊を押し返し

15本隊もチョソンミン隊を押し返して合流



堤川の戦いは幕を閉じた。







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15中隊は菅野隊の生き残りを連れ15通信、衛生隊の野営地に帰還



水澤達は菅野の様子を見に衛生隊のテントに行く



点滴をされ眠っている菅野を見て、菅野に教授を受けた榊、川中、黒木、森村、沢田、三上は涙する


その様子を見た稲葉華凜(いなばかりん)軍医は『菅野大尉は生きてるんだから泣いてどうするのよ。』


『けど、足が...』


榊の言葉に悔しさが滲む


『日本一の医者が処置したのよ大丈夫に決まってるじゃない。』


『日本一ではなく、世界一ですけど。』


『そうね、日本が世界に誇る軍医が処置したんだから泣かないの。』


『幸い破傷風にもならず、傷口から菌も入らなかったし、貴方達の応急処置が良かった証よ。』


『菅野教官...』


『義足付けてでも戦場に戻ってくると言ってただろ?』



『俺達の菅野教官は絶対に戻ってくる。俺はそう信じる!』


そうだそうだと川中達が言う


静かにしろと衛生隊主任の岡部が怒る


『すんません。』


菅野康貴陸軍大尉は翌日、ヘリにて大邱陸軍病院に搬送された。



そして、残された菅野隊員は15中隊と戦力統合という形で15中隊員となる


菅野隊副長だった一木大尉は藤井一也から副長補佐の席を譲ると言われたが

それを丁重に断り、菅野隊の生き残りを率いる第5小隊長として15にて戦うことを選んだ。



菅野隊後方部隊への敵軍の襲撃は果たして偶然だったのか?それとも誰かの意図により引き起こされたことなのか?疑念を残した。


桜井のDシスの解析結果は偶発的にも意図的にも取れる結果を導き出し

真相の解明には時を待たなければならなかった。




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菅野隊の生き残りを15の戦力としたことで、菅野隊に配属されていた女性通信員


今村美桜(いまむらみお)中条(なかじょう)あやな、綾瀬(あやせ)はるならが15通信隊となり


今村、中条は15の存在は栄州(ヨンジュ)で水澤が名乗った隊であること、そして自分たちを助けてくれた隊


水澤の姿を知る二人は、水澤の元に奈月ありすに伴われ来ていた。



あの日のことの御礼を言う二人に水澤は自分だけじゃなく15中隊全員の努力と西野秘書官の力があってこそ成し得たことで、民間人の保護義務を果たしただけなので御礼はいらないと言い


例えそれでも助けられたことには代わりないと二人は言い頭を下げた。


そして、今村美桜は水澤の出身を聞き〝同じ福岡出身なので仲良くしてください〟と笑顔で言い


15通信隊には同じ福岡というか、九州宮崎出身で北九州で働いてた赤坂安莉が居るから仲良くしてあげてと答え


今村美桜は『はい!』と元気に答えた。


今村美桜、中条あやな、綾瀬はるなら菅野隊の生き残りの加入を経て


15中隊は清州(チョンジュ)へ向かう。





>>>>>>


時間を少しさかのぼる

菅野隊後方部隊が襲撃に合い

川中が今村達を15に送り届けて今村らが15通信隊のテントに来た時


テント内にいた城咲は今村らを見て軍隊って誰彼かまわず召集してるんだと思っていた。


今村らから菅野隊が襲撃にあったことを聞き


『芸能人をやめさせられた上に敵に襲われるなんて最悪ね。』


今村らは栄州のことを言うわけにはいかない立場にあることは自身達が一番わかっていた


そして、あの栄州の事件から間もなく召集されたのは

たぶん...


