THE LAST STORY>Four-leaf clover< ⑨ー5
THE LAST STORY>Four-leaf clover<
第9話 It all for you その⑤
ーー伊藤と水澤ーー
夕暮れ前
伊藤と水澤は榊達より先に屋上に来ていた。
『昨夜は何故?ナイトゴーグルをお持ちにならなかったんですか?用意周到な貴方にしては珍しい』
『本当に持ってなかったとでも言いたいのか?伊藤くん』
『では、やはり』
『そう、やはり..俺も抜けてたってこと』
『え?』
『開き直るだけさな』
『いや、はははっ』
『まあ、手柄の1人占めは良くねぇと思ってよ』
『別に良いじゃないですか、貴方には驚かされるばかりですし
西野秘書官も何かあれば貴方に相談するよう自分に言ってましたし』
『詩音さんが?俺に相談しろと?』
『ええ、秘書官殿は水澤さんのことを信頼されてます』
『おや、嫉妬かい?伊藤くん?』
『そんなんじゃないですよ、僕はただ、貴方のあの作戦と言い、今回のことと言い
貴方は信頼の置ける人物だと思っているだけですよ』
『なら、脱走が出た時に何故、相談しに来なかった?』
『あれくらいのことで、貴方に頼るのも何かと思って
ですが、結果的に迂闊でした、すみません。』
『まあ、過ぎたことは仕方ないさ、こっから挽回して詩音さんの怒りを鎮めな
相当に怒ってるって15中隊の、ふじかずさんが言ってたゼ』
『このままじゃ、秘書官殿どころか15中隊にも顔むけ出来ませんねぇ...』
『だから、こっから挽回すりゃ良いし、それに完全に信頼を失うほど伊藤くんは安くねぇだろ』
『買い被り過ぎでよ、僕はただ...』
『自分を婢下すんな!お前は充分ガンバってんよ!って、これは詩音さんの受け売りだけどな』
『受け売りですか?』
『ああ、俺は...山ん中で、みっともない醜態をさらした時あるからな』
『それは聞いていますが、みっともないことはないかと自分も思いますよ』
『んじゃ、互いに言いっこなしってことで』
『そうですね了解しました。』
『にしても伊藤くん、岡村田ってヤツはどんな野郎なんだ?』
『岡村田ですか?西野秘書官や月島次官の話しを聞く限り彼はただの野心家で何か飛び抜けた取り柄がある訳じゃなさそうです
たぶん、自分が主導権を握り続けたいだけの小者ですよ』
『野心家の小者ねぇ..俺には別な何かに見えるがな』
『別な何かとは?』
『んー、今回の件といい、敵と戦うには充分過ぎる戦力を後方に保有しながら微動だにせず出し惜しみしている
俺からしたら、野郎は敵に見える』
『小心者なんじゃないですか?』
『小心者=用心深いとも言えるだろ?』
『まあ、確かに捉えようによっては...』
ここで伊藤は、ハッとする
『まさか...』
『そう、そのまさかかも知れないってことだよ
ここでの件も、まさかが今、起きてるだろ?』
『確かに、誰かのシナリオに動かされてる気がしますね』
『岡村田とヤツは敵に通じていると仮定した場合
って言うか、こっちのヤツは確実に敵に通じていると思うが
仮に岡村田が敵に通じているなら、一番邪魔な存在が詩音さん達になる
無理やり民間人を兵士に仕立て、ここから15中隊を血の海の霧島へ移動させた』
『そして今回の事件が起きている...よもや、よもやですね。』
『面倒なことになったな』
『ええ、確かに』
『岡村田とヤツは別々に敵に通じているとして、そのシナリオを書いたヤツがいる
あんまりもたついてたら、岡村田が白旗あげて敵に投降する命令を出し』
『敵は苦労せずに九州、沖縄を手に入れ、そして水澤さんが言ってたように中国に沖縄を献じる』
