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THE LAST STORY>RELOAD< ⑪ 後編

挿絵(By みてみん)



THE LAST STORY>RELOAD<


第11話 栄州(ヨンジュ)の奇跡 後編



ーー栄州(ヨンジュ)の奇跡ーー




栄州近郊に潜伏中の15中隊

そして栄州から居なくなったと思い込み栄州に向かうパクムラン隊


栄州警備を引き継いだ田中大隊は栄州市内に見張り番を配置し

本隊を栄州の女子校に駐留させていた。



その日の夕刻にパクムラン隊が田中大隊に襲いかかる


小心者が服を着て歩いているような田中大隊長はパクムラン来襲に狼狽(ろうばい)し部隊を急速に大邱方面へと後退させる

田中の行動はいつものことと部隊員も思っているが...


今回の田中の行動は部隊の存続に関わる問題行動になる


何故問題行動になると言うのかと言うと

田中は大邱を進発するの前に中川夏巳(なかがわかつみ)総司令に部下の労いの為に慰問団を栄州に同行させる許可を求め

中川は自身の上官にあたる岡村田に相談し岡村田はその申し入れに許可を出し


中川から田中へ慰問団の同行の許可が出されいた。


岡村田は、ここで半島派遣軍が不祥事を起こせば派遣軍の軍権が自身の手に転がり込んで来ると考えていた。


慰問団の同行にあたり、岡村田は口頭のみの許可で証拠が残らないよう通信記録を抹消し総司令の中川の独断で慰問団を同行させたように見せかけた。




>>>>


栄州に慰問団が居ることを知らない15中隊は田中大隊がメーデーを発信したと同時に栄州に急行し

パクムラン隊を撃滅する作戦に突入する


佐脇隊長補佐の打撃部隊と藤井副長補佐のライフル隊が両サイドに別れ栄州の北側に向かいパクムラン隊の退路を遮断


15本隊は栄州市内へ突入


榊分隊は隊長の命を受けて再び遊撃隊となり市内中心部へと突入

その遊撃隊を伊藤が率いる第2小隊が援護に回る



田中は数人の側近ととも栄州から逃げ去り

大隊所属の大隊砲撃部隊に命令を出し

前衛弾幕を張りパクムラン隊の追撃阻止の為に後衛弾幕をも張り


15通信隊、衛生隊は栄州近郊に潜伏していた位置にあり戦闘部隊のみ栄州に突入

田中大隊の弾幕の中に15の戦闘部隊が取り残される形になった。



『田中のアホが!弾幕張り散らかして逃げてんじゃねぇ!』


「こちら佐脇、田中大隊に砲撃をやめるように通告しろ!!」


「こちら通信主任小山、了解した!直ぐに砲撃をやめるように通告する。」



15中隊からの砲撃中止を求める通告を田中は無視した。

このまま15ごと砲撃し慰問団を巻き添えにし証拠を隠蔽しようと黙殺


いつまでたっても砲撃が止まないことに怒りを覚えた梶原隊長は自身が直接田中大隊に通告をする


田中はそれをも無視し砲撃を続けさせる


「15の梶原だ!即刻砲撃を中止しろ!私の部下が栄州に居る!!貴様は私の部下を殺すつもりか!」


田中は「パクムランを討つ為には多少の犠牲は仕方ない。」そう梶原隊長に言い


「多少の犠牲だと!300名からなる我が隊の命がかかっている!即時砲撃を停止せよ!さもなくば我々15中隊は田中大隊を撃滅する!!」


「上位部隊の大隊に中隊ふぜいが何を言うか!ここ栄州の指揮権は私にある!邪魔をするな!」


「邪魔だと!メーデーを発信しておきながら、その言いぐさは許さぬぞ!!」


