THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ⑤
人は誰もが "自分にとって大事なモノ" を保つ為に日々を生きて居ます
それは物であったり人であったり夢だったり "プライド" であったり
人それぞれだと思います。
一度に多くを手に出来る人もいれば、失ってしまう人もいます
"大事なモノ" を探している最中の人も...。
人はみな "自分の大事なモノ" を保つことで自分自身を保って生きているのではないかと思います
結局 "一番大事なのは自分"
自分にとって大切で大事だから失いたくない。
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story ⑤
第五話 STARDUST
 ̄ ̄> Destiny... <__
息が窓を白く染める、ふわりふわりと華びらのように雪が舞う寒い日
私達が暮らすバンガローに、西野詩音さんが訪ねて来た
彼女は彼の現在の状況を教えてくれて『おそらく、貴女達が知る人に間違いないと思うわよって言うより、貴女達からの手紙の返事を持ってた時点で本人には違いないでしょう』
ですよね...でも何故?名乗ってくれなかったんだろう..
『恥ずかしかったんじゃないかしら?』
恥ずかしい?
『貴女達を守れなかったと思っているから
貴女達の目の前で倒れたことが彼自身にとってだけど、恥ずべきことに感じているのよ
貴女達は彼をみっともなく負けた情けない奴だと思ってる?』
そんなことは..思ってません
あんなに何度も何度も立ち上がって闘ってくれた人なのに
そんな風に思ったり、言ったりしたら失礼なことだと私達は思っています。
『そう..それを聞いて安心したわ。』
安心した?
『もし、あの彼のことを情けない奴だと思っているのなら、私は貴女達を怒るところだったわ
けれど、その必要はないみたいね』
そう言って西野さんは笑った
『貴女達にとって彼との出会いは新しい人生の始まりよ
彼が何を隠しているのかは私にもわからない
だけど、わかることもある
誰だって思い出したくもない過去くらいあるでしょう
けど、その事で学べたことは彼自身沢山あったはず
貴女達は人生において いつか気づくことになる
誰が自分の人生で大切なのか誰が大切でなかったのか
誰がもう大切ではないのか
誰がいつまでも大切な人であるのか
人は「 過去 」に学び「 未来 」を築いていけるから
あんな風にボロボロになりながらも立ち向かい貴女達を守ろうと必死だったじゃない
例え勝てぬとも、貴女達を守ろうとした事実には変わりない
勘違いしないことね応援してくれる人と【応援し続けてくれる人】は違うから
彼は今でも、貴女達を応援してるわ
" 応援の形が変わった " だけ
貴女達は良いファンを持ったわね..大事になさい』
応援の形が変わっただけ...
それはたぶん..あの日のことだと私は思った
だけど、自分を応援してくれてる人には傷ついて欲しくはないのが私の本音
『怪我の具合については、さっき話した通り
今はだいぶ良くなっているわ
そこで、貴女達にお願いがあるの』
お願い?
『ご存知のようにバンガローの数には限りがある状況でしょう?
あの彼の今後暮らす場所がないの...』
医務用のバンガローがあるのに?と森下さんが聞くと
『ベッドの数にも限りがあるでしょ?彼にはそろそろベッドを開けて貰わないといけないの』
私はなんとなく西野さんが言いたいことがわかって
だから私達のバンガローに水澤さんをってことですか?
『そう、貴女達さえ良かったらだけどね』
普通に考えたら見知らぬ男を自分達の暮らすバンガローに来ること
そして、寝食を共にすることなんて考えられない
だけど、彼は水澤さんは違う
あの日、必死に戦ってくれた人
それ以前から私達を応援し続けてくれた人
【自分のことなんて気にしないでください】
その言葉の真意さえ私にはわかってしまう
自身が負った怪我を" 私達のせいで負った "と私達には思って欲しくないのだと言う優しさ
そんな優しさも...ずっと彼が私達に与えてくれてたモノ
私は構いません。
まりあちゃんも良いよね?
私が森下さんに聞いたら、少し躊躇した感じを見せた後
私も構いません。
そう答えた。
『それじゃ決まりね、明後日に彼を此処に連れて来るから、良くしてあげて』
はい。
__STARDUST ̄ ̄
雪の止み間に雲の隙間から星が瞬く
幾億の星達は静寂の調を奏でる
明後日、彼は此処に来る
話したいことや聞きたいことがある
だけど、彼は水澤さんは..話してくれるだろうか?
そんな不安が胸を過る
隣に座って私と同じように空を見上げる森下さんに
「西野さんが水澤さんを連れて来ることの確認の時に、まりあちゃん躊躇してなかった?なんかしたの?って聞き方が変よね..んーと、何かあった?」
「んー...なんか..大丈夫かなぁって..」と
まりあちゃんは答えて、少し物思いにふける様子をみせました。
私はだぶんだけど、あの手紙のことじゃないかと思った
それは、そんなに遠くない記憶に浮かぶ、ある人のこと....。
まさかとは思いつつも私は
「まあね..面会謝絶だったし、怪我がだいぶ良くなったとはいえ
" 私達 "に会うことに不安があるかも知れないよね..」と誤魔化し気味に言う
「うん。だから、大丈夫かなぁって思って、少し躊躇しちゃった...」
その躊躇の発っする記憶、私もまりあちゃんも同じ気持ちだったのだと思います。
吐く息が白く染まる
「星が綺麗だけど、さすがに寒いわね、中に戻ろう」
私達は医務用のバンガローの方を一回見た後
自分たちのバンガローへ戻った。
星達が綺麗に瞬く空の下
貴方と私達を見守る雲の隙間の向こうの月
それは常に私達の頭上に在り続ける。
そして、私達の暮らすバンガローに西野さんに連れられ彼は水澤さんはやって来た。
 ̄ ̄Word__
言葉一つで喜んだり言葉一つで涙がでたり
言葉一つで喧嘩になったり言葉一つで仲なおりしたり。
たった一つの言葉だけど、その一つ一つが命を持ってて その言葉一つで人救うことも苦しめることもできる
これから彼と沢山の言葉を交わし、そして仲良くなれたらと私は思っていました。
THE LAST STORY >Moon crisis< 赤坂 安莉 Anri Akasaka Story
第六話 Snow drop へ
つづく。
 ̄_ ̄_ ̄_
_時間を巻き戻したいとは思わない_
『あの時ああしておけば』あるいは『しなければ良かった』だのと "後悔" することに何の意味もない
"どれが本当に正しい選択なのか『保証』なんて ひとつもない..."
今この時を悔やみたくない
出逢ったことも、堕ちてゆく現実も "受け入れて" 抱き抱えて "あの太陽のように沈もう"
いつかまた訪れるであろう "未来" を夢見て...
戦い続ける。
THE LAST STORY...
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