『最悪のシナリオだな』
『ええ。』
『そうなる前に、是が非でも、この戦いに勝たなければならねぇ』
『岡村田が白旗を上げる前に間に合うのでしょうか?』
『間に合うさ、何故なら詩音さんを含め、参謀部派の15中隊や他の部隊を地上から抹殺しないとヤツが白旗あげて投降を命じても決して従わない、逆に自分に矛先が向くことを恐れ
霧島で部隊が壊滅し、霧島の指揮官の詩音さんが戦死することをヤツは待つ』
『ですが、岡村田は我々の意図する所を知らない
負けさえしなければシナリオをくつがえせる訳ですね』
『そう言うこと!指方っては、今、目の前にある問題を片付けて
あのヤツとこの学校を包囲している敵を叩き潰すことだ』
『包囲している敵は..なかなかの策士ですよ
この前の夜に撃ち倒した敵の肩口のマークを見ましたが
大邱戦で影平大隊に猛追擊を加え、先任の参謀総長を死に追いやった
チョ・ソンミン隊の776遊撃隊です
指揮官は確か..イ・ジョンデという残忍な上に頭も回る人物です
だから、先任の参謀総長が戦死に至ったのかと』
『先任の総長は自決と聞いたが』
『ええ、進退極まり自決です』
『情けない野郎だな』
『そんなことは...日本国が誇る傑物の1人だったんですよ?』
『傑物は自決なんざしねぇよ!凡人より少し上に居た頭の古い人間だろ?』
『そんなこと言っちゃ秘書官殿が怒りますよ』
『ああ、怒ってたなぁ』
『え?言っちゃったんですか?』
『ああ、言った』
『あはははは。』
『自決ってのは逃げ打つ人間のすることさ、昔の古い悪習だろ?
俺から言わせりゃ最後まで生きて責任とれって感じ、先任が死んで岡村田が台頭して今がある
古い頭で古い戦いするから死ぬ
大邱なんざ貰いに行かすに、ここ九州で敵を釘付けにして俺の作戦をやりゃ良かったのさ』
『ですが、あの戦いは在韓邦人の救出が第一目標だったんですよ?民間人を見捨てて国で防御に徹することは、あの時は出来なかったんです。』
『南韓の首都が落ちた時点で勝負はついてた
あの時さえ邦人を助けることが出来なかっただろ
国の面目だか、当時の自衛隊の面目だか知らんが
無駄な戦いが核の惨禍を招いた』
『それは結果論です。確かに敵に戦う口実を与えてしまったのは事実ですが
まさか核の恫喝が実際の核攻撃に至るとは当時は考えられないことだったんです』
『考えても見なかった、まさかが起きるのが戦争だろ』
『確かに違いないですね、現に此処でもまさかの事態が起きてますし』
『そのまさかのシナリオを叩き潰すのが当面の俺達の目的だ』
『ええ。』
『ありゃ?水澤さん達はまう来てたんすね?』
『おうよ!俺ら暇人だからな?』
『まあ、有益な暇潰しになりましたよ』
『さてさて、準備は良いか?野郎共!』
『寝たら承知しませんよ?』
『寝たら、全裸にして校庭の真ん中に転がしてやる
もちろん、乳首には洗濯バサミをつけてだけどな』
『ドリフですか?』
『うぉーぜってぇ寝れねぇ』
『転がしてみてぇ~!』
『あ?今、何か言ったか陽二』
『淳也を転がしてみてぇ~って言ったけど?』
『てめぇこそ転がれ!そして女共に嫌われろ!』
『ばぁ~か!俺の裸を見れる女はベッドを共にした幸運な女だけさ』
『水澤さん、陽二をシメて良いっすか?』
『喧嘩は北韓軍とだって水澤さんに言われただろ?』
『淳也!陽二を叩きのめして良し!』
『え?』
『水澤さんの許可を得たことだし、陽二?お前、逝けや!』
『どわぁ~ちょっ!待て淳也!おいよせ!てめぇ!』
『仲良きことは美しきかなって感じ』
『ねぇよ!つか、森村、黒木!助けろ!』