『梶原隊長、田中と話しても無駄です、直接司令部に伝達し砲撃中止命令を出してもらう方が早いでしょう。』



「こちら15中隊より、大邱司令部へ、栄州にて田中大隊の無差別砲撃により我が隊が攻撃を受けている

即時砲撃中止を田中大隊へ通告されたし」


「こちら司令部、了解した田中大隊へ砲撃中止を命じる。」



これで隊が助かると梶原は思った


だがしかし、砲撃は止まない所が激しさを増す


司令部からの砲撃中止命令を中川が差し止め田中大隊に通告されてはいなかった

中川も田中同様に証拠の隠蔽を図っていたのだ。


15の危機が参謀総長の元に伝わる

山口喜久(やまぐちよしひさ)参謀総長は参謀部の名で田中大隊に砲撃中止を命令する


田中はそれをも無視し栄州砲撃を続ける





>>>>>>


その頃、水澤は砲撃がだんだんと市内中心へ向かって来ていることを不審に思い


田中大隊が営舎代わりにしていた女子校方面へ近づいて行く


幸か不幸か敵は田中大隊の弾幕に巻き込まれ市内中心部へと突入して来てはいなかったが



水澤達が目の当たりにした光景は田中への怒りが爆発する充分な理由を与え

田中が砲撃をやめない理由を理解することが容易に出来た。


田中は参謀部、統合部の禁を犯し、その証拠となる彼女らを葬り

その目撃者の15中隊をも地上から抹殺しようとしている。


『なんで、芸能人が此処に。』


『田中のバカが砲撃をやめない理由だろ。』


『大邱だけが訪問範囲のはずッスよね?』


『その範囲外に田中の独断、もしくは司令長官が絡んでいるとしたら。』


『砲撃をやめない理由...』


『俺達ごと闇に葬るつもりか!!』


『作戦変更、ここはまだ砲撃の範囲外だ、俺達の装甲車じゃあの人数は乗せられない。』


『乗せられたとしても、砲撃が止まないことには...』


「こちら水澤、小山主任、直接参謀部に通信を繋いでくれ」


「こちら通信主任小山、了解した回線を参謀部に繋ぐ」


ジーガガー


「こちら参謀部、第1秘書官の西野です。」


「詩音さん、田中の野郎がやらかしやがった。」


「砲撃の件なら山口閣下が直接中止命令を出したわよ。」


「まだ砲撃は続いてる。」


無線機を音のなる方に向ける

水澤の無線を通して砲撃音が詩音の耳に聞こえる


「なんで?砲撃が続いてるの参謀部の命令を無視したってこと。」


「信じられないことかも知れないが、田中のアホはここ栄州に芸能人を呼んでた。」


「...まさか..。」


「そのまさかだよ。詩音さん大邱警備隊に芸能人が居なくなったことを伝えて、何人いないのかを教えて欲しい。」


「わかったわ。」


「あと、ブラックホークと兵員輸送ヘリを栄州に派遣して欲しい。」


「空から救出するつもりなのね。」


「地上からじゃ田中のアホが砲撃を止めなかった場合殺られるのがオチだからな。ブラックホークで田中の砲撃隊に砲撃中止を通告しながら威嚇射撃を行って砲撃を止めさせ

兵員輸送ヘリを栄州の女子校の校庭に着陸させ

そのヘリで芸能人を脱出させる。」


「砲撃が止まないままの場合は強行着陸させるしかないわね。」


「安全の保障を確保するなら、もう1つ。」


「大邱航空隊を出撃させるってことね。」


「さすが詩音さん、話が早くていい。とにかく急いでお願いする。」


「了解したわ。」


『榊と三上は装甲車を校庭に、男前三人衆の川中、黒木、森村は校内に取り残されている芸能人の身柄の確保を、杉本と沢田は俺と共に学校内に敵を寄せ付けないように散開し警備』