それ以上のことは考えられない


今、目の前にいる城咲は、それを知らない


軍が巻き込んだ被害者だと思っていた。



>>>>>>

清州にて


菅野隊の危機の最中(さなか)業務放棄していた城咲に対し通信隊主任小山は城咲を叱責し


城咲は『あんたらと同じように人殺しの片棒を担ぐ気はないし、あんたらみたいな人間にはなりたくない!』と言い


小山は『業務放棄は重罪だと言うことを知らんのか!』と怒鳴る


二人の言い合いに奈月が『軍法や軍律より大切なことを主任殿はお忘れで?』


『キミの出る幕ではない。』


『残念ながら、私がこの中隊に参謀部から派遣されて来たのは主任のような不届きな人間が出ないよう見張る為に西野秘書官から言われて来たんですが?』


奈月の言葉に嘘はない、奈月ありすの15加入は詩音の命令によるもので

岡村田から家族を保護した参謀部への恩を返す場所

そして、再び水澤を狙う者が出た場合に相手が女性だと水澤は躊躇する可能性がある

奈月ありすは水澤のボディーガードという別命を受けて15中隊に参謀部から派遣されて来たのだった。



城咲と小山の確執が深まる中



15中隊は清州にて、リョミンス撃滅作戦を始めようとしていた。


15中隊はミンスより先に清州(チョンジュ)を抑えた15中隊はリョミンス来襲を待ち構えていた。


清州を抑えてから、ほどなく桜井満里奈のDシスがミンス隊の通信を捉え

15中隊はリョミンス撃滅作戦の準備に入る


清州郊外北側に水澤の第1小隊、15本隊、新加入の一木大尉の第5小隊と藤井一也率いるライフル隊、佐脇和馬の打撃軍と伊藤率いる第2小隊

後詰めに第3、4小隊の配置


上からみたらひし形に展開した15の陣立て

その後方の清州市内に後方部隊の通信、衛生隊


リョミンス隊と最初に水澤らの黒装部隊が激突し撃滅作戦が開始される



この作戦の要は数で勝るリョミンス隊を〝わさと清州市内に誘い込みトラップと野戦砲隊の砲撃にて徹底的に叩き潰しミンスの撃殺を狙った作戦


ミンス隊と激突した水澤の黒装部隊は囮となりミンス隊を清州に誘い込み

これまたわざと後方部隊に緊急待避を平電で敵にわかるように発信し

それに食いついたところを前述の方法でミンスをすりつぶす作戦だった。


後退しながら誘い込み続ける黒装部隊を追うミンス隊


そして、清州中心部に近づいた頃合いに緊急待避を発令


その発信を傍受した数にものを言わせミンス隊は攻勢を強める


緊急待避を開始した15中隊後方部隊は急速転回し後進


それに代わり藤井、一木隊が前進

同じように佐脇、伊藤隊も前進



ひし形陣から△形の陣形に変化し

先鋒の黒装部隊が後方部隊の完全待避の時間を稼ぎ続ける






後方部隊の完全な待避が完了したかに見えたが



待避前の点呼では居た城咲の姿が見当たらない


通信隊から城咲が居ないことが戦闘部隊に伝達される


そして、野戦砲隊に砲撃の中止を要請する




城咲茜(きさきあかね)は点呼後、装甲車に乗るふりをして清州市内に何を思ったか残っていた。



城咲の行方不明を知った水澤らは機動力を最大に上げ

得意の高機動戦闘にスイッチしミンス隊を押し返し始める


数の劣勢を機動力と火力で補う戦法は幾度となく繰り返して来た水澤達はミンスの攻勢を押し返し押し留め続け

水澤達に合流した一木隊、藤井隊、佐脇隊、伊藤隊が前面攻勢に出てミンスの猛攻をしのぎ続けた。



桜井は城咲の無線にDシスを使い電波を送り、その場所を特定する


桜井から奈月に伝達され

奈月から15戦闘部隊に城咲の居場所が伝わる



前面展開して防御を張っていた15中隊の僅かな隙をミンスは見逃さずに部隊を更に繰り出し前面展開している15中隊の後ろに回り込み始める


ミンスの動きを水澤は察知し

「伊藤!俺の小隊をお前に預ける!」


「預けるって、どちらに行かれるつもりで?」


「ミンス隊の一部が後ろに回り込んで来てる。」


「後方は3、4小隊が網を張ってますから大丈夫では?」


「その後ろだ!!とにかく預ける!俺は城咲を助けに行く!!」


このまま前面展開し続けても後方から挟まれたら、すりつぶされるのは15の方になる


そして、回り込んだ敵を叩く為に部隊を下げたら敵もろとも城咲が巻き添えになる可能性が高い


水澤は自身の五感をフル回転させ桜井のDシスより早く敵の動きを察知していた。


『榊達はいったん伊藤の指揮下に入り敵を食い止めろ!』


『水澤さんが行くなら自分たちも一緒に行くッスよ!』


『悪いが1人のが早い、とにかく時間がない命令だ!お前達は伊藤と一緒に敵を食い止めろわかったな!!』



榊らの返事を聞くこともせずきびすを返し清州市内へと1人突入して行く




>>>>>>



その頃、城咲は...周り込んで来る敵を目撃していた。



城咲は腰から無線を取り緊急要請のSOSを発信


桜井のDシスに城咲のSOSが受信される



「城咲さん奈月です!」



「奈月ありす!早く助けて!!」


「貴女のSOSは15全隊が受信してるから助けか直ぐに来るはず、だから其処でじっとしてて!」


「助けって、周りは敵だらけだから無理よ....私に当たらないように砲撃でも何でも早くさせて!」



「わかった、直ぐに砲撃されせるから身を低くして隠れてて!」


「とにかく早くしてちょうだい!!」


奈月が砲撃支援を求めようとした時、15本隊から水澤が清州市内に突入した報告が届く


これじゃ砲撃できないと奈月は思い


「城咲さん、水澤少尉が貴女を助けに清州市内に入ってるから、もう少し頑張って!」


「こんなに敵が居るのにここまで来れるわけないじゃない!」


「必ず少尉は貴女を助けてくれる!だから頑張るのよ!」



「無理に決まってる。」


城咲茜は敵の真ん中に孤立していた。








THE LAST STORY>RELOAD<


第13話 MALICE MIZER 後編 へと



ーーつづくーー



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ーーーーーーー

次回更新は10月25日(水)を予定しております。

予め御了承ください。

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