『俺らを巻き込むな』
『薄情な..って、やめろってんだろうが淳也!!』
『洗濯バサミいるか?』
『お願いします』
『ちょっと待ってろ、もらって来る』
『ちょっ!水澤さんマジ勘弁してください!』
『え?なーに?聞こえな~い』
どわはははははははははっと皆が笑う
『つか、淳也、ヤツらが見張りに付く前にやめろよ
此処に居るのバレたかねぇから』
『うっす!』
川中を組伏せ半裸にしようと榊は川中を床に押し付ける
川中は必死に抵抗するが力が強い榊には敵わない
『そろそろ時間だ。淳也、お遊びはそこまで
陽二、さっさ立って上着を着ろ
もっと楽しい時間の始まりだ。』
馬乗りになっていた榊は川中を立たせ
自分で川中の上着を拾い
川中に渡す
『さんきゅー淳也』
『気にすんなってな』
どこまでも仲の良い二人だと水澤は思いつつ
不寝番の三名が見張りの交代に着く姿を見て
さて、しっかり犯行現場を見させてもらおうと思っていた。
ーー闇に蠢く者ーー
陽が落ち、だんだんと闇が訪れる
水澤達は静かに屋上からナイトゴーグルを通し中央の見張り番を見張る
あの男が何やら他の二人に飲み物を渡している
たぶん睡眠薬入りの飲み物だろうと思う
飲み物を口にした二人は最初は起きていたが、虚ろ虚ろとしているように見える
やがて、土嚢にもたれ掛かるように寝てしまった
それから数時間ぐらいたち
静まりかえった校庭の入り口に北韓軍兵士と思われる人影が現れる
水澤達は、その様子を静かに見つめる
あの男と北韓軍兵士が何かを話している様子だ
やがて、荷車のような感じのモノから、ズルズルと何かを引きづり出し
昨日と同様の位置に何かを置いて行く
行方不明になっている人間の亡骸だと言うのは、容易に想像できた。
『チッ、あの野郎!』榊が口を開く
それを水澤は制止し黙るよう小声で言う
榊は小声で『今すぐに、奴らぶち殺してやりますか?』
水澤は『いや、このまま泳がせる』と言い
自身の口元に人差し指をたてシーと言うジェスチャーをする
『おそらく行方不明者の全員が殺されてるだろう
その全ての亡骸を回収するまでは動くな』
『ですが、このまま同じ事が立て続けに起きたら、また同じように脱走者が出るのでは?』
『そうっすよ、やっぱりここで始末しとかないとヤバくねぇっすか?』
『その心配なら無用だ、ヤツの狙いが逆に働く
恐怖心を煽り過ぎたら逆効果だと言うことをわかってねぇのさ』
『確かに、ここに居るのは、にわか仕込みの民間人の兵隊ですからね
下手に外へ出たら同じ目に合いかねない』
『仮に脱走しようとしても、この件を逆手に使えば脱走は防げる
ヤツらの頑張り過ぎが、こちらに有利に働くってことだよ』
『さすがっすね!』
『とにかく、ここは泳がせ油断をさせる
そして、全ての亡骸を回収したら、俺がヤツを始末する』
『水澤さんがですか?』
『ああ、俺が殺る、民間人代表として、落とし前つけてやるよ』
『ということは、決行は全ての亡骸回収次第と言うことですね』
『ああ、そうだ、あと3、4日すりゃ全てを回収出来る』
水澤の決意は固いことは言葉の端々から伝わる
その場に居合わせた伊藤や榊達は互いに顔を見合せ頷く
それは、ヤツの始末を水澤に一任するという合図のようなモノだった。
『さて、見るべきモノは見たことだし、戻ろうか』
そう言って水澤はナイトゴーグルを外して皆と校舎内へと戻る
翌朝、前日と同じようにヤツは、ぎょうぎょうしく悲鳴を上げる
水澤達は、わかっていながら、わざとらしく何事かという感じで校庭に出てくる
『チッ、またかよ!』これもわざとらしく言う
