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第2話 参謀総長の帰還
大田攻略に乗りだした影平大佐を指揮官として、カン大尉の南韓軍に大田の背後を脅かさせながら優位に戦いを進める
突貫工事で修復した大邱飛行場から、見た目は米国のF22ステルス戦闘機に酷似した20式神州ステルス攻撃戦闘機とF16J強化改良型戦闘機が飛来し制地、制空戦闘に入る
北韓軍は旧式のミグ29と露から寄与されたSu_27で対抗するが、新型と旧式と世代違いの戦闘機では敵うはずはなく
北韓側の航空戦力は程なく排除された。
この日、飛来した航空隊は後に大邱の荒鷲と呼ばれることになる。
航空支援と追随して来た砲撃隊の火力支援の下で猛攻を仕掛け優勢な戦いが続く
それは、ほぼワンサイドゲーム状態で決着を見ることとなった。
大邱から大田の横のラインを先ず最前線ラインとして、大邱へと順次、運ばれて来る兵員、武器弾薬、食糧等が最前線に分配されてゆく
一度は蹂躙され滅亡の危機にあった日本側が、これだけの大量な物資を半島に持ち込めた理由は、山口参謀総長が特殊潜水艦にて、米国から供与された物資を直接、プサンに揚陸させたからだった。
日本のインフラも工業力も破壊的打撃を受けている現状をアメリカの大量生産力を借り半島派遣軍を支えている
因みに、山口参謀総長が特殊潜水艦で日本に向かっている途中で九州での敵を追い払った勝利の報を聞き
行き先を日本からプサンに変更していた。
そして、航空戦力については、破壊を免れた東北地方と北海道から抽出している
新型神州は芦屋航空基地の地下深くに隠されたシェルターに格納されていたモノを敵が去ったあとに地下から引っ張りだして来た機体だ。
神州は純国産のステルス攻撃戦闘機で配備しているのは、生産された5機のみ
その虎の子を日本側は投入したのは北韓だけじゃなく、その後ろに居る存在に自国の力を示す必要があったからだった。
大田方面から北上、いよいよ京城の喉首にあたる水原に半島派遣軍の刃が突き立てられる。
スウォン攻略の前に、水澤は大邱に居る詩音に連絡をとる
『これから俺達はスウォンを攻略し、ソウルを目指す予定だ
だが、南韓軍の本隊を率いるソンジェとか言うヤツの動きが鈍い
スウォン、ソウルと攻略し、ケソンを抜き平壌を抑えるには
南韓軍の全面的な支援が必要不可欠と考えている
詩音さんには、ソンジェの尻を叩いてもらいたい。』
『了解したわ、日韓相互協力協定は今も生きてる条約だから、私からソンジェに協力条約を履行し支援するようきつく言っておくわ』
『宜しく頼みます。それと、スウォン攻略命令は詩音さんの口から下令してくれ』
『私が言わなくても、攻略は作戦に含まれてるじゃない?』
『参謀総長様の名代の詩音さんが下令することが、今後の参謀部の威厳を保つことに繋がるだろ』
『要するに、私に華を持たせたいわけね、わかったわ
ソンジェの尻を叩いてから命令を出しましょう。
それまで、少し休みなさい
ずっと戦い続けて来たでしょう』
『気遣いありがとう。だが、あまりモタモタしてたら、敵に反撃の隙を与える可能性もある、早めにお願いしたい。
この作戦は、知っての通り即戦即決のスピード勝負の作戦だからな』
『わかっているわよ、だけど、どの部隊も連戦続きで疲れてるはずよ
例え士気が高くとも、体は疲れがたまってると思うから、下令あるまで待機を命じます。』
『それは、俺にじゃなく、全半島派遣軍に下令しろよな。』
『相変わらずなんだから。』
『では、スウォン攻略の下令を待ってます。』
『ええ、わかったわ。』
詩音は水澤との交信を終えたあと、すぐに全半島派遣軍に待機命令を出し
南韓軍司令のソンジェとの交渉に入る
詩音の申し出にソンジェはソウルは我が国の首都、我々が動かない訳がないだろうと答え
詩音は協定の履行を強く主張し、条約違反した場合は銃身を南韓に突きつける覚悟があるとまで言い
詩音の強気な発言にソンジェは笑いながら約定は守ると答えた。
ソンジェとの交渉を終え、再び半島派遣軍司令室に戻った詩音の前に椅子に座る
山口参謀総長がいた。
『総長閣下、お早いお戻りで。』
『それは私への嫌味かい?』
『そう聞こえたのなら、そうかも知れません。』
『色々、苦労をかけて、すまなかった。』
『そんなことより、この作戦要項に目を通していただいて宜しいでしょうか?』
そう言って、鞄の中から作戦名レッドストームと書かれた書類を参謀総長に差出す
山口参謀総長は書類を受け取り書類を読み
『西野くんが考えたのか?それとも月島くんか?』
『私でも、月島次官でもありません。』
二人のやり取りを黙って聞いていた第二秘書官の永嶺優華が『じゃあ、誰が?』と不思議そうに聞く
詩音は『その作戦の発案者こそが、北韓から九州を、そして日本を取り返した人間です。』
『影平くんか?』と参謀総長は心当たりのある人物の名をあげる
詩音は首を横にふり『水澤健一くんという民間人です。』
『民間人が作戦を考えたのか?』
『当初は民間人でしたが、今は派遣軍の柱となり、最前線におります。』
当初は民間人という言葉が、引っかかった山口参謀総長は、どういう事なのかを詩音に訪ね
詩音は全てを参謀総長に話す
それを聞いてバンッと机を叩き『おのれ!岡村田が!』と怒り
すぐに岡村田を呼び出せと激昂する
『総長閣下!今は岡村田と問責している場合ではありません!
