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THE LAST STORY>RELOAD< ④


作戦開始前にソウル市に潜伏していた水澤達だったが

突然のミサイル攻撃により

一時後退し市街地の外れまで来た時、敵襲を受け応戦しながら後退する

だが、敵軍の防御に阻まれ進むも退くことも出来なくなり

ジリジリと追い込まれ、弾薬も尽き始める


そんな中、水澤は1人で敵中に突入



残された伊藤達は隊長補佐の佐脇、そしてソウルの急報を聞き駆けつけた詩音と無線で連絡を取り


辺りの銃声が聞こえなくなったことで伊藤は(いま)だ戻らない水澤が戦死したと思い

詩音らに後事を頼み、伊藤、そして榊達は最期の戦いに挑もうとしていた。


挿絵(By みてみん)


THE LAST STORY>RELOAD<


第4話 決死の脱出。






伊藤は『皆さん!良いですか!1人でも多くの北韓軍を道連れにしてやりましょう!』と激を飛ばす


榊は『銃弾が無くても、俺の拳が銃弾より強いってことを北韓野郎に教えてやるゼ!』と言って立ち上がる

それに呼応するように

黒木は『俺は敵に背を向けて倒れる主義じゃねぇんだよ!死ぬときゃぜってぇ敵の前に立ちはだかって倒れずに立ち往生してやる!』と言って銃に着剣する


『そういうのは趣味じゃねぇんだがな、仕方なねぇ殺って殺って殺りまくってやられてやらぁ!』三上も着剣しながら言い


『俺は...』と杉本が発言しようとした瞬間




ガシャゴトッと何かが包まれたモノが飛んでくる







『あ!あそこ!』と川中が叫ぶ


『水澤さん!!』榊が水澤の姿を見て叫ぶ


『声がでけぇわアホ!位置がバレたらヤバいだろ!

とにかく、中身出して準備しろ!

あと少し狩りとって来てやる!』


何処からか剥ぎとって来たカーテンの布の中に武器弾薬が包まれている


水澤の帰還に


「こちら伊藤です!前言を撤回させていただきます!」


『伊藤ちゃん?誰と話してんの?』


『西野秘書官です!』


『ちょっと代わってくれ!』


「こちら水澤、詩音さんに頼みがある」


「水澤君、無事だったのね?」


「無事じゃあなかったら話してねぇだろ!それより頼みがある!」


「何?言ってごらんなさい」詩音は涙を堪えながら水澤に聞く


「大邱航空隊に出撃命令を出して欲しい」


「でも、出撃は出来ても援護するには弾薬が足りな過ぎるわ」


「んなことはどうでもいいんだよ、空を飛んで威嚇してくれりゃ充分だ!

