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THE LAST STORY>RELOAD< ⑫ 後編

挿絵(By みてみん)



THE LAST STORY>RELOAD<


第12話 Destiny 後編



西野さんに言われ私達は寝る間を惜しんで勉強し実務用の通信機器を寮に持ち込み努力し続けました


そして迎えた最終試験


想定してた問題もあれば、そうでない問題も出題されてたけど大宰府で習ったことを思い出しながら問題を解き

実務試験では寝る間を惜しんでいじり回した機器を再び教官の出す指示通りに扱い


なんとか最終試験を終えた


そして結果発表の日


試験結果と、その順位が張り出される


最終試験トップスコアで満点を城咲さんはとっていた。

城咲さんは大宰府でも試験はトップで通過していた

そしてずっとトップスコアを維持し続け大邱の最終試験でフルスコアで主席の座を手に卒業式を迎え


一方、私は持ち前の負けず嫌いが幸いしたのか5位で最終試験を終え

まりあちゃんも7位で最終試験を終え


なんとか西野さんの条件をクリア出来ました。



大邱訓練所卒業式で西野秘書官、ここでは所長だけど卒業証書授与式を行い

卒業生代表には主席の城咲さんが選ばれたのですが

城咲さんは拒否してしまい代わりに西野さんに使命されたのは私でした。


卒業証書授与の時に西野さんは私にしか聞こえない声で『よくクリアしたわね、おめでとう。』そう言って笑顔を見せてくれました。


卒業式が終わったあと、私とまりあちゃんを呼びに奈月(なつき)ありすさんが来て西野さんの執務室に行きました


そこで西野さん直々に配属命令書を受け取り

その紙には説明書きの下に【貴官、赤坂一等通信士を15中隊通信隊に任ずる】という一文が書かれていました

まりあちゃんにも同じように森下一等通信士を15中隊通信士に任ずると書かれた任命書を西野さんから渡され


私達は念願の15中隊入りが決まったのです。



『私から二人に伝えておくわ努力は裏切らない、努力を裏切るのは自分の方、これまでの努力を忘れることなく15通信隊として頑張るのよ。』そう言って私達を抱きしめてくれました。


『はい!』と西野さんの腕の中で答え


私達は西野さんと奈月ありすさんに連れられ大邱訓練所入り口に停めてある戦闘装甲車という乗り物に乗り込み

その乗り物には城咲さんも乗っていて、私達は一瞬ハテナマークが頭に浮かびましたが

15中隊に行けるワクワク感というか、やっと水澤さん達に逢える嬉しさでいっぱいでした。



戦闘装甲車を運転する奈月さんは黙々と運転し西野さんも何も言わず


城咲さんは居眠り、私達は窓のない車両に揺られながら大田(テジョン)の15中隊営舎へと運ばれ



15中隊営舎に到着



後部のハッチが自動で開き



『総員整列!!』と聞き慣れない声がしてドドドと地鳴りに近い音と共に私達の視界に綺麗に整列する15中隊の皆さんの姿を見つめていると


『さっさと降りて整列しなさい!』と西野さんに怒鳴られ

私達は駆け足で隊列に加わろうとしたけれど、何処に並んだら良いのかわからず呆然としてたら

奈月さんに無理やり引っ張られて行く城咲さんを見て私達も奈月さんを追いかけて15通信隊の例に整列


最初に雷鳴のような号令をかけた人物が15中隊長の梶原隊長であることを知り

その梶原隊長が副長さんの西野さん、隊長補佐の佐脇さん、副長補佐の藤井さんと順番に紹介し

通信隊の隊長にあたる通信主任さんの小山さん、副主任の吉田さん

衛生隊長にあたる衛生隊主任の岡部さん、そして私達もよく知る人

衛生隊副主任、三崎希望軍医の順番で紹介して次に

『第1、2、3、4小隊長!前え!!』と号令し

四人の小隊長が隊長の前に立ち、その中に水澤さんも居て以前、西野さんが水澤さんは将校として小隊を率いているという言葉を思い出し、今、目の前にあの桜咲く季節に離ればなれになった水澤さんが居る

