THE LAST STORY>RELOAD< ①
THE LAST STORY>Four-leaf clover<
と
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Storyは、ひとつの物語に統合され
新たなステージに半島編に物語は進みます。
前作同様、御愛顧くださいますようお願い申し上げますm(__)m
霧島防衛陣地から端を発した反攻作戦が開始され北韓軍を追い払い勝利し、九州を日本国を取り戻した水澤達
だが、まだ戦争は終わっていない。
韓半島へ戦いの舞台は移り行く。
Run to the future (未来へ向かって走れ)
覚悟はいいか!野郎共!!
約束もない、保証すらない
そこに在るのは〝自分と言う名のPRIDE〟
THE LAST STORY>RELOAD<
第1話 約束の地へ
ー15中隊 隊長執務室ー
とりあえず処分保留となっている作戦部の岡村田は何としてでも、西野詩音の作戦を邪魔したいと考え
半島への再上陸はプサン一点上陸を主張し
それを聞いた伊藤は少し機嫌悪めな声で
『プサン一点上陸ではなく、プサン、マサン、ポハンの三点上陸がベストです』
第15中隊長の梶原大尉は『岡村田はポハンやマサンではなくプサンからを要求しているが、我々は参謀部の意向を尊守し作戦を遂行するのみだ』
首を傾げ呆れた様子で水澤の方を見ながら伊藤は
『相変わらず作戦部の方々の理解力に欠けていらっしゃるようですね。無駄話は、これぐらいにして、さあ、行きましょう半島へ』
伊藤は岡村田の話をするだけ無駄だと言わないばかりの口調で言い
執務室とはいえ灰皿のない こざっぱりした部屋にコーヒーの空き缶を見て
『あと、ひとつ言い忘れました
次からは空き缶を灰皿にしないでくださいね?
こんどやったらぶっとばしますよ?』
不機嫌な表情で水澤に言う
水澤は『今、言う事か?それ?』と、ちゃかし気味に言うと
『それが、何です?』と伊藤は表情ひとつ変えずに言い
『怖ぇえわ。』と水澤は、わりとガチめに言い
そして『とりあえず、さー行くぞ!』と佐脇中尉がが言うと
水澤は『うるせえ、あんたも空き缶灰皿にしてんだろうが』と言うと
『あー?うるせえわ!この高慢チキ』と佐脇中尉は答え
そんな二人に伊藤は『出陣時にまで揉めないでくださいよ』と呆れ気味に言う
水澤、伊藤、佐脇、そして、榊や、川中達を含め
あの日、霧島防御陣地より出陣し九州を取り戻した彼らはオペレーション:レッドストーム第二段階、半島への上陸作戦と北韓人民共和国の打倒に向け対馬海峡を越えて戦いに行く
ー反攻打撃戦ー
>>プサン敵前上陸作戦
波に揺られながら、強襲揚陸艦に上陸作戦の第一陣の15中隊が乗り込んでいる。
『上陸10分前!』と副長の西野忠道が叫ぶ
『各員!これより敵前強襲上陸を行う!我々の目的はプサンの制圧とポハンに上陸する影平大隊の陽動を兼ねている』と隊長の梶原亮太朗が言い
『お前ら!気合い入れてかかれよ!』佐脇和馬隊長補佐が
『この作戦の成否が今後を左右すると思え』と副長補佐の藤井一弥が言う
『了解!』と部隊員が声を揃え返答する
イージス艦は戦争開始当初に北韓軍のドローンによるカミカゼアタックで損傷したまま、修理する間もなく北韓軍が来襲したため
本作戦には、僅かに残った
護衛駆逐艦筑摩と球磨川二隻が護衛し
両艦の砲撃による支援により、敵陣地を砲撃する。
その隙に上陸し戦闘を開始する。
日本側の半島再上陸は遅くとも2ヶ月後ぐらいだろうと予想していた北韓軍はプサン防衛に、九州から逃げ帰った部隊を含めて中隊規模程の人数が配置されていただけだった。
だが、日本側の再上陸作戦は九州奪還から10日後に開始され北韓軍の迎撃態勢は間に合わなかった。