奴らは空からの攻撃には弱い威嚇射撃なり、空砲でも充分効果がある」


「それでも貴方達の弾薬が」


「敵から奪ったから充分やれる!」


水澤が投げて寄越したのは、敵の腕ごと切り落とした銃や腰につけてただろう弾薬だった


「とにかく、急いで出撃命令を頼む!」


「わかったわ!直ぐ出撃させる!」


『よし!邪魔な腕は抜かしとけよ?航空機が飛来したら俺の後に続け!必ず生きて戻らせてやる!』



「こちら佐脇、何処に待機して待てば良い?」


「南南東の一番敵の包囲厚い場所から2~3キロ離れて待機して待っててください」


「敵の最薄じゃあねぇところに突っ込む気か?」


「どのみち空に航空機が来りゃ奴らは勝手に道を開けてくれる」


「で、最薄になり抜けて来るか?」


「最薄でも、ぶち抜いたら最も厚い場所を抜かれたことになるだろう?」


「この負けず嫌いが!」


「15に勝ったなんざ言われたら隊長の顔に傷がつく」


「はいよ!そう梶さんに伝えとくよ!」


「じゃあ、後程」


「水澤!気をつけて戻ってこいよ!待ってるからな!」


「了解!隊長補佐殿!」


『よし!あとは、お空に大邱(テグ)航空隊が来たら、一気に突っ込み、敵陣をぶち抜いて帰るぞ!』



『了解!!』と声を揃えて返答する


『だから、声がでけぇんだよ!』と水澤は言って笑い

『もうちょい狩りとって来る!待ってろ!』と言って再び敵の方へと突入して行く


そして、再び水澤は戻って来て、先ほどと同じように布袋を投げてよこす


『クソ、刀が(さや)に収まんねぇ!』

詩音や三崎、稲葉に習った剣術を駆使して

敵の腕ごと切り落としたり、敵を切り倒し続けた刀の刀身が歪んでいる


水澤自身も敵の返り血を浴びていて金糸の髪が血で濡れ赤茶色のようになり

滴る血が顔を伝っている


どこか怪我は?と伊藤が聞くと水澤は敵の血ばかりで自身は無事だと言う





ゴォーと重低音が頭上に響き出す


『来てくれたようだな』


そう言って空を見上げる


ゴォーと空を切り裂く音が近づき



キラキラと銀翼に日の丸を着けた戦闘機がデルタ状に編隊を組み


タンッタンッタンッと甲高い音を立て、かき集めて来たと思われる機関砲弾を地上に撃ち込む



包囲している北韓軍の防衛網に隙が出来る



その瞬間を見逃さずに『今だ!行くぞ!』


タッタッタッタッと北韓軍から奪ったAKライフルを乱射しながら


水澤達は敵の防衛を突破して行く



水澤の指示で待機していた佐脇、藤井両隊の装甲車の機関銃が突破してくる水澤達の援護をする


水澤は『見えたぞ!』味方の装甲車を見つけ叫ぶ

『こっちだ!早く乗れ!』と佐脇が上部の機関銃を敵に撃ち放ちながら水澤達に叫ぶ


藤井は装甲車の影から99式を撃ち込み援護し続ける


水澤達は同士討ちにならないように北韓軍の包囲を突破したと同時に武器を投げ捨て全員で走り込む


そして、装甲車の後部ハッチが開き飛び込むように乗り込み

『これより退避する!』と藤井が言ってハッチを締め


敵の追撃を逃れる為に装甲車は水澤達を収用して離脱行動に入る

佐脇は上部から機関銃を撃ち続け敵の追撃をかわそうとガンガン撃ちまくり


追いすがる敵兵がバタバタと倒れていく


そして、敵の自走砲の砲弾がドッゴォーン!と至近弾が炸裂する

佐脇は上部から機関銃を撃ちながら『いい加減!しつけぇんだよ!!』と言って機関銃を乱射し続ける



ドッカーンッ!!と更に大きな音


自分達の脱出の為に飛来した大邱航空隊の一機が敵の自走砲に体当たりして吹き飛ばした


挿絵(By みてみん)


