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THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ⑨ ―3

内容に一部誤りがあったため再改稿し再投稿いたしましたm(__)m



挿絵(By みてみん)


THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ⑨ ―3





どうすることも出来ない運命(さだめ)の中で解っているのは間違いなく


貴方の運命さだめと私の運命(さだめ)が、あの日から、ひとつに溶け合い始めたということ。




見えない未来を必死で切り開こうと戦っている


そんな貴方に出逢ったことを後悔なんてしたくない。
















THE LAST STORY >Moon crisis<


赤坂 安莉 Anri Akasaka Story




第九話 Reload 其の③






ーー再装填リロードーー




交戦騒ぎと失踪騒ぎの最中で私は何も出来なかった自分を憎んだけれど


でも、稲葉華凛(いなばかりん)軍医さんの言葉で


確固たる自分が戻って来たと思った


私は私のやるべきことは見えている




それは、この戦争と言う時代の中で水澤さん達がどう生きて戦ったか


そして、彼らの運命さだめの先を見届けるんじゃなく共に歩むことだと私は思う


もちろん、まりあちゃんとも共に在りたいと思う




私は誰かの言葉には、もう負けない


私の想いは、そんな感じに強く固くなっている




だって、私が見聞きした本当の水澤さんの姿を後世に残さければ、水澤さんは此所に居る人々の憎悪の象徴でしかなくなる


その憎悪を一身に背負っている水澤さんは、誰よりも優しく強い人




山の中で出逢った時も、最後まで戦ってくれた


キャンプ場でも自分の危険を省みずに命懸けで守ってくれた人


貴方はきっとあの人だと私もまりあちゃんも感じてる

わかっていても、言わないでおこうと私達は決めてた。



水澤さんは例え何があっても、折れない信念を心に宿している人




そんな人が私のファンでいてくれて応援し続けてくれている








私は知ってる




水澤さんは、校庭裏の墓地に行き手を合わせてることも


自身が守り切れなかった自責の念があるんじゃないかと私は思う




言葉では、情けないとか、だらしないとか色々と言うけど




本当は優しさに溢れてる人




じゃなかったら、あんな風に地に膝をつけて正座して手を合わせることなんてしないと思う






ここ2日で行方不明者と戦死者が出て


その行方不明者の亡骸が酷い仕打ちを受けて帰ってきてる






その彼らの墓標に手を合わせる水澤さんが、悪人扱いされてる現状




私は違うと否定しなきゃならない


そうすることが、少しでも恩返しなり、水澤さんの心が軽くなるなら




私は立ち向かう




次はもう誰にも悪く言わせない。






ーー私の覚悟ーー




失踪騒ぎの最中で起きた


敵軍による残忍な行い




それは決して許される行為なんかじゃない




それを水澤さんの責任にすることは違う




校内を包む憎悪に私は立ち向かう




『皆さんは、勘違いしてる


水澤さんが、これまで戦い続けた結果


皆さんが生きているじゃない!』


私は声の限りに叫ぶように言った私は必死だった


誰にも理解されない主張なら


その主張は、すなわち水澤さんが理解されない存在になってしまいそうだったから




水澤さんの責任で、水澤さんせいだと主張する人々と私は私なりの戦いをする




『そうやって文句言っていること自体が〝水澤さんに生かされた証〟じゃない!』




そう、同じように私自身も生かされたからこそ


今、ここで自身の想いを言葉に声に出来ている




私は、もう負けないことを誓ったから尚更に強く主張し


相手を黙らせなきゃいけないし、例え黙らせられなくても伝えなきゃならない




『あの日、キャンプ場で敵に襲われた時に、戦うこもせずに逃げ回ってたけれど


水澤さんは違ってたじゃない!


水澤さんは瀕死の重傷を負いながらも戦い続けてくれたでしょう!』




「兵隊でもないのに勝手に戦っただけで自分の知ったことじゃない」この言葉は、あの日にも同じように聞いた台詞だった。




『あの日も同じようなことを言ってた人が居たけれど


水澤さんが居てくれたことで生き延びて来れたことも事実じゃない!


謂わば命の恩人に対する言葉じゃないと私は思うけど?違うの?』




それでも、知らない、関係ない等々の言葉が私に向かう




けれど、私は引かない




そんな私を心配そうに、まりあちゃんは見つめる。




『関係ないことと言うなら、今、水澤さんがやってることも関係無いってことじゃないんですか?


関係ないのに、何で文句言ってるわけ?』




そう、自身に関係のないことと思うなら言うなら関わらずに居ればいい


なのに、この人達は水澤さんが戦い水澤から受け取った優しさと大切な命があるということを解っていない




それと今回のことは別と言う人




『言っておきますけど、水澤さん1人が責任を負うことじゃない


軍人に徴集された日に水澤さんが言った言葉は忘れたの?