これも、水澤が示したオペレーションレッドストームの計画の中に含まれていた。
同じ中隊規模とはいっても、15中隊は歴戦の勇士揃い
北韓軍は命からがら逃げ帰った敗残部隊
その力の差は明らかだった。
梶原隊長は『第1、第2、第3小隊は前へ各小隊長の指示従え』と指示を出し
隊長補佐の佐脇中尉は第1小隊に『第5分隊は水澤の指示に従え!残りは着いてこい!』と言って敵陣へ切り込む
>>【第15中隊、第1小隊、第5分隊、通称、榊分隊
分隊長 榊 淳也
分隊副長 川中陽二
分隊長補佐 水澤健一
分隊副長補佐 黒木正人
分隊員 森村賢二、三上和寿、沢田大樹、杉本武志の8人編成
軍略作戦担当として水澤は榊分隊を支えている。】
『遅れを取るな!佐脇を踏みつけてでも進むぞ!』と水澤は言い
おおー!!と皆が答え
敵中へ突入する。
北韓軍は防衛線が砲撃で寸断され、そこに15中隊の攻撃を受け混乱状態に陥り壊滅15中隊は圧倒的な勝利を納めた。
水澤達に先んじて敵陣に突入した佐脇の率いる小隊が、敵を一掃したため
『ほとんど出る幕なしかよ』と水澤は言う
『大宰府での仕返しだよ』と佐脇中尉
『んなモンいらねぇての』と水澤は答える
『まだまだ序盤戦だろう、活躍する機会は嫌でもくるさ』と藤井中尉
『じゃねぇと半島まで来た意味ねぇわ !なあみんな!』と水澤は榊達に言う
『違いねぇっす!』と答え、みんな笑う。
15中隊は少し休憩したあと、大邱へ向けて北上を開始。
半島派遣軍第2上陸軍団が馬山に上陸、これに呼応するように浦項に影平大隊が上陸して大邱の北側を脅かすと
北韓軍は大邱周辺の部隊を集結させ、平壌へ移動中であったヤン・ジヌ隊を再び南下させるなど、大慌てで大邱市近郊地域の防御力強化を進めようとしたが
日本軍の反撃の速さと少数とは言え強力な打撃軍の来襲で大邱は陥落寸前に陥る
それをピョンヤン放送は直ちに報道、これにより北韓軍は混乱に陥った。
敵軍の大邱結集より早くポハン方面から上陸した影平大隊の石動功率いる別動隊が大邱市を強襲し迎撃態勢が整っていない北韓軍を退け
日本軍がプサン、マサン、ポハン上陸作戦中にソウルを発って大邱方面に南下中であったチョソンミン隊は水原付近に配備され、ヤンドングン、ハンガイン隊とともにソウル方面の防御を固め
日本側の速攻は北韓軍の大幅な防衛展開の変更を余儀なくさせた。
これら北韓軍の移動状況は、途中で捕虜にした敵の証言から裏付けされ、大邱防衛のために動員されるはずだった北韓軍は約3万名と判断された
だが、それより早く大邱が強襲され陥落したことにより動員兵力を各要所に再配備を北韓軍は進める。
ーー安莉とまりあーー
半島派遣軍が大邱に進軍していた頃
私達は太宰府の15中隊官営を訪れていました。
そして、そこで思いもよらない事実を知ることになったのです。
『赤坂さん、森下さん』
三崎軍医は私達の名前をそれぞれ呼び
詩音から聞いたとは思うけれどと前置きして
『水澤くんが何故、軍属とはいえ民間人の身分のまま戦ったと思う
水澤くんの実力なら民間人のままでも充分かも知れないし
水澤くん自身が自分が何者であれ自分には変わりないという考えの持ち主でもあるし何かに縛られたり拘ることの意味さえ、水澤くんにはない
だが、己の立場や身分に拘る者もいる
そんな奴らに、水澤くんは自身の力を見せつけたかったのか?見せつけたかったのではなく須く、皆の為に水澤くんは戦ったのよ
それに軍属の民間人の身分のままの方が都合が良かったの
二人の達の為にも、あの日、強制召集された人々の為にも
何故なら、水澤くんは自身が兵隊になる代わりに、詩音と約束を交わしている
まず、反撃作戦が始まった日から起算して20日以内に太宰府及び、九州より敵を一掃すること
その手柄と引き換えに〝強制召集された連中の軍籍を解き岡村田が何を言って来ても除隊〟させること
