THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ⑩ ー 3
本編の前にお知らせがあります。
各項に同じ日付の改稿のマークがあると思いますが、挿し絵※物語用のタイトル画像を挿入した為
改稿マークがついております。
内容の改編をしたわけではないので、予め御理解と御了承くださいますよう
お願い申し上げます。
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story
第10話 Moonlight その③
私と西野詩音さんは、身動ぎもせず
窓の外を見つめ続けていました
響き渡っていた爆発音や銃声が、徐々になくなって行き、静寂が訪れ『どうやら終わったようね。』と西野さんが言いながら『この戦い...勝利を得たなら状況は必ず動くわ』と独り言っぽい感じで言うと、私の方を見て『大丈夫よ。水澤くん達は必ず無事に戻ってくるわ』と私の肩を抱き寄せておっしゃいました。
私は、勝ち負けよりも水澤さんや、榊さん達が無事なら良いとも思っていたけれど
戦争という時にあっては、勝たないといけない
負けてしまえば全てを失うことになることを
私はわかっていたし、戦闘に向かう前に、水澤さんは『未来という希望を残す』と言っていたから
勝つこと、勝ってもらうことでしか私達は生き残れない
今回の戦いが、西野さんの言う〝状況が動く〟という言葉の意味するところは、多分、この九州から日本から敵を追い払う何か始まりになることなんだと思いました。
ーー帰還ーー
数時間前に、慌ただしく此処を出て行ったトラックが校舎に向かって帰ってくるのが見えた時
私は自然と走り出していた
心の中で、どうかお願い、水澤さん達が無事に帰って来てと想いながら、階段を駆け降りグラウンドに飛び出すように出て
戻ってくるトラックを出迎える
砂ぼこりをあげグラウンドにトラックが止まると、後部から見慣れた顔ぶれが次々と降りて来て
そして
水澤さんも降りて来た時に私は水澤さんの名前を呼びながら傍に行こうとした時
『近寄るな、血で汚れる。』と水澤は私に向かって少し笑って言ってくれた
その台詞は、あのキャンプ場での時にも水澤さんが言った言葉だけど
前回と違い今回は、どことなく晴れやかな表情で微笑みながら、そう言ってくれた。
そして私は水澤さんの体や顔に戦闘中に浴びたのか?それとも負傷をしているのか?血で濡れてるのを見て
私が『大丈夫ですか?』と言うと『返り討ちにしたヤツの血を浴びちまって、この様さ、俺は無傷ってのに』と笑顔を見せてくれた水澤さんの姿に安心しました。
『水澤くん!』私の後ろから西野さんの声がした後『怪我人は?』と続け様に
三崎希望軍医が水澤さん達に問いかける
『味方に怪我人は居ねぇよ!もちろん死人もな!』と佐脇中尉が、そう言ったら『いや、怪我人なら居るだろ』と藤井中尉が水澤さんの手首を持ち言う
その言葉を聞いて、私は水澤さんの手を見て
少し固まりつつある血と、その血のついていない部分が紫色に変色してて『本当に大丈夫なの?』と、つい言ってしまった
『こんなモンたいしたことねぇよ』と水澤さんが私に言っていると
三崎軍医は、水澤さんの手を見て『何か硬いモノでも殴ったの?』と水澤さん手を取りガーゼで血を拭っていました。
『ジョンデのゴツいツラを、ぶん殴り続けてたからなぁ』と佐脇さんは笑って言うと『あんなバカ硬いツラとは思わなかったゼ』と水澤さんも笑って答える
ジョンデを殴ったという言葉に、どういうことなのかを西野さんは伊藤さんに聞くと、伊藤さんは、プッと吹き出したので
西野さんは『笑ってないで、説明なさい!』と怒った口調で言う
伊藤さんは、失礼いたしましたと言って、事の経緯を説明し
その事は本当なの?と、西野さんは、もう一度聞くと『水澤の手を見れば一目瞭然では?』と藤井さんが言ったら
水澤さんは紫色に変色した手をフリフリしながら『殴ってる間にジョンデが勝手に、くたばっただけさ、なぁ淳也、陽二』と言って笑う
『まさかの展開てな感じだよなぁ』と榊さんは川中さんに言って『自分が躊躇したばっかりに...すんません』と川中さんは水澤さんに謝って『陽二!気にすんな!お前の気持ちはわかってる』と水澤さんは川中さんに言って『結果オーライってヤツだよ!』と言いながら、三崎軍医に、とりあえず手の処置をするからと、校内へと向かうよう促されて水澤さんは三崎軍医と共に校舎へと向かって歩き出し西野さんの傍を通り過ぎる前に水澤さんは自身が乗っていたトラックとは別のトラックを指差して何かを西野さんに話し、西野さんはそれを静かに聞き、水澤さんとの会話を終え
もう一台のトラックの方へと歩いて行きました。
私は話の内容が聞き取れなかったけど、それよりも水澤さんの怪我の方に気がいってたせいもあり
私は水澤さんと三崎軍医の後を追いかけ医務室に行くことにしました。
私は思う
最初は、どうなることかと心配したけれど水澤さん達はというか、水澤さんは自分の言葉に責任を持ち、行動で示した上に〝誰ひとり味方に死者を出さず〟帰還を果たした
〝罪なき命が、もうこれ以上、失われないように全力を尽くす〟という西野さんへ言った言葉も行動で示して見せた
そして、約850名からなるジョンデ隊を、幾重にも仕掛けたトラップを使い
僅か十数人で、見事に撃ち破ったことで水澤さんは賛辞の言葉を西野さんから言われても
こう答えました
『自分ひとりだけの力じゃなく、皆の協力があってこその勝利だった。』と
私は水澤さんらしい返答だと思いました。
そして、この戦いの勝利が、その後の戦局を変えることに、大きく寄与することになったのですが、新たな脅威が私達に襲いかかろとしていたことを、この時の私はわかっていませんでした。
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ーつづくー
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