『了解!!』



「こちら伊藤です。僕らも手伝います。」


「盗み聞きしてたのか?」


「いえ、西野秘書官より水澤さん達の援護を頼まれただけです。まあ、頼まれなくてもお手伝いしますがね。」


「お前らしいよ。なら、女子校を中心に円形防御を張り弾幕を抜けて来る敵の排除を頼む。」


「了解いたしました。」





>>>>>


大邱航空隊が参謀部の命令を受けて出撃を開始


ブラックホーク、兵員輸送の大型ヘリ、そしてホークアイ高速攻撃ヘリとF16J改が離陸し栄州へと飛び立つ



大邱警備隊は芸能人の宿泊施設内に入り不明者の把握にあたり

大場警備主任から参謀部へ、参謀部から水澤へと不明者の人数が伝わる


水澤から川中、黒木、森村に人数が伝えられ

川中達は大邱からの情報通りの人数が校内に居ることを確認を開始


「こちら川中ッス!二人足りません!」


「二人居ないのか?」


「人数が二人合わないんッス!」


「わかった!陽二達は今居る芸能人の安全確保にあたれ!残りは俺達が探す!」


「了解!!」



「みんな聞いた通り、二人居ない、なんとしても探し出して救出しろ!」


「了解!!」


川中の報告を受け水澤達は女子校を中心に捜索にあたる



そんな遠くに行くわけはないはず、どこか近くで身を潜め隠れてるはずだと水澤は思い


学校の近くのガランとした店舗や民家の中を捜索する


「こちら川中ッス、行方不明の二人の名前がわかりました。今村美桜(いまむらみお)中条(なかじょう)あやなです!」


「了解した。」


今村美桜?なんか聞いたことあるような。中条あやなは知らんけど

こんなことなら、もう少しテレビぐらい観とけば良かったなどと思いながら水澤はおもいっきり二人の名前を叫び

反応をがかえって来ないかを確かめる


ガタと音が水澤の右斜め後ろからする


音のなった方に水澤は走り


サッと身を隠す誰かを見つけ再び名前を呼び音のなった建物に入って行く


水澤の目に身を寄せあい震えている今村と中条が映る


『第15中隊の者です。お二人を探していました。さあ早くこちらに。』


水澤は二人に向かって手を伸ばす


『あなたは軍人さん?』黒い服に金髪の水澤を見て今村美桜が聞く


『15中隊の兵士です。』


この人、確か...ナインスと居た人。中条あやなと今村美桜は劇場でのことを思い出していた。


『さあ早く此処から出て学校に戻ってください。救出用のヘリがこちらに向かってます。』


とにかく悪い人じゃなさそうと感じた二人は水澤のが伸ばした手を握り立ち上がり


水澤の後ろを付いて行く


「こちら軍曹、学校にいる曹長殿へ行方不明の二名を保護した。今からそちらに連れて行く。」


「軍曹...あ、そうか名前は名乗れない決まりだったッスね...」


「まさか名乗ったのか?」


「場を和まそうとつい...すんません。。。」


「まあ、名乗っちまったモンは仕方ねぇけど気をつけろよ!隊長殿に怒られんぞ!」


「...了解ッス」





水澤は今村、中条を川中達に預け再び警備行動に出て行く


川中達は全ての人数がそろったことを報告し、ヘリの到着まで芸能人達を校内に待たせ自身らも待機する





大邱航空隊の高速攻撃ヘリが田中大隊の砲撃隊上空に到達し拡声器で参謀部からの砲撃中止命令をと栄州に芸能人がいること流す


芸能人が取り残されていることを知らされてなかった砲撃隊は順次砲撃を停止してゆく


ヘリの拡声器からの情報を耳にした田中は偽報だと言って砲撃隊に砲撃再開を命令する


砲撃隊員は迷い砲撃することを躊躇する

業を煮やした田中は自身が直接砲撃隊の元に行き再度命令を下す


田中の命令に砲撃を再開しようとした砲撃隊に向かって模擬弾を撃ち込み威嚇し再度、参謀部の命令を流す



砲撃を再開した場合、次は実弾を発射し砲を破壊すると警告し砲撃隊の近くに実弾を数発撃ち込み


この威嚇射撃に本気で破壊しに来ると判断した砲撃隊員は砲の解体を始める