『これには、参りますねぇ』と伊藤も水澤に合わせわざとらしく言う
『このバカ!また寝てたんじゃねぇだろうな?』榊の言い方も少々芝居じみている
ヤツの頭を殴り
どう言うことかと、わざと詰め寄る
『腹が痛くて校舎で用を足して戻ったら...きききき、昨日みたいに遺体が...』
ヤツの言い方も、わざとらしく感じる
だからといって、昨夜、見ていたなんてことは口が裂けても言えない
とりあえず榊は『てめぇら、全員、シメてやろうか?』
『喧嘩は北韓軍とだぞ。』と川中は、ヤツを睨み付けながら言い
榊を止めるそぶりをして見せる
『んなこたぁわかってんよ!けど2日続けてコレだったら頭に来るだろうが!』
榊はそう言いながら、地面から足が浮くほどヤツの胸ぐらを掴み上げ
『お前ら不寝番の意味をわかってんのか?』
ヤツは自分は寝てたんじゃないと言い
寝てたのは、他の二人だと主張する
榊は寝てたのなら何故?起こさねんだよと掴み上げた手を放し
ヤツは地面に尻もちを付き榊を見上げる
その目を水澤は見て、榊を相手にそういう猛た目を向けるか
やっぱりコイツは北韓が送り込んで来たヤツだな
水澤の視線に気づいたヤツは一瞬目を合わせ、すぐに目をそらした
ヤツはヤツで水澤に何かを感じとっているのかも知れない
『それにしても、不寝番の意味がないですね。』と伊藤が口を開き、水澤にどうするかを聞く
『罰のつもりで、2日続けて不寝番に付けたが、不寝番の意味さえなさない役立たずじゃあな...お前?やる気あんのか?
遺体を転がして帰ってくださってる北韓軍だから、お前も寝てたヤツも無事で居られたとは言うものの
俺が北韓軍なら、お前ら殺して校舎内の人間を全て残らず皆殺しにするけどな
どうやら、連中は別の狙いがあるようだな』
『別な狙いっすか?』川中は知って知らぬふりで、わざと聞く
『簡単なことだよ、こうやって、こちらの恐怖心を煽り戦意を失くさせようとしてんのさ』
水澤は、わざと昨夜の説明とは少し異なること言う
これには、訳がある
ここで、ヤツに勘づかれたらイ・ジョンデとやらが部隊を率いて雪崩れこむ危険があったからだ
一応のところ、ヤツが北韓の人間である確信はある
だが、イ・ジョンデと戦う為の応戦体制、その作戦については頭に描いてはいても、まだ実行に移していない
ヤツを始末したあと、それを実行する予定を水澤は立てている
『不寝番ってのは、寝ずに見張りをすることぐらいわかってんだろ?何故?寝てた?』
ヤツと一緒に不寝番をしていた二人に聞く
二人は気づいたら寝ていたと答える
『気づいたら寝てたじゃねぇよボケ!今夜、また寝たら裸にして校庭に転がしてやるからな!』
昨夜の水澤の悪戯っぽい言い方に伊藤も榊達も笑う
『なら、乳首には洗濯バサミでもつけておきましょうか?』伊藤も話しに乗って言う
二人は、てっきり殴られるモノだと思っていたのか
拍子抜けした顔をしている
『お前ら三人、連帯責任でだからな?わすれんなよ!』
『今夜も不寝番を命じておきますよ
寝たら裸で洗濯バサミですので、お忘れなく』
しっかり水澤の悪戯っぽい話しに乗りながら伊藤は命令を下して
『袋を持って来ます』と言い校庭の隅にある用具倉庫の方に行く
何も小隊長様が行かなくてもと思うが
伊藤なりのケジメのつもりなのだろうと水澤は思った。
伊藤は心の中で、必ず仇は討ちます
どうか、安らかにと祈っていた。
ーー【校舎裏】ーー
ここは、これまで戦い倒れた15中隊の兵士の墓標がならんでいる
仮の墓場になっている校舎裏の敷地で
前日と今日、そして先日の捜索で戦死した者の墓標もならんでいる
水澤は墓標に手を合わせる