総長閣下が半島に来られた以上は、臨時の司令官の私は秘書官に戻り
新たな司令官を任命していただかなければなりませんが、今後の作戦も読まれたと思いますので
先ずは、臨時指揮官の影平大佐を正式な指揮官とし、作戦発案者の水澤くんには、それ相応の地位を与え
今後の戦いに臨まなければならないと思います!』
『影平くんを正式な指揮官にするのは良いが、その水澤と言う者に、どのような地位を与えろと?』
『彼は今、15中隊の分隊員として戦っておりますが、階級を持たないままでおります。
彼の功績を考えたなら、尉官クラスの上位または、佐官クラスの地位がふさわしいと思います。』
『それほどの人物か?』
詩音は少し苛立ちながら『その作戦と、この私が全てをかけている人物です!高い地位について当然でしょう!
本来なら自身の功績だったモノを私に譲ってくれたんです!何故だかわかりますか?閣下!』
山口参謀総長は少し思案したあと『参謀部の為か。』と答えた。
詩音は大きく頷き『我々参謀部が岡村田ごときに下に見られぬように、そして参謀部の地位も求心力も上げてくれたんです!』
『その水澤って人にあってみたいわね。』と永嶺秘書官は言い
そのうち紹介すると詩音は答え
『今現在、スウォン攻略の為、各部隊は移動を終え位置について待機しております。
水澤くんは私にスウォン攻略の下令をと望んでおりましたが、総長閣下が戻られましたので、攻略命令は閣下がお出しください。』
『いや、西野くんに任せよう。その水澤くんという人物が望んでおるのだろ?
命令下達!スウォン攻略の下令は西野秘書官が行うよう命ずる。』
『了解いたしました。閣下のお気遣いありがとうございます。』
『このようなこと、何の償いにもならんがな。』
『この際だから、西野秘書官が総長様になったら』
『永嶺秘書官、口を謹みなさい!前任の閣下が指名した参謀総長です!以後、冗談でも同じことは言わないように。』
『すみません失礼いたしました。』
『永嶺秘書官、今後も西野秘書官と共に私を支えてくれよ』
『了解しております閣下。』
『では、スウォン攻略の下令は明後日に致します。彼らは連戦続きで疲れておりますし、ソンジェの動きも気になるので』
『ソンジェと何かあったか?』
『いえ、スウォンはソウルの喉首にあたる都市なのに、ソンジェの本隊はまだ光州に駐留しておりますので』
『ソンジェのこと、北のユシンを恐れてるのかも、最初の大邱戦で、ユシンに嫌と言うほど叩きのめされたって話だし』
『軍服脱いで逃げたのよ』
『そんなのが役に立つのかしら?』
『約定は履行するそうよ』
『日韓相互協力協定か、同盟というには、お粗末な条約だがな。』
『致し方ないでしょう。当時の両国の首脳の仲が冷えてた時に仕方なく双方が妥協して結んだ条約ですから。』
『でも、条約は条約、履行してもらわないと戦争終結には至らないかも知れない。』
スウォンの次の目的地ソウルを狙うのは、南韓国軍の全面的な反撃を促進し、派遣軍の損害を軽微な方向に向けさせ本命を叩き潰す狙いがある
北韓の反攻の芽を摘みとれば、終結の道が見えてくる
ピョンヤンへと続くビクトリーロードの扉を開く布石
将棋で一番弱い歩でも、ひっくり返えれば金になる駒は使いようで、なんとでもなる。
オペレーションレッドストームの表は即戦即決
裏は南韓と北韓の全面戦争に乗じた我が国の勝利
これを成し得ることが、我々の責務
必ず、キムウンジョンに核使用の落とし前をつけさせ
極東地域の安全保障と覇権国家の台頭を防ぐ強い日本の構築
目先だけの勝利ではない、その先を見据えた作戦
九州奪還で習近衛の悪しき企みは頓挫したと見て間違いない。
あとは、この戦いに勝つのみ。
詩音は気を引き締め『明後日、スウォン攻略の命令を出します。それまで、各隊は持ち場にて待機!』と下令した。
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第3話 絶体絶命の危機。
へと
ーつづくー
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