西野秘書官の責任でもなければ誰の責任でもなく


もし責任を追及するのなら自分自身の運命を恨めと、今という時代に生まれたことを恨めと


そして、最後にこう締めくくったはず


〝国から逃げ遅れた自分の責任〟 だと言ってたでしょう!』




そう、水澤さんは誰かの責任を自分が背負って戦う覚悟の上に立って


あの日、壇上で発言したに過ぎない




その発言が憎悪や批判の矛先になる覚悟だってあったに違いない




私の知る水澤さんは、そう言う人だと私は思う




逃げ遅れたのも、軍が弱いから逃げ遅れたと言う人もいる




『自分の責任から逃れて自分を正当化して、全てを誰かの責任と押し付けて


人としてみっともないと思わないの?』




私だって逃げ遅れたから此所に居るんだけどね




それは誰かの責任じゃなく




『全て自分の行動が招いた結果でしかないじゃない!


水澤さんを批判する事自体が間違いだってことに気づいてない


批判する相手を間違ってる


批判し憎むなら自分たち自身にしなさいよ!バカじゃないの!


どんな形であれ、水澤さんあっての命だと思わないわけ?


あんた達は水澤さんの何を見て来たわけ?


それとも、自身には関係ないから何も見てないってこと?』




水澤さんのことなんか関係ない




その言葉を私は待ってた




『水澤さんのことなんか関係ないなら、もう二度と批判しないで!』




だけど、でも、水澤さんがと言う人はいる




『でもも、だってもない!関係ないのなら、お黙りなさいな!つか、黙れ!この恩知らず共!!


もう二度と私の前で、ううん、私が居ても居なくても水澤さんの批判をしないで!関係ないのなら尚更よ!』




それでも、批判の声はやまない




なんだかバカらしくなってきた私は、ああ、きっと水澤さんも、いちいち反論するのがバカバカしく感じるから反論もしないのかなぁと私は感じたし


覚悟の上に立つ水澤さんは批判も憎悪も態度と行動で示しながら、この人達を黙らせるというか


何を言われても動じないのだと思った。




良い歳した大人が我が儘を言ってる子供のように感じてきた私は『あなた方が思ってるほど、水澤さんは悪人じゃないことだけは最後に言っておきます!』




売り言葉に買い言葉の言い合いかも知れない


だけど、私は私の想いを言葉に声にすることを、もう恐れない




私には、私の貫く信念がある




もう私は同調圧力に屈しない




私が選んだ道を行くし、ジャーナリストとしての使命も全うして見せる






アホらしく感じて来た私は、まりあちゃんを連れて中庭に行く




中庭の雑草の中に咲く小さな花を見て




『だいぶ、春めいて来たね』




『うん、そうだね』




『そうだ!まりあちゃん!この花を摘んで行かない?』




『行くって何処に?』




『校舎裏の墓地にお墓参り』




『お墓参りって誰の?』




『誰のって、今まで水澤さん以外でも戦って来た兵隊さんが居るじゃない


特に此所は15中隊の方の墓が大半だし


少しは感謝の気持ちを示さなきゃって思って』




『確かにそうだね。うん!行こう!』








私達は花の少しずつ摘み校舎裏の墓地に向かう




時々、水澤さんが居るのを二人は知ってはいたものの


水澤の雰囲気に近寄り難さを感じていて


遠巻きに見ているしかなかったが、きょうは違っていた




刺すような殺気めいたモノも雰囲気もなく、膝をつき正座し手を合わせる水澤さんが居た。






私達の存在に気づいたのか水澤さんは振り返り


私とまりあちゃんが花をたむけ手を合わせたのを見て


私達に話しかけてくれた。




どれくらいぶりだろう


私達は久しぶりに水澤さんとお話しが出来た。




私は水澤さんの姿や行動に少しでも近づけるようにしたいと、この時、思いました。








私の決意は再装填リロードされる弾丸のように


私は私の強さという魂の弾を心に込め直しました。












THE LAST STORY >Moon crisis<


赤坂 安莉 Anri Akasaka Story




第10話 Moonlight へ




ーつづくー

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― 新着の感想 ―
[良い点] 水澤は立派な人間だ、 その水澤に責任を押し付け批判する人間を私も許さない
[良い点] 責任感が強い水澤は心身ともに傷だらけでしょうに、死力を尽くして立ち向かう様が惹かれます。 安莉も自分にできることを決めて、鉄の覚悟で行動するようになりましたね。 水澤がいい影響を与えたと感…
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