心の中は、やりきれない想いと、どす黒い殺意が胸を渦巻いている
合わせていた手を放し目をあけると誰かが背中の方角からやって来る気配を感じ
振り返る
そこには、赤坂安莉と森下まりあが居た。
二人は中庭から摘んで来た花を両手に持っている
そして、何を言うわけでもなく、花を墓標に手向け
先ほどの水澤のように墓標に手を合わせる
そして、二人は、水澤の方に向く
水澤は、二人のその姿に少し感じるモノがあり
静かに口を開く
『わざわざ、花まで摘んで来て手を合わせてくれて、ありがとう。
此処に眠る連中も喜んでいるだろうと思う。』
二人は互いに目を合わせ
そして、水澤の方を見つめ
『やっと、お話ししてくださって良かった』と安堵の顔を見せる
『ここ数日、イラつくことの方が多かったから、つい、二人を避けてしまった。大変、申し訳ない。』
『そんな、謝らないでください!水澤が大変なのは、充分わかっています。
そして、時折、此処に来ていたことも』
『覗き見をしてたのかい?』
『いや、その、ねぇ..まりあちゃん。』
『近寄り難い雰囲気が水澤さんに漂ってた風に感じたので、つい..みたいな』
『近寄り難い..ねぇ..まあ、確かにそうかも知れないね
さっきも言ったけど、イラつくことが多かったから』
『此処に来て、二人、三人、四人と犠牲が出て、未だに行方不明な人も居るから...かなぁ。』
『水澤さんは優しいから、そんな状況が許せなくて、怒ってるんですよね?』
『まあ、そんな感じかな』
『私達で良ければですけど、いつでも話しを聞きます
聞くぐらいしか出来ないけれど誰かに話すことで楽になることもあるじゃないですか?』
『二人の方がよっぽど優しさに溢れてるよ
此処に来て花を手向けて手を合わせてくれた
そして、俺のようなヤツにまで優しさを手向けてくれてる』
『俺のようなヤツって言わないで下さい
私達は水澤さんに救われたおかげで今も生きてられるんですから
そんな風に言わないでくださいね』
『安莉ちゃんの言う通りです!水澤さんが守ってくれなかったら私達は居なかったかも知れないんですから』
二人の言葉に偽りなき優しさを感じ水澤は少し照れながら
『俺だけじゃないだろ?榊や川中達も貴女達を守る為に戦ってる』
『もちろん、皆さんに感謝してます。だけど私達が1番感謝しているのは水澤さんにです。』
『....。』
めっちゃガン見して言うじゃねぇかよと言いたかったが辞めておいた
『まあ、この戦いが終わる時が来たら、その時にでも感謝してもらおうか?とか言ってみる』とおどけながら言う水澤に二人はちょっと驚いている
こんな感じに、悪戯っぽくおどける水澤を初めて見たからだ
気づいたら二人は笑っていた
そして、水澤も笑っていた
こんな風に笑い合える日が続いたならと安莉とまりあは思っていた。
だけれど、今は戦争の最中で水澤は兵士になっている
この戦いの終わる日に、こんな風に笑って過ごせるのか?と思う
そこに、水澤、赤坂安莉、森下まりあの三人が立って
今のように笑っている
情景を赤坂は想像する
きっと、そんな日が来るに違いないと自分に言い聞かせている
水澤は、二人の笑顔を目に焼き付けておくことにした
いつの日か、自分が人として道を踏み外しそうになった時
この笑顔を忘れていなければ、道を誤る事はないと思っている。
ー It all for you ―
全ては、貴女達の為に。
俺は俺の道を行く。
第9話 It all for you
ーおわりー
次回、第10話 Reload へ
ー つづく ー
いいね、ブクマ、感想、評価等
お待ちしております。