その様子を見た田中は激怒し砲撃隊に砲撃することを強い口調で命令し命令に従わない場合は軍法会議にかけると脅す。


田中の近くに実弾が着弾し田中は驚き腰を抜かし地面に尻餅をつく。


その無様な様子を冷ややかな目で砲撃隊員は見て『軍法会議にかけられるのはアンタだ!』と言って砲の解体作業を続ける。





>>>>>>





パタパタパタとヘリのローター音が近づいてくる


川中はグランドに止めた装甲車の上に立ち両手を振り合図を送る




大型の兵員輸送ヘリがゆっくりホバリングしながら降りてくる



グランド中央に着陸し後部ハッチが聞き中から、詩音が出てくる


『こっちよ!急いで!!』


まさかの秘書官様の登場とはと思いながらも、西野秘書官なら有り得ると川中は思い


「秘書官自らお出迎えだ、黒木、森村、芸能人達をヘリに案内を頼む。」


「了解。」


黒木、森村らに付き添われ芸能人達がヘリの方へと向かって歩いてくる



ヘリのローターの風に髪が揺れる



詩音は手招きしヘリに芸能人達を1人1人数えながら乗せ


『間違いなく保護したわ。』


後部ハッチを閉めるボタンを押し、ハッチが閉じて行く


詩音は芸能人達を座席に座らせシートベルトを装着させて『大変申し訳ないことをしてしまいました。』と頭を下げ謝る



芸能人達は助かった安堵感と軍への怒りが胸を行き来する。


ガタガタと揺れヘリは離陸を開始


上昇して大邱方面に機首を向け飛び去って行く




「こちら川中、芸能人のヘリへの収用と離脱を確認。これより戦闘に復帰します。」


「了解、ありがとな川中、黒木、森村。」



「自分らのストロベリートークにメロメロッスよ!」


「いちいち威張るな!」



「何はともあれ戦線に復帰しろ!まだ戦いが終わったわけじゃない。」



「了解!!」


砲撃が止んだことにより作戦行動を再開した15中隊はヘリや戦闘機の航空支援の下でパクムラン隊に壊滅的打撃を与え

パクムランは命からがら本国に逃げ帰った。


そして、栄州にて起きた事件は半島派遣軍にとって痛い出来事だったが、参謀部、統合部は、慰問団中止の口実にこの事件を利用し慰問団派遣を推進した岡村田を弾劾し

作戦部から派遣された中川を解任し栄州に芸能人の派遣の許可とそれを求めた田中大隊長軍法会議にかけることを決定



>>>>


パクムランとの戦闘を終え栄州から大邱へと15中隊は帰還する



いつも通りに隊長の訓示が行われ労いの言葉のあと

栄州における事件は口外しないようにと最後に隊員に告げ解散する。




ムッとした表情で伊藤が水澤の前を通り過ぎて行く


『伊藤ちゃん!どこかお出かけですかい?』


『司令部に行って来ます!』


『無駄だと思うが。』


『一応聞きますが、水澤さんはそれで良いので?』


『良いも悪いもねぇよ、そんなことより考えなきゃならねぇことがあるだろ。』


『理解しかねますが。』


『怒ると理解能力が落ちるのかよ。』


『自分は元々、あなたが思うような人間じゃないので。無駄話はこの辺で失礼させていただきます。』



『伊藤ちゃん!おーい伊藤ちゃんてっば!』


『北見!伊藤のヤツを追いかけろ!!』


『アイツは俺より熱い直情型だから止めてこい!』


『直情型?』


『ようするにキレやすいってこと!』


『とにかく急いで追いかけて止めてこい!』





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ダンッと扉を蹴破り伊藤は部屋の中に入って行く




『中川さん、あなたが何をしたかわかってらっしゃいますよね?』



ヒューンと空を切り裂く音



中川の首元に刃が突き付けられる



『ぶ...無礼者...』


『そんなの最初から覚悟の上ですよ!』


ピッと中川の頬を切っ先で傷つける


『...誰か!この無礼者をここからつまみ出せ!』



『出ていかねばならんのはキミの方だろう。』


『さ..さ...ささ参謀総長閣下!!』


『この紙は?』と第2秘書官の永嶺優華(ながみねゆうか)が中川に聞く