除隊については詩音もそのつもりでいたけど
水澤くんは自身の出世も金星勲章に匹敵する手柄も
全てを詩音に譲り、皆を守ったのよ。』
『これ以上言う必要があるかしら?』と稲葉軍医が話に加わり
『言うことがあるとするなら、貴女達も軍に入れるわけにはいかないということだけよ。
政府機能がまだ回復してないとは言え、戦争になってから、志願を募っている軍は健在してるから
貴女達がいつか軍人になると言いだすかも知れないことすら水澤くんは予見していたからね、久留米で詩音に志願しないように言われたでしょう?』
三崎軍医と稲葉軍医は真っ直ぐな瞳で私達に語りかけ
その話を聞き終えた時
私達が考えていたことさえ見抜かれていたこと、
そして、水澤さんの強く優しい意思に
涙が、とめどなく流れ落ちて拭っても拭っても止まりませんでした。
あの日、水澤さんに従って戦った彼らは『自分達は水澤さんを信じて付いて行くと決めただけなので気にするな』と言って水澤さんの想いを形にする為に協力してたのです。
言葉には出来ない想いの形を私達は水澤さんや彼らから頂いた
拭っても拭っても溢れる感謝という名の涙が...遠く離れた半島に居る彼らに届くのでしょうか...
ーー詩音の大邱入りーー
影平大隊が大邱を完全掌握し、敵軍は大邱の北方の栄州と北西の大田の2方向へと撤退
戦力温存の為、影平大隊は追撃戦は行わず
マサン、プサンから進軍してくる友軍の到着を待った
マサン方面攻略隊の森岡大隊とプサン方面攻略隊の水澤が居る15中隊を含め、各隊が大邱進軍中に敵と交戦したのは少数の九州での敗残の敵軍のみで
大邱陥落の報が北韓軍の士気を低下させ
散り散りバラバラに北西方面(大田)へと逃げ去った。
ほとんど無傷に近い状態で水澤達も大邱に到着する。
大邱市街地で大規模な戦闘は起きなかったが、大邱市内は北韓軍が撤退時に掃討と言う名の虐殺を行っていた。
そこらかしこに、無惨に殺された南韓民国人の遺体が放置されている
事の詳細はわからないが、北韓軍の目論みは
たぶん、怒りの矛先を日本側に向けさせ、南韓と日本の連携をさせない為の行為か?情報漏洩を防ぐ目的での殺害とも思えるが、殺害人数の多さから考えるなら
前者の日本と南韓の連携を防ぎ、怒りの矛先を日本に向けさせて日本軍の進軍妨害を狙ったモノと思われる
日韓相互協力協定の破棄、もしくは南韓と日本を争わせる目的も含んでいたのかも知れない
だが、現実は日本軍の再上陸と大邱の奪還は半島の最南端で南西に位置する港湾地帯や済州島に潜伏していた南韓人や南韓軍を大きく勇気付け、大邱のリベンジに燃え
消えかけていた北進統一の気運が再びよみがえる結果となった。
大邱で部隊の結集を終えた半島派遣軍は栄州のヤンジヌ隊の抑えに数部隊を残して
派遣軍本隊は大田方面へと進軍を開始
大田に駐留する北韓軍の動きを牽制する為、南韓軍のカン大尉の部隊を北上させることを南韓側に影平大佐はお願いし、カン大尉は影平の申し出を快諾して
派遣軍の動きと同調する様に北進を開始
大田の北韓軍は東から日本軍、南から南韓軍と対峙する二正面での戦いに臨まなければならなくなった。
南韓軍の事実上の司令官のユ・ソンジェは、カン大尉の行動を黙認したのみで、自身は未だに動かず
事態を静観していた。
派遣軍が大田攻略の戦いを始めようとしていた頃
西野詩音秘書官は、月島零参謀次官と共に大邱市入りを果たしていた。
詩音は心の中で、佐藤閣下、御覧になってますか?ようやくこの地に来ることが出来ました。
あの日、散華した将兵の魂を背負って、詩音は〝約束の地〟に辿りついたのだった。
THE LAST STORY>RELOAD<
第2話 参謀総長の帰還
へと
ーつづくー
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