『何もそこまでする必要ねぇのに...』佐脇は眼前で敵を巻き込み自爆し炎を上げて燃えている方に敬礼して

『全速離脱!!航空隊員の死を無駄にするな!』と叫ぶ


『撃墜されたのか?』


『違うよ、自走砲に体当たりして吹き飛ばしてくれたのさ』


『パラシュートは?』


『脱出せずに突っ込んだ...』


『そんなつもりで呼んだわけじゃねぇのに...』


『戦争だからな、仕方ないさ、あの航空隊員が身を呈して助けてくれたことを忘れんじゃねぇぞ。』


『言われなくても...』


それ以上、言葉にならない想いが水澤の胸を締め付ける


『いつか、お前が言ってたらしいな?せっかく拾った命だから無駄にすんなってよ』


『...ああ。』


『今のが、それだろ?俺達は生かされたんだからな、しっかり落とし前つけねぇと奴は無駄死になっちまう』


『言われなくても...わかってんよ』





こうして全滅の危機を脱出し、水澤達は15中隊本隊に到着した。



水澤達の帰還を知って詩音が水澤達の所に走ってくる


『みんな無事?』


『見ての通りだよ』


詩音は返り血を浴びた水澤の顔をハンカチで拭い

『よく無事で、本当に良かった。』と言って涙を流す


『参謀総長の名代様の姿じゃねぇぞ!まったく、やっは女の子だな。』


『女の子っていう歳じゃないわよ。もう、本当に心配したんだから、あなたが死んだって聞いて』


『死んだ?誰がそんなこと言ったんだ?』


そう言いながら伊藤の方を見る


『いや、その、ねぇ..北見くん』


『自分にふらんでくださいよ』



『お前ら?勝手に人を死なすんじゃねぇ!』


ポカ、ポカと伊藤と北見を小突き


『僕らだけじゃなく、他の皆さんだって死んだと..』


『てめぇらもか!ふざけんなよ!!』


いや違う違うと榊達は言って逃げ出す


『まあ、ユシンに言ってやるべきかもな。』


『ユシンに?』


『俺達を殺せなかったろ?ざまぁみろだ!ってな。』


パカンと水澤の後頭部を佐脇は叩き


『航空隊員のおかげだろうが!』と真剣な顔でいう


『確かに、違いねぇや。』


脱出中に体当たりして助けてくれたことを詩音らに話し


『そう』と詩音は空を見上げ呟くように言った。


その日水澤達は見事に起死回生の脱出劇をやってのけ

そして、帰路に着く一機欠けた航空隊を見送った。






詩音と共に前線に来ていた山口参謀総長は詩音達の話しが、ひととおり終えたのを見計らい


『西野くん、水澤くんというのは、彼かね?』


水澤を見て言う


『そうです。』


山口参謀総長は水澤に近づき『キミが本作戦の発案者か...』


バキッと鈍い音の後、参謀総長の山口は尻餅をつき地面に倒れる


『水澤くん、やめなさい』と詩音が言うのも聞かず


『あんたが逃げ総長か?女をおいて逃げといて、どのツラさげて来やがった!