その事実に私は涙を必死にこらえながら梶原隊長の紹介を聞く


第1小隊長、水澤少尉、第2小隊長、伊藤少尉、第3小隊長、安永少尉、第4小隊長、高村少尉と紹介

そして『新入隊代表奈月ありす前へ!』と号令

私は感動から驚きにかわり『え?』と声に出してしまい『静かに。』と西野さんに言われ


『新規入隊代表、奈月ありすです、今さらの紹介はいらないとは思いますが、(わたくし)奈月ありす以下、赤坂、城咲、森下をよろしくお願い申し上げます!』


ビシッと敬礼し、その敬礼に梶原隊長さんは返礼を送り『参謀部よりの出向、申し訳ない。』


『いいえ、元々決まってたことですので、気になさらず(わたくし)奈月をこき使っていだいて結構であります。』


『梶原隊長、奈月を宜しくお願いします。』


『はっ!西野秘書官殿!』



奈月さんと梶原隊長のやり取りから西野さんのやり取りが終え



隊務服務規定書と正式な15中隊員の証書、いわゆる軍人手帳を受け取り

この日、晴れて15中隊員としての第一歩を踏み出しました。



梶原隊長の訓辞が終わり『解散』の号令が出て直ぐ


『オッパ!!』と知ら声が聞こえて

その声の主に私はというより私もまりあちゃんもビックリしてしまいました


水澤さんの方へ駆けて行く三人組


ナインスのサヤ、ナユン、ツユが水澤さんと親しげに話をしている姿


『ナインスの生き残りのサヤ、ツユ、ナユンは水澤君の同盟者よ。』


『同盟者?』


『南韓軍司令のソンジェじゃ戦争に勝てないと見切りをつけて半島派遣軍を支援する方になったの』


『ナインスの生き残りはサヤ、ナユン、ツユだけ。』



『西野秘書官はナインスの由来は9人組のユニットって言ってたけれど、本当はナイスとナインをかけてナインスだったんですけどね!』


『相変わらずうるさいわね。』

詩音さんの言葉を無視して

『よっ!お二人さん久しぶり!!』


『稲葉さん!』


(はな)ちゃんで良いわよ。』


『私はのんちゃんで』


『のんちゃんってアンタ』


『水澤君にはそう呼ばれてるけど何か?』


『柄にもない呼び名ね。』


『あぁ?』


『急に戦闘モードになるところとか?』


『あぁ?』



『やめや!喧嘩は北韓軍とだけやってオッパもゆーてたやろ?』

詩音さんと稲葉さんの言い合いにサヤさんが割って入り

そして『詩音さんとのんちゃん、どっちが強いのかいまだに不明だけどな。』と水澤さん


『私!』


『いや、私!』


『いやいや、私!』


『華ちゃんまで..』


『ナユン!』


『ツユ!!』


『サヤや!!』


『すぐ何でも真似るんやめや!』


『言い方真似るんもやめや!』


その光景に私は笑ってしまい

感動の再会どころではなくなってしまいました。


『水澤さん!お久しぶりです!!』


『お!誰かと思えば赤坂さんと森下さん!ほんま久しぶりやなぁ。』


『だから、もう真似るんやめや!なぁ?なぁ?なぁ?』


詰め寄るサヤさん


『おう。悪い悪い。つか、関西弁うつるんだよな。』


『風邪やないんやからうつるかいな!って関西弁でてる私...うつるんホンマや!!』


『いや、自分、関西出身やん?なぁ?なぁ?なぁ?』


『そ..やった。』


そんなボケと突っ込みにさらにボケを重ねる姿に私は少し嫉妬したりして


サヤさんを見てると



『皆さんアニョハセヨ!大阪出身の湊崎サヤです!』


『皆さんこんにちは台湾出身のチョツユです!』


『皆さんニーハオ民国ソウル出身のイムナユンです!』


なんか挨拶の出だしが生まれと噛み合ってないようなとわたしは思ったけど


『九州の宮崎出身の赤坂安莉です!』


『東京出身の森下まりあです!』


『いや、真面目に自己紹介する前にナユン、ツユ、サヤの軽いボケに突っ込まな』と水澤は私達に言ったけど


『自己紹介はちゃんとしなきゃと思って...。』


『そやんな!』


『最初にボケたヤツの台詞じゃねぇだろ?』


『気にしたら負けやで?』


『ああそう。』


『なら、えっと...』


『まりあちゃん真面目だから無理しなくても。』


『お笑いの勉強しておきます!』


『ね?』


『まあ、サヤ達と絡んでれば自然と身に付くさ。』






そんな感じで私達はそれぞれ自己紹介して新しい生活をここ大田からスタートしました。



私は思う


運命の糸は、まだしっかりと私達と水澤さん達を繋いでくれてた

そして、新しい糸も生まれて、私達とナユンさん、サヤさん、ツユさん、新たな絆が生まれ紡がれて行くことになるのでした。



そして



大田での休暇中、最初は遠巻きに冷ややかな眼で見ていた城咲さんは、いつの間にかイケメン総大将と呼ばれている川中さんにべったりになっていました。


私達と同期にして主席で卒業した彼女の笑顔を初めて見た瞬間でもありました


それを見た奈月さんは『なんだ笑えるんじゃない。イケメン好きなんて普通の女の子してるし安心したわ。』


そう言って城咲さんを見守る彼女もまた笑っていました。



本当はもっと早く軍服を着ることを私は望んでた

だけど、水澤さんの意に背くことは出来なくて我慢してた


私は最初から軍服を着る覚悟は出来てた貴方と同じ

この服を。




そして軍隊に入ったことというより召集という形たけど後悔はしてない。


ただ私が思ってた軍隊って、とっても厳しくて厳格で笑える場面なんてないって思ってた



だけど違ってた


15中隊は、ひと度戦場に出れば敵を圧倒し武威を振るう武闘派集団で笑える場面なんてないかも知れないと思ってたけれど、意外にアットホームで良い人ばかり


そんな恵まれた環境に居れて、そして其処には水澤さんが居て

私は戦場の本当の厳しさを知らずに変な安心をしていました。





THE LAST STORY>RELOAD<


第13話 MALICE MIZER へと






ーーつづくーー


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