>Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ③
深く沈んでゆく理念の底
灯りが消える
この空に手を延べて支えなどしない雲に流されて
翠水の雫 四つの葉の上に堕ちて
映し出すアナタの面影を追う
幸せなど願うワタシをアナタは笑うけれど
探し当てた小さな幸せの Four-leaf clover
掻き消された理想の咲く 想い出の中で
笑うアナタを..忘れないまま
アナタの為に探し当てた小さな幸せの Four-leaf clover
ワタシはアナタの幸せを願うけど
アナタは誰の幸せを願うの?
風と舞う 羽をひろげ 鳥と戯れ
明日の空は雲も晴れるでしょう
アナタの笑顔に似た幸せ
いつだってそう...其所に在るから。
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ③
第三話 Four-leaf clover
予期せぬ襲撃と、私の運命を左右して行くであろう人物達との出逢い
あの襲撃事件以降は
日本陸軍参謀総長第1秘書官
西野詩音特務少佐と同陸軍第15中隊医務隊所属
稲葉華凛軍医少尉らの率いる部隊に守られながら
山ひとつ向こうを抜けた場所にある
オートキャンプ場のような場所に私達は居た。
そして最後の最後まで、私と森下さんの為に抵抗し続けた彼は医務隊のバンガローの方にて手当てを受けていた
互いに名を知らぬまま数日が過ぎ
医務隊のバンガローから彼が姿を現した日
私も森下さんも御礼を言う為に彼に話かけた
私達を助ける為に酷く殴りあい傷を負い肋骨を骨折する程の怪我を負ったにも関わらず彼は笑って
こう言った『二人が無事ならそれで充分です..それに
俺が勝手に怪我して骨折しただけだから"俺の事"など気にしないでください』
そう言って彼は再びバンガローの中へ戻ろうとした時
せめて名前を教えて欲しいと言う...そんな私達の声など聞こえていないように
彼はバンガローの中へと姿を消した。
陽光が照らす金糸の髪が印象的な彼の名を知る人物は西野秘書官や稲葉軍医ら限られた人達
せめて名前だけでも..そんな使い古された台詞
だけれど何故でしょうか?人はそんな時、やっぱり相手の名を知りたくなるのです
 ̄ ̄>ROSE <__
私達に彼の名を教えてくれたのは西野秘書官だった
その時、彼女は不思議なことを口にした。
『薔薇一輪の花言葉はね
一目惚れ、または、 親愛を意味してるって知ってた?』
そんなことより、私達が知りたいのは彼の名前です...
『まあまあ、焦らずに知ってる?知らない?』
花言葉なんて考えたことなんてなかったし、気にもしたこともなかった
『知らないのね
まあ、良いでしょう..いずれにせよ知ることになるんだし
あの彼の名は...』
私達が彼の名を知った時、私の脳裏に同じ名が浮かんだ
" 水澤健一 "
同姓同名の別人...それとも...
『ねぇ安莉ちゃん
もし、同じ人なら..自分で名乗るだろうし、自分のことを気にしないでなんて言わないんじゃない?』
確かにそうかも知れない
だけれど気になるというか、引っかかることがある
何故?西野秘書官は薔薇の花言葉の話をしたのか?
小さな薔薇のモジュールのネックレス
それは、初めてもらった手紙と共に私の元に届いたモノ
『そう...確かに..そうかも..』
言葉を繋ぐことを邪魔するかのように涙が堰を切ったように溢れ出す
『どうしたの安莉ちゃん..大丈夫?』
あのネックレスに込められた想い...
それは...花言葉とは別なモノ
それを私は知っていた。
 ̄ ̄>小さな幸せ<__
幼い頃に読んだ物語の、一節に
今は小さな華に読みかけのstory 続きは誰の為に咲くのでしょう
語り部を失くしたFour-leaf clover 翠水の雫の中の未来
咲き誇るのは...笑顔のアナタ
幸せはいつだってそう...泥だらけ
踏みつけにされて
誰ともなく気にもせず
忘れ去られて行く
だから、よく見て歩まなければならない
小さな小さな四つ葉のクローバーを見つける時
みんな、しっかりひとつひとつ見るじゃない
ただ"其所に在る"だけのモノ
それは確かに存在していて私達は必ず認識出来るはず...
 ̄ ̄>Four-leaf clover<__
そんな題名だったはず
大切なモノは手放しちゃいけないんだって
幼いながらに思った記憶がある
私の持つ彼からの手紙、そして薔薇のネックレス
一生涯、忘れちゃいけない大切な想い
見て見ぬふりなんてしちゃいけない
大事にしなきゃ、自分を、そして他人も
私達を心から応援してくれてた人が
あのバンガローの中に居る。
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story
第四話 月 虹 へ つづく。
※この物語はフィクションです。登場する人物、団体は実際の人物、団体とは何ら関係ありません。
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"君が君で居てくれたから今僕は君に会えた"
過去のどんな行いも今の君を作った要素であり大切なもの 今の君があるのはそれがあったから
全てを受け止める強さより乗り越える強さだよ。
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story
_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄
 ̄petit burial_
それが誰だろうが
他人だろうが何だろうが関係なく
人間対人間として向き合って
受け入れてくれているだけで俺の存在価値が見えてくる気がしていた
透き通った透明な俺に色や形を与えてくれていた
だけど、もう何も誰もいない。
THE LAST STORY ....