詩音さんが、どんだけ苦労したか?あんたに解るか?』


胸ぐらをつかみ睨み付ける



『ちょっとアンタ!総長閣下に何てことを!軍法会議にかけられたいわけ?』同伴して来ていた永嶺秘書官が参謀総長の傍に立ち言う


『かまわない。』と山口参謀総長は言い

『確かに私は、西野秘書官を残し渡米した。その間に西野くんや月島くんが、どれ程の苦労を重ねて来たかと思うと、私は胸が痛む。』


『痛む?そんな安い言葉で済むと思ってんじゃねぇぞ!』


山口参謀総長の胸ぐらを掴んだ手を離し


バキッゴツっと殴り倒し、また胸ぐらを掴んで『アメ公が助ける約束でも取り付けて来たか?それとも武器買わされた商人総長か?言ってみろ!』


たまらず止めに入ろうとする詩音と永嶺秘書官に『かまわないと言っただろう!』と山口参謀総長は言い『キミの言った通り、アメリカから武器弾薬を買い戻って来た

そして、方々に手を尽くしたが...』


『アメ公は参戦しねぇんだろ?』


『その通りだ、ヘイデン大統領を動かすことも、国連を動かすことも出来なかった...すまない。』


『んなことは、アメ公が報復攻撃に出なかった時点で解りきったことだろうが!バカか?あんた?』



『商人総長か...私に似合う言葉かも知れんな...キミの怒りも気持ちも受け入れよう。』



自身は参謀総長であり無礼だと言うかと思ってたが

反論すらせずに受け入れるとはなと水澤は思い


山口参謀総長の胸ぐらから手を離し

『さすがは、詩音さんの上官殿だな...』そう言って水澤は、その場に正座し

『大変な無礼をいたしました。そして、本作戦におけるソウル攻略の失敗の責任は自分にあります

先ほどの無礼と失敗の処分は謹んで受け入れます

ですが、その前に、2つやらなければならないことがありますので、処分はその後にお願い申し上げます。』そう言って水澤は頭を下げる

正座してた為、土下座のような格好になっていた。


『総長閣下!作戦の承認をし命令を出したのは私です!水澤くんには何の責任も...』


『詩音さん!俺は女に自分の尻拭いさせるつもりはねぇよ

それに総長閣下を殴っちまったしな処分は全て自分が受けるよ。』


『西野くん、水澤くん両名を罰する気はない。』



『総長閣下!殴られたことをお忘れで!それに言葉使いも失礼にも程があります!西野秘書官はともかく水澤とか言う人は軍法会議にかけるべきです!』


『日本を取り戻した人物を罰すれば、私は本当に天下の笑い者にされてしまう

彼や彼らが死力を尽くして奪い返した功績は、このような事で消えはせんよ。』

山口参謀総長は水澤に立つよう促し

『西野秘書官、良い人物を見出だしてくれた、私は、そのような人物に巡り会えて嬉しく思う。』

山口参謀総長は、そう言って、にっこりと笑い

『処分はせんが、やらなければならないこととは何かね?』と水澤に聞く


『先ずは、ソンジェとやらを叩き潰しに、そして、本作戦の失敗をバカ村田に利用させるわけにはいかないので、北韓軍が反攻を開始する前にもう一度反撃体制を整えておく必要があります。』


『ソンジェを叩き潰すとは、南韓とも戦争するということか?』


『言葉選びを間違いました。ソンジェのヤツに言ってやりたい事がありますので文句という名の戦争を仕掛けます』


『ソンジェには、私も言わなければならない事がある』


『約定を守ると言いながら逃げるなんて最低な人物ですね!』


『前も言ったけど、ソンジェはユシンが怖くて軍服を脱いで逃げ回った人物よ』


はぁ?軍服脱いで逃げ回っただって?と榊達が笑う


『ソンジェには、自分から話しておきますので、総長閣下は秘書官殿と、ソチラの方と共に大邱にお戻り下さい。』


『そちらって..(わたくし)司令部付け専任将校の桜井満理奈(さくらいまりな)と申します!以後、お見知りおきをお願いします!』


『桜井さんね、了解しました。

では、総長閣下、先を急ぎますので』


『うむ。キミに任せよう。だが、困ったことがあったら私か西野、永嶺に言うと良い

出来る限りのことはやるつもりだ。

あと、大邱防衛についてだが、どのような作戦を考えているのか?』


『大邱の防衛の話は伊藤くんから聞いておいてください時間がかかりますので』


『水澤くん、私は貴方に同行するわよ』


『詩音さんも、大邱に帰って大丈夫だよ』


『バカね、私みたいに南韓に顔が利く人間がいないとソンジェのことだから貴方を相手にもしないわよ。』


『相手にしないなら、したくなるように煽るだけだけど?』


『一応、約定の話もあるから、同行します!以上!』


『西野秘書官に命令を出す!』


『はっ!』


『水澤くんに同行しソンジェとの会合を取り成すように。』


『総長閣下!了解いたしました。』


『総長閣下の命令だから仕方ねぇだろ?』と佐脇が言う


『あー、はいはい!わかりましたよっと!

つか、ソンジェは今、何処に居る?』


大田(テジョン)よ』


『はぁ?んな遠くまで逃げやがったのかよ?』


チッと舌打ちして『梶原隊長、少しの間、榊分隊を借りますよん、もちろん分隊長込みで』



『了解した。気をつけて行けよ。』


『了解!隊長殿!』


『伊藤ちゃんは、中隊本隊と共に大邱方面で要所の抑えと総長閣下の護衛を宜しく』


『自分は除け者ですか?』


『人を勝手に死んだ事にした罰だよ』


『だったら分隊の方々だって』


『うるさい!兎に角、行け!もたついてバカ村田に付け入られたら、ぶっ飛ばすからな!あと、総長閣下に作戦の詳細の説明を頼む!』


『仕方ないですね。了解しました。』





こうして水澤達は詩音と共に大田に居る

南韓軍司令、ユ・ソンジェに会いに行く。


15中隊は山口参謀総長と永嶺秘書官をそして専任将校の桜井を護衛しながら大邱方面へと向かった。






THE LAST STORY>RELOAD<


第5話 新たな出逢い。



へと



ーーつづくーー



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