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THE LAST STORY>Four-leaf clover< 最終話

挿絵(By みてみん)


THE LAST STORY>Four-leaf clover<


最終話 四つ葉のクローバー




月夜の下、313高地を夜襲し奪還を成功したあと

水澤は無線で詩音に、一大反攻作戦オペレーションレッドストームの発令をするように言い


詩音は『参謀総長に成り代わり私が命じます!作戦名オペレーションレッドストーム発動し、各部隊は速やかに反撃を開始!各員の奮戦と無事を祈ります!以上!』


詩音の号令を受けて、今まで鳴りを潜めていた砲撃隊の多連装ロケットシステムMLRSと最新鋭22式250ミリ榴弾砲等の各火砲が、これまで溜まったうっぷんを晴らすように火を吹く

そして、155mmカノン砲による

※空襲砲撃が霧島に在る北韓軍に行われる


【※空襲砲撃とは、砲弾が地上で炸裂するのではなく

敵の上空で炸裂し、その炸裂した破片で敵を殺傷制圧する砲撃のこと】



各火砲の支援の下、水澤達は15本隊と合流し電光石火の勢いで戦線を福岡へ向かって、一気に押し上げ続け、次から次へと敵を撃破し続けている頃


霧島防御陣地の各部隊が反攻を開始した知らせを聞いた岡村田はほくそ笑み

無謀な攻勢に出るとは、あの女狐【詩音のこと】め気でも違えたか...勝機のない賭けに出たのか知らんが、失敗に終わるだろう

そうなれば、全てを我が物に出来ると岡村田は思って心の中で笑っていた。



ーー奪還ーー



水澤達の奮戦が継戦意識が失くなりかけていた部隊に力を与え続々と反攻作戦に加わって行く

最初は水澤達500人から始まった反攻作戦は他の部隊も含め最終的に水澤達の行動に同調し、九州南岸地域や潜伏していた各隊、そして影平、森岡大隊も反攻作戦に参加し、その兵力は6万に膨れ上がっていた。





第15中隊に所属している水澤は、榊や伊藤達と共に敵が補給の揚陸をしている博多から物資の集積拠点で各戦線への補給拠点の大宰府を攻める



『いいかみんな!ジョンデと戦った時や高地戦の時と同じだ!三人一組のチームを崩すなよ!』


『了解!』


『皆に天満宮の道真公の加護があらんことを祈る!』


水澤を先頭に三角形の陣形で進む


大宰府天満宮の参道を背に二股に別れた道の左を伊藤達が水澤達は右を慎重に進む


左右の壁際から敵が身を乗りだしてくる


バンバン!


分隊の中でも、いや、中隊でも1番の腕前の狙撃手の川中陽二の正確無比の狙撃が敵の頭部を撃ち抜く


二股に別れた道が交わる交差点に差し掛かると共に、ビルの上方からの銃撃がアスファルトを跳ねる


水澤は、ひらりとバク転しながら


ガウン!ガウン!ガウン!


と発砲し上方の敵が空からドスンドスンと落ちてくる


今の水澤の銃撃の仕方はサーカスの曲芸師のようだと榊は思った


通りの反対側を進んでいた伊藤達と合流し敵が物資集積場に使っている建物に向かう


そこは、かつて伊藤達が訓練生として日々を送った訓練所だ。


入り口の監視用の望楼には人影はなく

建物の中にも人の気配がない

空城の計か?