『私は半島派遣軍の面目の為に岡村田閣下..いや、自分の判断で...』


『もう遅いけど?』と永嶺の後ろに隠れていた奈月(なつき)ありすが録音機をフリフリして見せる。


『..きっ..貴様...。』


『私?えっと参謀部付け秘書官の奈月です。』



『奈月ありす。。。』



『まあ、自己紹介はいらなかったかな。』


『この紙となっちゃんが録音した音声は証拠として軍法会議に提出させていただきます。』



『奈月ありす、我々を裏切る気か?』


『何を勘違いしてんの?なっちゃんは最初から私達参謀部の仲間ですが。』



『ま、そう言うことで。失礼。』と奈月ありすは言い紙を一枚つまみ部屋をあとにする。



『中川!貴官が少しでも罪を軽いモノにしたいのなら、岡村田に何を言われ、岡村田が何を企んでいるのかを軍法会議にて話すがよい。』



『とりあえず、身柄は拘束させてもらいます。』



大邱警備隊に手錠をかけられ中川は大邱警備隊の独房へ入れられる


そして田中大隊長も階級剥奪を受け独房に留置



前代未聞の不祥事である栄州での出来事は

後々、栄州の奇跡と呼ばれることになる


何故、そう呼ばれることになるのかは、もしも、15中隊が伊藤勇二の作戦を行わなかった場合

確実に芸能人達は敵、もしくは味方の砲撃により帰らぬ人になっていたかも知れない。


偶然か必然か、栄州にて15中隊によるパクムラン撃滅作戦が行われ

彼女ら芸能人は急死に一生を得たのだった。


>>>>>


大邱15中隊営舎で伊藤の帰りをナインスのサヤ、ナユン、ツユと遊びながら水澤は待っていた。


『なんや今日はあんまり嬉しそうやないなぁ?』


水澤の顔がいつもとどことなく違うことにサヤは気づき聞く


『そうか?』


『そやで。』


『そやで。』


『やろ?ツユ、ナユンオンニ。』


『少し疲れてんのかもな、連戦続きだったし悪い。』


『疲れてんなら無理に私達の相手しぃひんでもええで。』



『水澤軍曹殿。』


『なっちゃんか。』


奈月ありすは水澤の耳元で司令部でのことを囁くように言い水澤に紙を渡す


水澤はその紙を見て『やはり...』そう言ってポケットに紙をしまい


『サヤ、ツユ、ナユン!今日は込み入った話もありそうだから今夜は(はな)ちゃん(稲葉華凜軍医のこと)達と遊んでおいで。』



無理に邪魔してはいけないと思った三人は『うん。』と返事をして営舎内へ入って行く


『すっかりお兄ちゃんしてますね。』


『オッパ(兄さん)呼ばわりされてるしな。』


オッパ(兄さん)とは親愛を込めて呼ばれる韓民族の風習のようなモノだ

ナユン、ツユ、サヤは水澤のことを本当の兄のように慕っている。



『とはいえ、伊藤め!むやみやたらに抜刀してんじゃねぇよ。』


『総長閣下が来なかったら始末してたかも。』


『事柄がそれに値するとはいえ、抜刀し斬り殺したら仲間殺しの汚名と同士討ちを禁止する軍法に背くことになる。そうなれば理由はともかく伊藤が軍法会議にかけられ営倉行きになるだけだろ。』



『伊藤さんは、そんなにバカじゃないのでは?』


『バカじゃなかったら抜刀するわけねぇだろ?』


『それもそうね。』


芸能人や15中隊を始末して証拠隠滅が出来なかった中川は岡村田の意を受け


この事件の隠蔽工作を計り

この紙にサインを求めていた。


この紙には〝栄州での出来事を口外し外部に漏らした場合、それ相応の処置を軍は行う〟と記されている


岡村田の言う、それ相応の処置は〝しゃべったら殺す〟ということを含めた内容だと理解した水澤

同じように考えた伊藤が抜刀した理由でもある。



そして、栄州事件をきっかけに運命の意図は再び彼女らを半島に結びつけて行くことになるのだった。




THE LAST STORY>RELOAD<


第12話 Destiny へと



ーーつづくーー



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