THE LAST STORY >justice<
本編とは別のショートストーリーです。
それは何の為の正義で誰の為の正義だ?
綺麗事なら誰だって言えるんだよ
正義、正義とぬかすなら、見せてみろよ
てめえの言う正義とやらを。
THE LAST STORY >justice<
誰かの悲鳴と誰かの叫び声と歪んだ正義の交差点
神も仏もありゃしない
____
だけど人は..こんな時に祈るのでしょう
【神様】と...
目の前に居る彼は、こう言った
やらせてやれと
何故、そんなことを言ったのでしょうか
彼は【わからせようとした】のです
何をわからせようとしたのかって?
身体中を包帯で巻かれ片腕を失った人に
ある男はこう言った
『軍人であるなら、無様に生き続けるより自ら死を選べ』と言い
その人に拳銃を渡した
渡された人は..覚悟を決めたように自身のこめかみに銃口を向けようとした
すると軍医さんと大尉さんは
それを止めようとした
その時に彼は事もなさげに言ったの『やらせてやれ』と
それを聞いた時、私は何を言っているのだろうと思った
そんな私の思いとは関係なく
彼は言葉を続けた
『早くしろ』ってね
震える手で拳銃をこめかみにあてようとしたけれど
首より下の位置で拳銃は止まったままだった
そんな人に彼は近寄り
何かを告げ
そして声にならない変わりに
その人の目から涙が溢れ
微かに唇が動く
そして.._
『もっとデカい声で言え!』と彼は怒鳴った
拳銃を手放し泣きながら
『死にたくない』と何度も繰り返し泣き続けた
最初に死ぬように言った本人は
それを嘲笑い
情けない奴だと罵った
次の瞬間
彼は、その人を殴り倒し
『生きたいと思って何が悪い、情けなかろうが何だろうが生きてて良い』と言って
更に殴りつけた
私は意外だったし、わからなかった
だけどね、次に言った彼の言葉で全てを悟ったの
命じた相手を殴り、その仲間も追い払い
そして、その場に居た名も知らない誰かの言葉に彼は言い返した
『関係ねぇわけねぇだろ?今
コイツは死のうとしたじゃねぇかよ!
【無視と無関心】だけでも【人を殺せる】
関係ねぇって知らん顔した先の末路を考えた事あるか?』
それでも周りは関係ないを繰り返し
誰かが言った
自分は正義を言っていると
勝手に怪我をし、勝手に死のうとした
それは、その人の勝手で自分達には関係がない
それに、自分達は軍人じゃない
だから関係ないのは当たり前の事だと
彼は聞いた
『それは何の為の正義で誰の為の正義だ?
綺麗事なら誰だって言えるんだよ
正義、正義とぬかすなら、見せてみろよ
てめえの言う正義とやらを。』
わけがわからないと言う人達に
彼は更に言いはなった
『あとひとつ言い忘れたが、本当の正義ってのはな?
【人が人を思いやる心の美しさ】だ』
人が人を思いやる心
例え相手が誰であったとしても
何者であったとしても
思いやる心を失ってしまったら
【無視と無関心】を続けて
やがては相手も自分も
【殺してしまえる】
私は、その時
そう思えてなりませんでした。
言わない優しさは相手には伝わりにくいなら
言わない代わりに行動で示すこと
その行動は傷つける為じゃなく
相手を心から思いやる為に
あの日、彼はそう教えてくれたのです。
人を傷つけることは正義とは言えない
言葉であろうと態度であろうと
何であったとしても
正義という言葉はカッコつける為に使うモノじゃないし
自分の行動を正当化する為の言い訳にしちゃいけない
本当の正しさは
人が人であることの美しさであり
人が人を思いやる心の美しさで
それを形に出来ることを正義と呼ぶんじゃないかと私は思いました。
それは何の為の正義で誰の為の正義なの?
綺麗事なら誰だって言えるわ
正義、正義と言い自分を正当化するのなら
あなたの言う その正義は
ただの言い訳。
そんなこともわからずに、わかろうとせずに
あなた達も私も生きて来た。
価値観の違いという言葉を隠れ蓑に
当たり前に大切なことを忘れて
自分と他者を分け隔て
カテゴライズしレッテル貼りし
自分を保つ為に。
それが正しさというのなら
それは歪んだ眼鏡が見せる世界であって
その歪んだ世界を選んだのは
あなた自身。
THE LAST STORY>justice<
__ 終 __
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