とりあえず罠かも知れないと警戒しながら入る


運動場のような場所には、放棄された車両と修理しかけで放棄された自走砲が放置されている


そこは既に日本軍の反攻作戦に戦力を出してもぬけの殻になっていた。


少し拍子抜けしたとはいえ、もう少しで全てが完了すると水澤は思った。


各地域での日本軍の反攻に混乱し各所で打ち破られ散々な敗退に敗退を繰り返してきた敗残兵が大宰府に逃げ込んでいた

疲弊した北韓軍の大宰府での抵抗力は、あまりにも弱く


水澤達が動き出してから、二、三時間で決着がついた。


『水澤!』と佐脇中尉が走ってくる


『悪いが佐脇さん達の出番はねぇよ』


『少しは活躍させろっての』と言って笑う


まだ大宰府市内で少数の敵が抵抗を続けているようで、銃声が聞こえてくる。


もう決着はついている。これ以上の戦いは無意味だと佐脇は思い肩に装備してい通信機を使い

通信隊主任に『残敵に大宰府陥落を伝えろ。武器を捨て投降すれば命は助けると投降を呼びかけてくれ!』


通信隊主任の小山(こやま)は『了解!』と答え

通信機のボリュームを上げたあと、スピーカーにつなぎ敵軍に投降を呼びかける



やがて、銃声は止み


武器を捨て、両手を上げて敵が投降してくる。


こうして、あっけなく、大宰府奪還は終わってしまった。


大宰府を失陥した北韓軍は、補給が完全に遮断された。

北韓軍は補給がとまったところへ

各所で日本軍の挟み撃ちにあい、退却の道も断たれて総崩れの状態となった。


そして、なんとか生き残った北韓軍は半島へと敗走して行った。


この作戦期間は、僅か半月という驚異的な短い期間での九州の奪還を成したのだった。



九州より、敵を追い落としたことにより、他の地域に侵攻した敵も半島へ引き下がり

逃げ遅れて退路を断たれ進退極まり投降するものが多数でた。



水澤の作戦は見事なまでにはまり大勝利を納めたが

まだ戦争は終わったわけではない

此処(ここ)からが本番だと水澤は思っていた。





ーー参謀部対作戦部ーー


反攻作戦が成功し詩音ら参謀部の復権を阻止したい岡村田(おかむらた)は自身が下していた命令は霧島防御陣地での徹底抗戦であるため

今回の反撃戦は命令違反だと主張した上で

作戦に参加した部隊長ならびに、その命令を下した詩音を軍法会議にかけると通告して来た。


詩音を筆頭とする参謀部派の各隊長、将校らは岡村田の通告を無視


詩音らは参謀総長が帰国次第、無意味な消耗戦を無理強いし多くの将兵の命を失わせた罪で岡村田を軍法会議にかけると通告


岡村田は戦争初期の大邱の失敗や、米軍参戦交渉に行った山口参謀総長のことを

国を捨てた人間と言い

そのような人間の命令は聞かないと返答



そして、参謀部と作戦部のやり合いを知った水澤は、詩音に岡村田と話するのは無駄に時間を費やすだけで

それよりやるべきことがあるだろうと詩音に言い


詩音を、九州ならびに日本国の奪還作戦の発案者であり、国から北韓軍を追い出した第一功労者として軍内部に知らしめ作戦部の権威と求心力の低下を狙い

水澤自身の功労は全て詩音の功績として活用させる案を提示し


詩音は、本来なら水澤の功績なのだからと、一旦は拒否するも

参謀部の求心力と権威復活の為、最終的に不本意ながらも、それを了承して参謀部の建て直しと、帰国して来るだろう参謀総長の復権を急務と考え

岡村田の処分は参謀総長が帰国次第とし岡村田は処分保留となった。




ーー第二段階へ向けてーー



オペレーション:レッドストームの第一段階の九州奪還は終了し第二段階の半島への上陸作戦と北韓人民共和国の打倒に向け


大宰府から博多に部隊を集結させ

順次、対馬海峡を渡たる準備に取りかかるよう命じた。


詩音自身は久留米駐屯地へ向かい

あの日、岡村田の嫌がらせとはいえ、臨時に軍属にした者達と避難させていた民間人を集め

軍属の解除と、今後のことを民間人に伝えたのち


再び大宰府に戻り、半島派遣軍の臨時の司令官として

釜山、馬山、浦項(ポハン)からの三点同時上陸と大邱の奪取を第一目標に掲げ


半島再上陸と北進攻勢に出る方針を固めた。




ーーFour-leaf cloverーー


水澤の目の前をひらひらとピンク色の桜がの花びらが

舞い散る


思いかえせば紅葉(もみじ)が舞い散る頃に出逢い

最初は死ぬ気だった俺を必要としてくれる人や仲間に出逢って

そして、幾多の困難も苦労も共に重ねて来た


ゆらゆらと桜の花びらが舞い落ちて行くのを目で追う


水澤の靴の上に、ひとひらの花びらが落ち


その靴の先に戦火に焼かれずに残し四つ葉のクローバーを見つける


挿絵(By みてみん)


見つけた者に幸せが訪れるという四つ葉のクローバーを、そっと摘み


自身の荷物の中から、赤坂安莉と森下まりあからもらった手紙を入れたボックスにしまう。



二人の未来に幸福が訪れるように願いながら。




THE LAST STORY>Four-leaf clover<


最終話 四つ葉のクローバー




ーーおわりーー



次回から半島へ物語の舞台が移ります。


それに伴い

THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Storyが最終話を迎えたあと

THE LAST STORY>Four-leaf clover< とTHE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Storyは、ひとつの物語になり


THE LAST STORY>RELOAD<

という題名で半島編を描いて行きます。


RELOAD(再装填)半島へ弾を込め直して進んで行きます。

THE LAST STORY>Four-leaf clover<を最後まで読んでいただき

心から御礼申し上げます。


THE LAST STORY>RELOAD<

挿絵(By みてみん)

もよろしくお願い申し上げますm(__)m


いいね、ブクマ、感想、評価等

お待ちしております。


THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story


最終話 手のひらの中の希望 は明日の午前、もしくは午後に更新予定です。

宜しくお願い申し上げますm(__)m



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[良い点] 終わり良ければ全て良しと思いたい、 そして今目の前にある幸せが続きますようにと願いたい
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